ほの研ブログ - 2016年ほのぼの研究所クリスマス講演会
2016年12月13日(火)13:30から、さわやかちば県民プラザにて、「認知症予防のイロハ」をテーマに、恒例のクリスマス講演会を、さわやかちば県民プラザの後援で開催いたしました。
師走に入り、何かと慌ただしい折りでしたが、80名の方々にご参集いただき、さらに、ほのぼの研究所発足当初に取材頂いた方と、読売新聞東京本社医療ネットワーク事務局からの取材陣においでいただいたことは、誠に嬉しい限りでした。
講演に先立ち、大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長の開会の挨拶に続き、さわやかちば県民プラザ所長淺岡裕様より、ほのぼの研究所の活動に対して、力強いエールを込めた熱いメッセージをいただきました。淺岡様には、ほのぼの研究所の活動に対して深いご理解と、今回の講演会後援のために多大なご尽力をいただきました。
後援して下さったさわやかちば県民プラザ淺岡裕所長の挨拶
次いで、来賓の、産業技術総合研究所 人工知能研究センター サービスインテリジェンス研究チーム 研究チーム長の西村拓一様より、大武先生の研究活動への賛辞や、ほのぼの研究所に対する期待が述べられました。
来賓の産業技術総合研究所の西村拓一様の挨拶
招待講演は、東京大学高齢社会総合研究機構協力研究員 セカンドライフファクトリー代表理事である、矢冨直美先生の「認知症に強い脳を作る」でした。
冒頭での、高齢者の自立度の変化パターンに大きな性差のあることには驚かされましたが、自立度の低下防止や維持に不可欠な認知症予防のためには、それに対する強い脳をつくることが大切だと力説されました。
招待講演の矢富直美先生
そのためには、まず、健康な脳をつくる、すなわち、脳を老化させないことが必要で、ウォーキングや水泳などの有酸素運動や、βカロテン、ビタミンA、Cやポリフェノールを多く含む抗酸化力のある食品の積極的な摂取が有効であると説かれました。
さらに、認知症発症前に低下し始めるといわれている機能を鍛える具体的な知的活動を行うことで、脳を強くする必要を説かれました。例えば、エピソード記憶を鍛えるには、日記や家計簿等、思い出して記録すること。注意分割力を鍛えるには、ウォーキングをしながらおしゃべりをする、幾つかの調理作業を並行して段取りよく行う、計算や作業等を時間をきめててきぱきと行うこと。そして、計画力を鍛えるには、プラン作りから始める旅行、新しいレシピづくりやパソコン作業、趣味等を計画立て実行すること。これらが有効な知的活動として挙げられました。
講演に熱心に耳を傾ける参加者
ここ数年、ようやく認知症予防に関する情報が多くもたらされるようになりましたが、断片的であったり、偏向があったりと、まだ玉石混交の模様で、受け手としては惑わされがちでした。しかしながら、長年にわたり、認知症予防、特に地域における、いわゆる一次予防に関して造詣の深い先生は、ご自身のフィールドワークに基づいた知見や科学的データをもとに、体系的に、かつわかりやすく解説して下さいましたので、難なく理解できて確信につながり、健康長寿の維持のためにすぐに実行に移したいと思いました。また、「使うことが大切。使わないと失われる」(Use it, or lose it approach)説の紹介も心に強く残りました。
続く基調講演は、大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長の基調講演で、演目は「毎日できる認知症予防-『共想法』」。
基調講演の大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長
まず、ほのぼの研究所の設立経緯や活動の概要説明がありました。そして市民研究員が出演し、当研究所で自主制作した動画資料を興味深く観ていただきました。認知症予防のためには、食事と運動に加えて、知的活動と社会的交流が必要であること、その基礎となるのが会話です。聞くことと話すことをバランスよく行う会話により、認知機能を総合的に高めることが期待できる訓練方法としての『共想法』を解説しました。
その後、市民研究員4人による「最近食べたおいしかったもの」をテーマにした『共想法』の実演をご覧に入れました。
「最近食べたおいしいもの」をテーマに[共想法」の実演をする市民研究員
最後に、さわりだけでも体験していただくことで、『共想法』への理解を深めていただこうと、ご参加の皆様に、隣席の方と2人一組になって、実演と同じ「最近食べておいしかったもの」をテーマに、一人当たり話題提供1分、質疑応答2分の持ち時間と、話す順番を決めた、写真を省略した『共想法』を体験していただきました。当日テーマを伝えるため、事前に写真を用意できないことから、写真があるつもりで想像しながら会話頂きました。これは、単に講演を聴きにいらしていただくだけでなく、実際に体験していただくことで、『共想法』へのご興味をお持ちいただき、実りある時を提供したいという思いを込めての、初めての試みでした。反応が大変気になりました。果たして、多くが初対面同士でいらしたにもかかわらず、10分も満たない間に会場は笑いにあふれ、一帯感が醸成されるのを感じることができました。
年代を問わず、2人一組の共想法体験で熱い会話を交わす会場の皆様
そして、事後のアンケートでは、「コミュニケーションの楽しさが伝わってきた」という嬉しいコメントや、7割以上の方から「実演や体験を通じて『共想法』に参加してみたいと思った」という回答をいただきました。閉会後も話し足りない様子で退室なさる方々を拝見して、安堵したことでした。
最後になりましたが、この講演会の後援にひとかたならぬお力を賜りました、淺岡裕所長をはじめとするさわやかちば県民プラザの方々に、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
