ほの研ブログ - 新年のご挨拶2023
をくずれ水仙郷
あけましておめでとうございます
旧年は、世界的な感染症流行が始まって3年を過ぎ、ロシアによるウクライナ侵攻が本格化したり、安倍元首相が銃撃されたりするなど、不穏な出来事の多い年でした。共想法による認知症予防という切り口から、ほのぼのとした社会の実現を目指す当研究所は、その実現の難しさを改めて実感しました。写真を用いた会話で想いを共有する共想法が、どのような状況に対してもしなやかに対応し、折れない心を育むことに貢献できればと願っています。2022年は、コロナ禍になってから始めたことを深化させ、質的な変化を遂げた一年となりました。活動を引き続きオンラインを中心に行い、そのことにより、参加者の輪が広がりました。皆様の御参加、御支援、御協力に感謝申し上げます。
第一に、スマートフォンおよびタブレットアプリを用いた遠隔共想法支援システムを用いて、月1回のペースで実施している、共想法継続コースに、大阪や長野など、各地から個人で参加頂くようになりました。これまでも、研究拠点である千葉から地理的な離れたところの方にも、共想法に参加頂いてきましたが、実施運営拠点となる介護施設や病院があり、そこに参加者が集まっていました。遠隔共想法支援システムにより、そのような拠点がない地域の方にも、参加頂けるようになりました。病を得て、以前ほど活発に活動できなくなった親を心配する子どもに勧められ、参加された方もいます。システムを構想した当初に想定した用途で、使って頂けることが明らかになりました。本挨拶をご覧になり、興味を持った方、また、周りに勧めたいと思われた方は、是非事務局までご連絡下さい。
第二に、研究所設立当初より、年2回ペースで開催してきた講演会をオンラインで開催し、2020年から数えて合計6回となりました。夏の設立記念講演会は、「人とのつながりで、脳を育む」をテーマとし、脳の発達や加齢のメカニズムを研究され、ベストセラーの著書「生涯健康脳」がある瀧靖之先生に、仙台からご講演頂きました。冬のクリスマス講演会は、「超高齢社会のサクセスフルエイジング」をテーマとし、第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会大会長である三村將先生に、東京からご講演頂きました。そして、2022年の新たな取り組みとして、講演会終了後に、オンライン交流会の開催に挑戦しました。招待講師の先生を囲んで、参加者全員が感じたことや考えたことを一言ずつ発言し、交流を通じて、元気を与え合うことができました。
第三に、これは共想法継続コース参加者の方の取り組みになりますが、共想法をきっかけに撮り貯めた風景写真を展示する展覧会、「二人の軽井沢・春夏秋冬」展が銀座にて開催されました。コロナ禍前に、対面で行う共想法実験にご夫妻で参加され、コロナ禍が始まって以降、オンラインで開催する共想法継続コースに参加頂いています。コロナ禍を機に軽井沢に移住されたご夫妻の、自然豊かな写真と話題を、他の参加者の皆様と共に、毎回楽しんでいます。そのようにして撮影された写真が、展示されました。共想法参加者で、展覧会を開いた方は初めて、お二人にとっても展覧会を開くのは初めてでした。
新年は、NPO法人ほのぼの研究所を設立して15年を迎える節目の年となります。共想法をきっかけに、会話だけでなく、生活行動全般を整える方法を、実践研究を通じて明らかにするとともに、より本格的な普及に向けた情報発信や、そのための仲間づくりに取り組んで参りたいと思います。本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2023年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー 大武 美保子