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ほの研ブログ - 三宅徳久先生招待講演

三宅徳久先生招待講演

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
TaguchiY 2013-8-11 8:00
 2013年7月2日(火)千葉大学柏の葉キャンパスシーズホールにおいて、「ほのぼの研究所NPO法人設立5周年」と「千葉大学―パラマウントベッド共同研究講座設立」を記念し、NPO法人ほのぼの研究所設立5周年記念講演会が開催されました。講演会のテーマは「ベッドと看護学から見た健康づくり」です。

招待講演二件目として、千葉大学看工連携高齢者支援工学研究室客員教授 三宅 徳久先生より「私たちの暮らしを見守る、人にやさしいベッド」と題して、ベッドに関する基礎知識と、睡眠と転倒を研究テーマとする千葉大学―パラマウントベッド看工連携高齢者支援工学共同研究講座について、お話を頂きました。


千葉大学看工連携高齢者支援工学研究室客員教授 三宅 徳久先生

<ベッドに関する基礎知識>
 起き上がりと立ち上がり補助機能があり、背上げができる、病院用ベッド・介護用ベッドについて説明がありました。
 背上げベッドの歴史は、100年位前に始まります。日本には1940年代に医療用ベッドとして入ってきました。1960年には電動式となり、1970年には介護用ベッドとして用いられるようになりました。
 起き上がりが楽で、安全に寝られ、立ち上がり易く介護に負担がかからない、更に快適な背上げ動作に向けて、機材の大きさなど、姿・かたち(機構)の工夫に加えて、動かし方(制御)の工夫をすることで、腰がずれず、圧迫感のないものになってきました。
・理想の背上げコンセプトは以下の通りです。
 (1)良い姿勢が保たれる
 (2)より適応性がある
 (3)「すべり」がない
 (4)圧迫感が減少する

<千葉大学−パラマウントベッド看工連携高齢者支援工学共同研究講座について>
 2013年4月に設立された、千葉大学−パラマウントベッド看工連携高齢者支援工学共同研究講座は、私たちの暮らしを見守ることに関して、特に睡眠と転倒を研究テーマとしています。睡眠と転倒に関する技術と共同研究講座における研究課題について説明がありました。

1、睡眠のお話
 睡眠時の生体情報センシングとは、眠っている間の心拍・呼吸・体の動きをセンサーで測ることです。特に体の動きだけを取り出して測定することで、寝ているか、起きているかを測ります。そのことで眠りの質が分かり、課題を見つけて改善策を考えることができます。
・共同研究講座の研究課題(睡眠について)
 (1)睡眠の質を向上させるためには、どんな生活パターンが望ましいか?
 (2)体動から尿意などの検知ができないか?
 (3)どんな形で情報を掲示すれば、看護環境がよくなるか?

2、転倒のお話
 医療事故として、転倒・転落が1番多いのです。転倒・転落に着目すべき理由として、これらは70歳位から多くなり、ベッドから車椅子への乗り降りや、ベッドからの立ち上がりの場合など、ベッド絡みが9割以上を占めることがあります。これらを考えると、ベッドから離れる前に、立ち上がりや尿意等の予兆を検出して、看護師に知らせることが必要になります。
転倒が多い原因として、加齢に伴う身体能力の変化が挙げられます。身体能力のピークは20歳です。筋力は65歳で20歳の3分の2に、平衡性は65歳で20歳の時の3分の1に落ちます。筋力はそこそこあるので大丈夫と思っていても、筋力と比べて平衡感覚がより落ちているので、転びやすいのです。このため、転倒し寝たきりとなる可能性が増します。

さらに、高齢化に伴い、要介護者が増加しています。そこで、日常生活に支障のある患者さんの状態を、センシングする機能をベッドに付けてみることにしました。センサーが患者さんの動きを力で感知し、ナースステーションに知らせることができます。
・共同研究講座の研究課題(転倒に関わる患者状態の検知について)
(1)信頼性の向上(検知率を上げて、誤報率を下げる)
(2)使い易さの改善
(3)ベッドから離れることを、いち早く推定する方法の検討


加齢に伴う身体能力の変化(三宅先生スライドより)

3、看工連携高齢者支援工学共同研究講座
看工連携高齢者支援工学共同研究講座では、既存技術のブラッシュアップと新技術の開発を行います。人にやさしく、見守ってくれる賢いベッド環境として、以下の二点を目指します。
 (1)ベッドに寝たきりにしないための技術
 (2)安心してアクティブな生活を送れる環境
研究課題は、携わる研究者の専門に対応して、以下の四点を考えています。
 (1)患者の方の尊厳を重視した計測技術(プライバシーを侵害しない)
 (2)対話を通した「意図」の分析・理解
 (3)看護環境の経験的知識に基づく予測法
 (4)システム利用プログラム(ガイドライン)の開発

アクティブライフの基本は人間性である、安全・安心を支援するベッドを中心とした環境づくり、近江商人の三方よしをもじって、買い手(使い手)である患者や高齢者の方によし、ナースやケアをする人にもよし、社会よし、作り手よし、の「四方」よしを目指して行く、としめくくられました。

市民研究員 野口宗昭

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