ほの研ブログ - 新年のご挨拶2015
早暁の大洗海岸
旧年は、防ぎうる認知症にかからない社会を創ることを目標に掲げ、社会に与える影響から逆算して活動した一年でした。目標の実現に近づくためには、ほのぼの研究所だけでなく、多くの方や組織との連携が必要になります。2014年2月に放映された、TBSテレビ夢の扉+「楽しい会話の力でさらば!認知症」を通じ、全国各地の個人や自治体、企業からの問い合わせがあり、これらに対応するための体制作りが急務となりました。
そこで、認知症予防と同時に健康づくり、地域活性化の効果が期待できる、全国各地に展開しうる新たなプログラムとして、街歩きと共想法を組み合わせた「街歩き共想法」を考案しました。これまでに、東京都台東区の谷中、茨城県桜川市真壁町、千葉県千葉市の海浜ニュータウン、千葉県柏市の柏の葉スマートシティ、埼玉県川口市のスキップシティの五か所で開催し、効果的な手順を検討しました。
本年は、旧年に開発した街歩き共想法を各地へ展開し、人と街に与える効果検証を行います。この他、旧年より準備を進めてきた事柄に取り組みます。具体的には、企業と連携し、「共想法」を受益者負担により営利事業として社会実装するための、プログラム開発と、講師の育成を行います。同時に、「防ぎうる認知症にかからない社会」の土台となる「高齢者が役割を持ち、多世代へ貢献することができる社会」において共想法を活用する方法を明らかにするため、高齢者だけでなく多世代の方に共想法に参加頂きます。共想法への参加が各世代に与える影響と、双方向の会話を通じた世代を超えた相互学習の可能性について検討します。国際連携については、2012年の在外研究がきっかけとなり、スイスと日本の研究者が健康な老化について議論するワークショップを日本で開催します。ここでも、街歩き共想法を実施します。
旧年の一連の活動を支えて下さったすべての方々に、心より感謝申し上げます。本年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
2015年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
千葉大学准教授 大武美保子