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ほの研ブログ - 2024年ほのぼの研究所クリスマス講演会

2024年ほのぼの研究所クリスマス講演会

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2024-12-22 8:00
 2024年12月3日(火)13時30分より、柏市文化・交流総合施設パレット柏のミーティングルームABCにおいて、ほのぼの研究所クリスマス講演会を開催いたしました。昨年度2回開催した講演会と同様、柏市が指定する健康づくりやフレイル予防などの活動への参加や、ボランティア活動をすることでポイントが貯まる「柏フレイル予防ポイント事業」として、承認された事業としました。

講演会案内チラシ

 案内期間が短く、案じておりましたが、久方ぶりのお住まいの近くでの開催でもあったからでしょうか、これまでの弊所の足元エリアでの共想法やイベントにご参加、協働の方々、古くからの賛助会員様、チラシをご覧下さった拠点東葛エリアからの方々を中心に、東京都、埼玉県の共想法にご興味をお持ちの方々、そして出版関係と、多くの皆様にご参集いただけましたことは、大変ありがたいことでした。
 例年なら、師走初旬には、それなりの寒さ到来も予想されましたが、当日は珍しくうららなかなお日和に恵まれ、会場は早々ににぎやかな雰囲気に包まれました。

ご参集の皆様

 なお、今回は12月20日に大武美保子弊所代表理事・所長が上梓いたしました『脳が長持ちする会話』出版記念を兼ねたクリスマス講演会といたしました。

『脳が長持ちする会話』

 そのため、いつもとはやや趣向を変え、対談とお楽しみワークショップのご指導の講師として、石川県能美市にある、北陸先端科学技術大学院大学大学教授(理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員・ほのぼの研究所理事)である西村拓一先生をお招きして、以下3部形式で行いました。

西村 拓一先生

 
1)基調講演「脳が長持ちする会話」 講師:大武美保子
2)対談「一生使える脳を創ろう」 西村拓一先生・大武美保子
3)お楽しみワークショップ・交流会

 開会に際して、まずは来賓の柏市議会議員の上橋しほと様よりご挨拶をいただきました。弊所監事を長く勤められている、前上橋泉柏市議会議員のご子息で、新進気鋭の上橋しほと様からは、新著出版のお祝いのお言葉をいただきました。そして、柏市のフレイル予防活動のご紹介と、ご自身が開かれている市民とのサロン活動に、当日の講話の極意を活かしていきたいという抱負が述べられました。

ご来賓:上橋しほと 柏市議会議員

 次いで、大武代表理事・所長の開会挨拶です。ほのぼの研究所における認知症予防の研究は当事者研究をベースとしており、本講演会もその一環として位置づけていると述べました。この講演会における参加者の方々とのふれあいも大きな糧にしたいとお伝えしました。併せて、書籍の出版は、皆様との活動の成果であると、謝意を伝えました。
 
 基調講演の「脳が長持ちする会話」では、認知症になり、同じ話ばかりする祖母の記憶が、会話によって呼び覚ませることに気付いたこと、「共想法」という会話支援手法を2006年に考案したことが、会話による認知症予防の研究に着手したきっかけであると述べました。

基調講演

そして、2008年に実践研究野の拠点として、NPO法人ほのぼの研究所を設立し、フィールドワークを続け、さらに2017年より、共想法により「工学的に脳をどのように使えば、長持ちするのか」という実践研究を一貫して行ってきたと伝えました。そして、人間の知能を育む人工知能についての基礎研究を、理化学研究所の革新知能統合研究センターで行っているという、研究プロセスを述べました。
 事後共想法の効果検証を重ねた結果、ひとまず、共想法的な会話が脳を長持ちすることに貢献しそうであるということがわかったため、今般「脳を長持ちする会話」と題した本を出版するに至った経緯を語り、脳を長持ちする会話である共想法の手法や実験結果を交えながら、下図のように説明しました。

脳が長持ちする会話ー共想法の説明

 併せて、長きにわたる当事者をベースに研究を重ねて得られた結果から、老化が顕在し始める40〜50代の方々に脳を活用する会話を実践し、脳が長持ちするように、日常的に役立ててほしいと、出版するに至った著書のトピックをいくつか挙げて、その内容を紹介しました。

