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ほの研ブログ - ほのぼの研究所2024年度合同研修実施報告書

ほのぼの研究所2024年度合同研修実施報告書

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2025-3-30 8:00
 2025年3月11日13時より、ほのぼの研究所恒例の2024年度合同研修を、昨年度に引き続き、ハイブリッド形式で開催開催しました。
 オンサイトの理研のAIPセンターの会場には、大武所長、大阪府岸和田市から上京された協働事業者:有限会社ヘルスプロモートのメンバー、理研のスタッフ、お江戸共想法参加者、協働事業者:マカベシルバートピアのメンバー、ほのぼの研究所の市民研究員、また、オンラインでは、継続コースやお江戸共想法に参加の賛助会員の方々、理研関係者、市民研究員等、両サイトで総勢37名が参加しました。

ハイブリッド開催の会場

 まず、大武代表理事・所長が共想法を基点に認知症にならない方法について共に考え行動するために設立した当法人の存在意義を確認するともに、1年間得られた知見を持ち寄り、持ち帰り、新しい方法につなげるために行うという開催目的と意義を述べました。また、発表時間を、特別事案以外は1事案10分に設定、質疑応答は事後まとめて行うなど、効率的な時間の使い方の工夫をしての設定であると添えました。次いで、オンサイト参加者が自己紹介を行いました。

  以下、それぞれの事業の報告概要を順にご紹介いたします。(標題下記は発表者)

【協働事業者 野花ヘルスプロモート 野花と共想法】 

正木慎三・村田智恵、蓑田真澄、新原和



 まず、野花ヘルスプロモートと共想法の出会い紹介から始まり、次いで、以下の説明がありました。2023年に、理化学研究所 革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ認知行動支援技術チームと有限会社 野花ヘルスプロモートと岸和田市とが共同研究契約を締結したこと。この契約の下、三者が協力し、「遠隔会話法を用いた新しい社会参加とその認知機能向上効果に関わる実証研究」を行っていること。2024年度はその2年目として、合計64名の認知症ではない高齢者に対して共想法を行ったこと。そして、その募集から実施までのプロセスが説明されました。
 その後、担当メンバー4人それぞれが、遠隔共想法実験の実施者としての体験談を、被験者メンバーの特性や、共想法の話題テーマによる参加者の反応の違い等を交えて述べ、効果的に参加してもらうための工夫の成果を報告しました。
 当初は、被験者から参加をネガティブに感じるような声もあったようですが、嬉しいことに終盤では、共想法参加のための定期的な外出や話題探し、写真撮影などの生活習慣がつき、果たして同年代のとの交流にも結びつき、アクティブな生活につながる貴重な経験であったと言われるようになったとのこと。
 次年度はこうした声を追い風に、「岸和田市に共想法を定着させる」課題に向かって、2023〜2024年度の被験者を基点に、対面の共想法継続コースへの参加案内をしていくと抱負の述べ、報告を締めくくりました。

【お江戸共想法2024年度共想法実施報告】

山藤千賀子・齋藤千鶴子・渡辺俊子・木口喜由江・阿部光夫・市毛正人



 山藤さんの司会で、日本橋を拠点とするグループの報告は、毎月第三水曜日に行っている遠隔共想法の延べ参加者数が204名に及ぶ、とまず実施報告をしました。次に、斎藤さんが、一昨年度末に行った日本橋、そして今年度の軽井沢との2回の街歩き共想法の報告をしました。そして上記に続く4名それぞれが、共想法に参加した動機や、その後の気持ちや生活の変化などを述べるという、バラエティ豊かな報告形式でした。
 メンバーが司会を行うようになり、ネットワーク不備などのトラブル時対応のための理研窓口とのつながり構築が進んだことに続き、今後は実施時の役割分担を見直して、自主運営の精度を上げるとしました。また、大武所長の新著『脳が長持ちする会話』を活用して、共想法の周知・啓蒙活動を活動すると抱負を述べました。
 
【協働事業者 マカべシルバートピアの活動報告】

マカベ―シルバートピア・市民研究員 永田映子




 2011年のスタートから2024年8月の終了までの13年間、単身、先例のない手探り状態で老人保健施設の通所・入居の方々に対して、月4回6か月を1期として21期をなし遂げた経緯とそこから得られた知見を総括しました。
 未だに施設では収束の見えないコロナ禍でもあるとのことですが、そうした苦難が続くも、殆ど脱落者もなく60歳代〜100歳までの男性16名、女性49名の参加者へ、参加しやすさへの配慮を重ね、介護施設としては大変手間や困難の多い実施を貫徹したこと。さらに、実施場所の安全なペースの確保と参加者の高齢化、フレイル化への懸念や、自らのライフステージへの確固とした信念をもって、上手な幕引に及んだことは、実に見事だと感じました。
 また、その13年間のプロセスや得られた知見を、決められた発表持ち時間10分の間に簡潔、かつ淡々と語る姿は敬服に当たるものでした。事後のアンケートでは、野花の共想法の発表と並び、さらに詳細な情報を共有したいという声が多く挙がりました。
 実施終了後は13年間の研究の総括に着手しているとのこと、素晴らしい論文の完成を待ちたいと思います。

