ログイン | 新規登録
メインメニュー

ほの研ブログ - 柏シルバー大学院C組出前講座

柏シルバー大学院C組出前講座

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2024-6-2 8:00
 2024年6月13日13時より千葉県柏市柏の葉の東葛テクノプラザ多目的ホールにて、柏シルバー大学院第C組33期の方々へ「高齢者の認知症予防」をテーマに出前講座を行いました。
 柏シルバー大学院は千葉県生涯大学校を修了した後も、さらに自主的に学習を続け、社会環境の変化に順応する能力を 高め、交遊の輪を広げ、併せて社会活動に参加し、生き甲斐の高揚に資することを目的として昭和56年5月に創立され、学生により自主的に運営されています。在校の皆様は月2日、年間18日(約72時間)の学習のほか、年3回の校外研修及び年2回の合同研修をなどに参加されるなど、まさに生涯学習を全うされている方々です。

 会場には荒天にもかかわらず、在籍者の出席率93.5%に及ぶ101名と、向学心にあふれた方々がご参集下さいました。講師は大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長が務め、アシスタントとして市民研究員の根岸勝壽、松村光輝、鈴木晃が参加いたしました。
 定刻13時より、開会の挨拶の後、講師側のご紹介があり、早速講話が始まりました。

東葛テクノプラザ多目的ホールにご参集の皆様

 まず「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が送れなくなった状態」であると、認知症の定義を述べた後、人生100年といわれる中、95歳以上の高齢者の約8割が認知症と推計されるという喫緊の課題があることを、聴講の皆様やご家族・周囲の方々の認知症に関する認識や状況等について問いかけながら、伝えました。

 そして、その認知症予防対策として以下の2つを挙げ、詳細を説明しました。
1)生理的アプローチ(認知症の原因の約9割を閉めるアルツハイマー病と脳血管障害を防ぐこと=身体と脳の老化を防ぐこと)➨適度な運動、食事の工夫、充分な睡眠…エビデンスが豊富
2) 認知的アプローチ(たとえアルツハイマー病にかかったとしても、認知症 の症状が出るのを防ぐこと)➨社会生活を送る上で必要であり認知症になると急激に低下するとされている体験記憶、注意分割機能、計画実行機能、言語流暢性といった認知機能を必要とする、知的活動や社会的交流を行い、言語能力を高める)

 併せて、1975年から始まった80歳まで20本以上の歯を残すことをスローガンとした8020運動(口腔ケア習慣の徹底)で55歳〜64歳で歯を失う人の割合が2005年までに20%から2%に減少したサクセス事例を挙げ、認知機能の低下を防ぐために認知異能をバランスよく活用する認知ケア習慣を普及させれば、認知症有病率を劇的に減少させることは夢ではないと認知症予防対策への展望と意欲を熱く語りました。

講話を行う大武代表理事・所長

 次いで、認知症の症状が出るのを防ぐために生活の中にどのようなことを取り入れたらいいかという観点から、講師が2006年に提唱した、認知症になると低下する認知機能を活用する社会的交流を高い確率で実現するための手法:「共想法」について説明をしました。設定されたテーマに沿った写真を撮影し、時間と順序のルール決めて、話す、聞く、質問する、答えることを行うもの。写真を撮影した時の体験について話題にすることで➨、体験記憶を、写真を見ながら、お互いによく聞き考えな がら、質問することで➨注意分割機能を、決められた時間内に話すことで➨計画実行機能をと、一連の作業を通して活用することになることを、NHKにEテレ2012年「あしたも晴れ!人生レシピ AIでどう変わる超高齢社会」で放映された会話支援ロボットぼのちゃん司会による共想法の紹介動画を御覧にいれながら、共想法の流れを説明しました。
 加えて下表左のような認知症につながる会話にはならないよう、共想法参加では下表右のような会話の訓練をすることにもなるので、会話支援手法より会話訓練法ともいえると述べました。

 認知症になるとできなくなる会話と認知症予防につながる会話

 10分間の休憩を挟んで、大武代表理事・所長、根岸、松村、鈴木市民研究員の4人で「最近でかけたところ」をテーマにロボットぼのちゃんの司会で、1枚/人の写真に対して、話題提供1分、質疑応答2分の共想法デモンストレーションを観ていただきました。各自が期せずしてこの連休に訪れたとした「家族旅行で訪れた伊東海岸での砂遊び」「霧の情景を撮ろうとはせ参じた廣幡八幡宮」「親族で訪れた善光寺」「大堀川河畔の空に勢いよく泳ぐ多数の鯉のぼり」の話題写真を提供、ついつい質問や説明が設定時間をオーバーし、容赦なく発話をさえぎるロボットには会場から笑いを誘うなど、実施の雰囲気を和やかな中でご理解いただけたようでした。

 「最近行ったところ」をテーマの共想法デモンストレーション

 その後、さらに前述の会話支援ロボットの発話量測定機能等を活用して、理化学研究所にて共想法ランダム化比較試験を実施した結果、介入群には言語流暢性(言葉を取り出す認知機能)が向上するというエビデンスが得られ、MRI検査からも、言語流暢性に関連する脳の領域間や大域的な領野間のつながりがよくなり、記憶機能や実行機能を司る脳の領域の体積が増加する可能性があることを明らかになったと述べ、現在、大阪府岸和田市と理化学研究所との共同研究で実証実験が継続されている等、認知症予防の研究の進捗状況を述べました。
 
 最後に配布資料をご覧いただきながら、ほのぼの研究所のご紹介や現在オンラインで在宅でスマホを用いて参加する遠隔共想法継続コースへのお誘いをさせていただき、終講しました。
 残念ながら、時間の関係で質疑応答の時間はありませんでしたが、視聴者の中にほのぼの研究所が設立間もない時に開催したさわやかちば県民プラザでの講座に参加された方がいらして、共想法や当所について、もっと知りたいというお声掛けをいただきました。こうしたご縁は、大変懐かしく喜ばしく、早速資料をお送りしたことでした。
 
 この講座開催に当たり、ご尽力いただきました柏市シルバー大学院の関係者の方々に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

市民研究員 根岸 勝壽

 

トラックバック

トラックバックpingアドレス http://www.fonobono.org/modules/d3blog/tb.php/1097