認知症リスクが高まる会話と脳が長持ちする会話…本書より編集


 続くプログラムは「一生使える脳を創ろう」と題した西村拓一先生との対談。
西村先生は1992年東京大学工学系大学院修士(計測工学)課程修了、産業技術研究所入所、人間拡張研究センター上席主任研究員等を経て、2022年より北陸先端科学技術大学院大学 トランスフォーマティブ知識経営領域教授、副研究科長、ビジョンオリエンテッド研究センター長に就かれているほか、理化学研究所 革新知能統合研究センター 客員研究員であり、NPO法人ほのぼの研究所の理事も務めて下さっています。専門は学習支援システム, ヒューマンインタフェース、インタラクション, 制御、システム工学, 知能情報学で、博士(工学)の学位をお持ちです。健康増進や介護予防に資するダンスの身体動作分析、製造業や教育などのサービス現場における、人の活動データと知識の構造化による人の知能と人間力の拡張に興味を持たれ、日本ダンススポーツ連盟シニアIIラテン日本代表になられるなど、ダンスの名手でもいらっしゃいます。
 
 西村先生には、著者である大武代表理事に、著書や研究に対して問いかけていただく、司会のお役目をお願いしておりました。西村先生は、独特の軽妙な語り口で、かつて類のない超高齢社会に於いて、「脳が長持ちするため」の認知症予防研究を始めようとしたきっかけやアンビション、そして具体的な「脳を長持ちする会話」のコツ等を、分かりやすく聴いて下さいました。そして、そのための生活の工夫や会話のコツがあまた掲載されている本書。推奨される利用手順に関する、著者からの提案を引き出して下さいました。具体的には、「毎日、パッと開いたところに掲載されている項目をやってみる、翌日はまた別のページをと、遊び心を持って読むと、変化のある楽しい読み方になるのでは」というものです。

対談「一生使える脳を創ろう」
 
 対談の最後には、基調講演でも紹介した、講師2人による、「好きな食べ物」をテーマにした「ロボットぼのちゃんの司会で行う「共想法」(対面式)のデモンストレーションを、ご覧に入れました。西村先生は毎日召し上がれるほど大好きな「カレー」、大武所長は「認知症予防に効果のある食材で作った夕食」の写真を提供しました。話題提供、質疑応答1分ずつと短めの設定で行い、初体験の西村先生は、時間管理に容赦のないぼのちゃんの司会に、少し苦笑された様子とお見受けしました。
 
 休憩と会場レイアウト変更を経たお楽しみワークショップは、健康増進や介護予防に資するダンスや運動に関する研究に携われるとともに、40歳代にダンスを始められて、名手になられた、クリスマスコスチュ―ムご着用の西村先生と、急遽東京都から友情出演のために駆けつけて下さった岡田様との、息のあったキレのある、ソフトなラテン系とワルツのペアダンスで始まりました。
 手狭を心からお詫びしたくなるような会場に、所狭しと繰り広げられる優雅でリズミカルな舞いを拝見して、一同は西村先生の変身ぶりに驚かされるとともに、すぐさま釘付けになり、大いに堪能させていただきました。
 そしてその後は、座った方も参加できる、足を前後左右に動かす基本のダンスの指導が始まりました。最初は戸惑いがちだった参加者も、90歳に近い男性、ご来賓、大武代表理事・所長を含めて、男女約半数ずつ20人ほどが、会場中央に出てきました。手をつなぎ2列になって、ペアを替えながら、音楽も速度も上げながら、十数分ダンスを続けました。初めは、振りに追いつくのがやっとだった方々から、やがて笑顔がこぼれはじめ、見学者もつい、座りながらその場で足を動かしたりと、楽しい雰囲気となりました。

「お楽しみワークショップ」デモンストレーション〜練習〜体験
 
 数年前、コグニサイズを紹介する国立長寿医療研究センターの島田裕之先生の講演会ビデオ鑑賞会で、動画に合わせて皆様が身体を動かして下さり、会場いっぱいに笑顔が溢れたことが懐かしく思い出されました。幾つになっても、脳のためにも、身体のためにも、身体を動かす必要性と楽しさを感じたことでした。
 
 その後、乾杯をした後、全員が所属グループごとに自己紹介をし、講師の先生や、久方ぶり、あるいは、初めてのお目文字同士が歓談し、16時過ぎに名残り惜しく散会しました。

 なお、今講演会のご参加者のうち、5名が弊所の賛助会員として御入会いただきましたことは、大変ありがたいことでした。
 また、事後のアンケートでは、ささやかな知見共有のひとときをお楽しみいただき、今後も弊所のイベントに参加したいというお声をいただき、安堵いたしました。併せて、今講演会で大活躍下さった、西村先生のご講話を、ぜひ伺いたいというリクエストをたくさん頂きましたので、ご希望に添える日を早く実現したいと思いました。

 最後になりましたが、今講演会開催に当たり、急遽友情出演のためにはせ参じて、素敵なダンスをご披露下さいました岡田様をはじめ、様々なサポートをしていただきましたパレット柏のスタッフの方々、並びにご参加、ご尽力いただきましたすべての皆様に、深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

市民研究員 鈴木晃・長久秀子

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