【ほのぼの研究所 講演会2024年度講演会(ブログ)実施報告】

市民研究員 長久秀子




 まず、コロナ禍3年間続けたオンライン形式が、コロナが第五類の伝染病に分類された2023年度にはハイブリッド形式へ、そして、2024年度は運営上の支障の少ないオンサイト形式へと開催形式の変遷を述べました。
 2024年に開催した2回の講演会について、以下の通り報告しました。8月開催の設立記念講演会「創造的に老いる」は、理研との共催、日本橋理研のオープンスペースでの開催、事前のビデオ対談鑑賞、ミニ対談、アンケートに基づくミニワークショップの構成と、初めてづくしであったこと。12月の拠点エリアパレット柏でのクリスマス講演会は、大武所長の著書出版記念「脳が長持ちする会話」とし、弊所理事の招待講演講師:西村拓一先生のダンスデモやフレイル予防のダンス指導で、参加者との交流や一体感が深まったこと。
 そして、ハイブリッド・オンサイト講演会では、講話や講師への関心度や魅力度はもとより、アクセスの良さも、参加動機の大切なポイントであり、地元エリアでのイベント参加者や関連研究被験者への積極的な働きかけが、継続参加、新規参加拡大に繋がっていることも述べました。
 最後に、設立以来継続開催をしている講演会は、曲がりなりにも毎回9割近くの高評価で、「役立つ情報を得られた」と好評を得ています。そのため、弊所の認知症予防・共想法の啓蒙事業の柱としてできる限り継続していきたいと思っています。そのためには、所内の情報共有の精度と頻度を高め、万全な準備を持って臨むことを課題としていきたいと述べました。
 併せて、毎週日曜日に研究員が輪番でほのぼの研究所のイベント等のお知らせや共想法の話題を紹介している「ほの研ブログ」配信報告を、担当として報告しました。

【ほのぼの研究所継続コース】

市民研究員 魚谷茜

 

 コロナ禍の2020年の6月から、遠隔共想法のアプリの開発進度に応じて、理研の強力なサポートのもと、共に試行錯誤やトレーニングにも励み、進んできた準備プロセスを述べ、本格的開始から44回実施、延べ987人が参加したと報告しました。併せて、上記プロセスに関する報告が、2024年度の日本認知症予防学会で、研究者ではない高齢者が認知症予防活動に携わった活動ということで、会長のお名前を冠した浦上賞を拝受したことを添えました。
 年度内に実施した共想法体験会等を経て参加した方々も加わり、福岡市、大阪府、東京都、横浜市等の遠隔地と拠点東葛地域の16名の賛助会員と市民研究員の計26名の大所帯になりました。参加1年目の方には共想法の基本の12テーマで参加していただくと共に、年々難易度が上っている年間テーマ:2024年度は「フレイルと認知症予防」も共有しながら、慣れていただく工夫をしていること。、そして事後のオンラインフリートークで親睦を深めつつ、ネットワークの接続不具合によるアクシデント以外は、概ねスムーズな運用に至っていると述べました。
 最後に、実施者の負担を軽減する進行の自動化や、遠隔共想法アプリシステムの精度アップが図られれば、実施頻度を上げることができたり、簡便に参加していただくことになり、より多くの人が共想法的生活習慣を効果的に取り入れられるのではないかと、主たる実施者担当としての熱い思いを述べました。

【街歩き共想法 我孫子市 実施報告】

市民研究員 根岸勝壽

 

 2023年度の流山市本旧市街界隈の街歩き共想法に続いて、2024年10月29日(火)に我孫子市で街歩き共想法を行いました。参加者は、東葛地方の継続コース参加者、大武先生、賛助会員で共想法参加希望者1名と市民研究員の12名。
 我孫子駅至近のけやきプラザ11Fの展望台から、我孫子市街や大きな手賀沼やそれに続く利根川はもとより、筑波山や小さく見える東京のスカイツリーなどを俯瞰。大武先生より、街歩き共想法の仕組みについて説明がありました。写真を撮りながら歩くことで、.侫譽ぅ襪陵祝匹砲弔覆ります。認知症になると衰える計画力、注意分割力、体験記憶を活用して底上げし、認知症予防につなげます。さらに、今日撮った写真をその日に共想法で会話することで、認知症の症状の一つである近い過去の物忘れの予防のための活動になります。まさに、一石二鳥、三鳥にもなります。一連の説明後、いよいよ出発です。
 杉村楚人冠記念館、講道館の創始者の加納治五郎別荘公園、白樺派の文人の志賀直哉、武者小路実篤などの多くが別荘として住んだゆかりの地を散策。午後からは、手賀沼湖畔我孫子市生涯学習センター「アビスタ」にて、3グループに分かれて共想法を実施し、我孫子市のエピソードを共有。共想法参加検討中の方には、ご理解をいただき、共想法に継続参加いただけるという嬉しい結果となったと、報告を締めくくりました。
 
 【ほのぼの研究所 柏市共想法体験講座 「今から始める認知症予防」実施報告】

 市民研究員 松村光輝

  

