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ほの研ブログ - 理化学研究所・ほのぼの研究所共催 2024年設立記念講演会「創造的に老いる」

理化学研究所・ほのぼの研究所共催 2024年設立記念講演会「創造的に老いる」

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2024-9-15 8:00
 2024年8月20日(火))13時より、東京都中央区日本橋の理化学研究所革新知能統合研究センターのオープンスペースにて、代表理事・所長の大武美保子が勤務する理化学研究所とほのぼの研究所の共催で、NPO法人ほのぼの研究所設立記念講演会「創造的に老いる」を開催しました。

設立記念講演会チラシと『老いの失敗学』

 今回、東大名誉教授、畑村創造工学研究所代表で、失敗学の提唱者であるとともに、東電福島原子力発電所における事故調査・検証委員会委員長、消費者庁消費者安全調査委員会委員長を務める等、多方面で失敗知識活用の活動をされている畑村洋太郎先生にご登壇いただくきっかけは、ほのぼの研究所の2024年度の理事会での、設立以来ご尽力いただいている元柏市医師会会長の小沼宗心先生のご提案でした。NHKの番組『ラジオ深夜便』で、ベストセラーとなった著作『老いの失敗学』出版後まもなくの畑村先生の対談を聴かれて、高齢者と触れ合いながら長年研究活動を続けているほのぼの研究所の講演会にお招きするのにふさわしい方ではないかと。
 
 なお、畑村先生にはほのぼの研究所の拠点千葉県東葛エリアへの往復等には体力的なご負担等がかかることがわかり、都内のご自宅から無理のない都内(理化学研究所)での開催、事前対談録画鑑賞+ミニ対談、ミニワークショップを兼ねての交流会という、例年とは異なる形式を取り入れての開催といたしました。
 
 立秋を過ぎたとはいえ、依然としてこれまでにない気温の残暑が続く中、千葉県東葛地域や埼玉県和光市を含む近郊からのご参加の70〜80歳代の方々を中心に、下は20歳代までと、多世代の40余名からお申込みをいただき、何社かのマスコミの方に取材もしていただきました。

ご来場の皆様

 開会後、まず畑村先生ご登壇の提案者であるほのぼの研究所理事小沼宗心先生の挨拶に続き、大武所長代表理事・所長が開会の挨拶を行いました。

開会


開会挨拶 小沼理事 と 大武代表理事・所長


  最初に、畑村先生はご自身の老いを当事者目線で失敗学的見地から表された『老いの失敗学』にて、「失敗は大事」であると述べられている。そのことと「高齢者がどうすれば認知機能を保って天寿を全うできるか」という自身の研究で見出された「失敗を避けて、チャレンジをしない=認知機能を使わない生活を続けていると、認知機能はどんどん低下する➨大きな失敗をしないため、上手に小さな失敗をしながら、チャレンジを重ねていくことが大切である」ということの間に、接点があると感じたと述べました。
そして、奇しくも、畑村先生は彼女の東大情報工学科時代に、後の研究にも役立つ考え方の基礎を授けて下さった、大変重要な先生方のお一人でもあったため、ぜひともと登壇をお願いし、ご快諾をいただき、約四半世紀ぶりの師弟対談が実現した経緯を述べました。

 講演会は事前撮影の対談を以下の2部に分け放映、それぞれにミニ対談を添えました。
第1部―1.失敗学と老いの関係、 2.よい老いと悪い老い、3.老いによる大事故を防ぐ、 4.人の話を聞く)
第2部―5.悪い老いを避けるヒント、 6.制御できない自分に気づいた、 7.気遣いが老いによる失敗を防ぐ、 8.今の楽しみ、 9.面白く老いるヒント)

対談動画では、先生の日常の様々な失敗の一部や、失敗から得られた教訓、そして失敗なさらないために工夫されていることを穏やかに紹介されながら、以下のことを述べられました。



対談録画鑑賞とミニ対談



対談要約

 また、ミニ対談で、畑村先生は、昨今多発している河川による水の事故について「川の水は(本当は深くても)浅く見える」といった研究者なら誰でも知っていることが、当事者目線でわかるように(その場のニーズに合うように)周知されていないことも課題であると、失敗学の権威として警鐘をならされました。これに対して、大武所長は、水の事故の問題は、物理学の知識が社会での問題解決に活かされていない事例であり、老いの分野についても同様に、当事者の目線でわかるように周知されていない課題があることが、畑村先生の近著「老いの失敗学」に書かれている、と述べました。

 対談後の休憩中には、参加の皆様に以下の「老いに関するアンケート」
Q1よい老い(ありたい)老いと、悪い(避けたい)老い 
Q2よい老いを実現し、悪い老いをさけるためにしている工夫 
Q3自分の老いに気づいたこと 
Q4今の楽しみについて 
にご回答いただき、併せてポストイットに書きうつして特設のホワイトボードに貼っていただきました。

ワークショップ

そして、ホワイトボードを正面に据えるよう、座席を90度回転させ、ミニワークショップと交流会をスタート。ホワイトボードに貼られた回答を大武所長が幾つか披露し、それらに畑村先生がご意見を述べられました。全ての回答を披露することができませんでしたが、寄せられた意見をまとめてみると(N=40 FA)以下のように、自らのひたひたと忍び寄る老いの変化を甘受しながら、周囲とのコミュニケーションをはかり、明るくポジティヴにお過ごしの様子やご意見を伺うことができました。




 その後、ほのぼの研究所副代表理事:三宅徳久先生の音頭で乾杯、しばし相互の交流のひとときをすごしました。

三宅副代表理事乾杯の音頭

 会場の都合で畑村先生との交流は時間のあまり長くありませんでしたが、お名残り惜しく散会をした後も、畑村先生と積極的に記念写真を撮る方もいらっしゃる等、特に参加者の2/3ほどを占めた70〜80歳代の方々から、最後まで大きな元気をいただいたことでした。
 そのことは、当日取材にいらしたある新聞社の方から、「高齢の参加者が多いと伺ってはいたが、元気に遠方から講演会に参加され、「老い」についての課題に向き合われていることに驚いたのに加えて、どなたもが若々しくお元気そうで、かつ考え方も前向きにみえて、会場全体の空気がアクティヴに感じられた」という声をいただいたことでも、おわかりいただけると思います。
 
 初めてづくしの企画で、案じることの多い開催でしたが、数名の方に賛助会員に御入会いただいたのをはじめ、皆様からたくさんのお励ましもいただき、笑顔で会場を後にされるのをお見送りできて安堵したことでした。最後になりましたが、この共催企画のために、心を込めてご尽力いただきました理化学研究所革新知能統合研究センターの大勢の方々に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

市民研究員 鈴木 晃・長久 秀子

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