師走に入り、何かと慌ただしい折りでしたが、80名の方々にご参集いただき、さらに、ほのぼの研究所発足当初に取材頂いた方と、読売新聞東京本社医療ネットワーク事務局からの取材陣においでいただいたことは、誠に嬉しい限りでした。
講演に先立ち、大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長の開会の挨拶に続き、さわやかちば県民プラザ所長淺岡裕様より、ほのぼの研究所の活動に対して、力強いエールを込めた熱いメッセージをいただきました。淺岡様には、ほのぼの研究所の活動に対して深いご理解と、今回の講演会後援のために多大なご尽力をいただきました。
後援して下さったさわやかちば県民プラザ淺岡裕所長の挨拶
次いで、来賓の、産業技術総合研究所 人工知能研究センター サービスインテリジェンス研究チーム 研究チーム長の西村拓一様より、大武先生の研究活動への賛辞や、ほのぼの研究所に対する期待が述べられました。
来賓の産業技術総合研究所の西村拓一様の挨拶
招待講演は、東京大学高齢社会総合研究機構協力研究員 セカンドライフファクトリー代表理事である、矢冨直美先生の「認知症に強い脳を作る」でした。
冒頭での、高齢者の自立度の変化パターンに大きな性差のあることには驚かされましたが、自立度の低下防止や維持に不可欠な認知症予防のためには、それに対する強い脳をつくることが大切だと力説されました。
招待講演の矢富直美先生
そのためには、まず、健康な脳をつくる、すなわち、脳を老化させないことが必要で、ウォーキングや水泳などの有酸素運動や、βカロテン、ビタミンA、Cやポリフェノールを多く含む抗酸化力のある食品の積極的な摂取が有効であると説かれました。
さらに、認知症発症前に低下し始めるといわれている機能を鍛える具体的な知的活動を行うことで、脳を強くする必要を説かれました。例えば、エピソード記憶を鍛えるには、日記や家計簿等、思い出して記録すること。注意分割力を鍛えるには、ウォーキングをしながらおしゃべりをする、幾つかの調理作業を並行して段取りよく行う、計算や作業等を時間をきめててきぱきと行うこと。そして、計画力を鍛えるには、プラン作りから始める旅行、新しいレシピづくりやパソコン作業、趣味等を計画立て実行すること。これらが有効な知的活動として挙げられました。
講演に熱心に耳を傾ける参加者
ここ数年、ようやく認知症予防に関する情報が多くもたらされるようになりましたが、断片的であったり、偏向があったりと、まだ玉石混交の模様で、受け手としては惑わされがちでした。しかしながら、長年にわたり、認知症予防、特に地域における、いわゆる一次予防に関して造詣の深い先生は、ご自身のフィールドワークに基づいた知見や科学的データをもとに、体系的に、かつわかりやすく解説して下さいましたので、難なく理解できて確信につながり、健康長寿の維持のためにすぐに実行に移したいと思いました。また、「使うことが大切。使わないと失われる」(Use it, or lose it approach)説の紹介も心に強く残りました。
続く基調講演は、大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長の基調講演で、演目は「毎日できる認知症予防-『共想法』」。
基調講演の大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長
まず、ほのぼの研究所の設立経緯や活動の概要説明がありました。そして市民研究員が出演し、当研究所で自主制作した動画資料を興味深く観ていただきました。認知症予防のためには、食事と運動に加えて、知的活動と社会的交流が必要であること、その基礎となるのが会話です。聞くことと話すことをバランスよく行う会話により、認知機能を総合的に高めることが期待できる訓練方法としての『共想法』を解説しました。
その後、市民研究員4人による「最近食べたおいしかったもの」をテーマにした『共想法』の実演をご覧に入れました。
「最近食べたおいしいもの」をテーマに[共想法」の実演をする市民研究員
最後に、さわりだけでも体験していただくことで、『共想法』への理解を深めていただこうと、ご参加の皆様に、隣席の方と2人一組になって、実演と同じ「最近食べておいしかったもの」をテーマに、一人当たり話題提供1分、質疑応答2分の持ち時間と、話す順番を決めた、写真を省略した『共想法』を体験していただきました。当日テーマを伝えるため、事前に写真を用意できないことから、写真があるつもりで想像しながら会話頂きました。これは、単に講演を聴きにいらしていただくだけでなく、実際に体験していただくことで、『共想法』へのご興味をお持ちいただき、実りある時を提供したいという思いを込めての、初めての試みでした。反応が大変気になりました。果たして、多くが初対面同士でいらしたにもかかわらず、10分も満たない間に会場は笑いにあふれ、一帯感が醸成されるのを感じることができました。
年代を問わず、2人一組の共想法体験で熱い会話を交わす会場の皆様
そして、事後のアンケートでは、「コミュニケーションの楽しさが伝わってきた」という嬉しいコメントや、7割以上の方から「実演や体験を通じて『共想法』に参加してみたいと思った」という回答をいただきました。閉会後も話し足りない様子で退室なさる方々を拝見して、安堵したことでした。
最後になりましたが、この講演会の後援にひとかたならぬお力を賜りました、淺岡裕所長をはじめとするさわやかちば県民プラザの方々に、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
市民研究員 松村 光輝