 共想法は話や文章だけでは、参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を直に見学したり、体験していただくことが必要だと考えられます。2023年度から、自主体験講座を開催していましたが、引き続き2024年度にも、2回実施しました。
 1回目は2024年7月2日13:30より「今から始める認知症予防 ロボット体験会」と題して、ラコルタ柏(柏市教育福祉会館)の多世代交流スペースにて実施。認知症予防や共想法ついての座学の後、60〜80代の参加者、見学者すべてに「質問を考えることが大切であるも、なかなかそれを考えるのは意外に難しい」ことを体感していただくために、AI搭載のミニぼのちゃんが、30秒の話題写真の説明を聞いた後、4分間の利用者の質問に答えてくれる対話ロボットを体験していただきました。
 2回目は、2025年1月31日(金)13:30より、柏市民交流センターパレット柏多目的スペースAにて「今から始める認知症予防 共想法体験会」と題して実施。参加の公募せず 1月18日に大武美保子代表理事・所長が出講した、さわやかちば県民プラザで「ちばアカデミア講座5」のご聴講時に共想法に興味を持たれた方と活動のお仲間や、これまでの弊所のイベントに数多くご参加の柏フレイル予防サポーターとそのお仲間、共想法継続コースへ参加予定の方等へのお声掛けで、近隣の50〜80歳代まで、多世代13名にご参集いただきました。
 大武所長の認知症予防と共想法についての座学の後、3グループに分かれて、事前に送付していただいた「好きな食べ物」の写真をもとにロボット司会による共想法を体験していただきました。
 なお、この講座をきっかけに、次年度、柏市を中心に市民活動へのICT啓蒙活動などをなさっている団体と連携する嬉しい計画案も生まれ、従来の体験会とは異なる、新しい実りを得ることができました。
 なお、最後に、当講座へのご参加のきっかけとなった上述のさわやかちば県民プラザ主催の「ちばアカデミア講座5」「認知症発症を遅らせるAI」〜脳が長持ちする会話を助ける会話支援ロボットの開発〜に関して、県民プラザのオンサイトで、また県内公民館等数か所のサテライト会場と個人のオンラインでと、合わせて100名ほどに視聴いただいたことも報告しました。

【ほのぼの研究所 新事務局の取り組み】

市民研究員 三浦真代・渡部はるか

 

 2024年度の目標に掲げていた「実施運営の多世代化→特に40〜50代」に沿って、2024年3月と、同年6月に2名の市民研究員(正会員)が加わりました。理研業務に携わりながら、それぞれ事務局全般、会計業務を担うこととなった両人から業務に関して報告をしました。
 事務局担当は、データ管理・会計処理・連絡対応等の事務関連、イベント開催・支援、助成金申請を行っており、新年度の業務として、新しいコラボ企画の運営、新自主事業:「長持ち脳検定」の企画立案・運営、収入源拡大のための施策、instagram・公式Line等のSNS運営・管理に取り組むとしました。
 会計担当は、会計管理に関するメーリングリスト・各種申請新テンプレート作成などのルール化を推進、インターネットバンキング、各種データの電子化等に着手。次年度も引き続き、さらに会計業務のIT可を進め、インボイス制度の導入も検討したいと述べました。
 PCは一応高齢者にしては使えていても、アナログ色もややある市民研究員は、徐々に新しい風や、効率化を感じるようになった1年でした。新旧相互に意思の疎通、情報交換を密にしながら、より良い方向に向かっていきたいと思います。

【2024年度まとめ・2025年度方針】

ほのぼの研究所 代表理事・所長 大武美保子


 まず、例年どおり、共想法の成り立ち、さらに2007年からの研究体制と共想法についての研究成果を、次のように、5年ごとの中期計画に区切り、フェーズごとに述べました。2007年〜種(手法)を苗(サービス)に、2012年〜苗を畑(非営利事業)に、2017年〜畑を試験農園(検証事業)に、2022年〜試験農園を各地、各国に、農園(営利事業)の立ち上げを支援)。併せてほのぼの研究所の事業の柱(実施・普及・育成・教育・研究)と、現在行われている事業や研究との結びつきについても説明しました。
 次いで、下図のように、2024年度の目標として「コロナ禍の2020〜2023年に得られた知見と、実施者や参加者が歳を重ね、時間の流れへの対応が必要である」いうことを踏まえて、掲げた「持続可能なやり方に必要な体制を作る」に対しての総括を行いました。そして、以下のような2025年度の目標「持続可能な体制を作る方法を創る」を掲げ、説明しました。


 その後、都合で短縮された質疑応答の時間に、オンサイトで発言の機会のなかった人達が担当事業や報告に関しての意見や感想を述べ、終講となりました。
 事後のアンケ―トでは、初めて参加者には、先生の研究や活動への理解を深めるものとして好評を得ました。一方、発表のルールを遵守した進行、質疑応答時間の拡大要望、ハイブリッド開催ならではの、画面資料や音声の視聴に関するご意見をいただきました。今後のよりよい知見共有の場作りの貴重なご意見として、参考にさせていただきます。

市民研究員 長久秀子

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