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今講演会は、「超高齢社会におけるサクセスフルエイジング」と題して、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室教授の三村將先生を招待講演講師としてお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。

2022年クリスマスオンライン講演会チラシ
大武美保子弊所代表理事・所長の開会挨拶に続き、東京都新宿区信濃町の慶應義塾大学医学部の研究室から、三村先生にご登壇いただき、「超【幸齢】社会をどう生きるか」と題した招待講演が始まりました。

招待講演講師 三村將先生
三村先生は1984年慶應義塾大学医学部をご卒業後、同年慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室に入局。1992年〜1994年までボストン大学医学部行動神経学部門・失語症研究センター・記憶障害研究センター研究員として研究に従事。帰国後は東京歯科大学市川総合病院精神神経科講師として臨床及び研究を行う。2000年より昭和大学医学部精神医学教室に勤務。講師、准教授等を経て、2011年より現職である慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室教授に就任。専門は老年精神医学、神経心理学。認知症や老年期うつ病の診療、研究に従事していらっしゃいます。
また、日本高次脳機能障害学会理事長、日本うつ病学会理事長、日本老年精神医学会副理事長、日本神経心理学会理事、日本精神神経学会理事、安全運転医療学会理事等の要職に就かれていらっしゃいます。
今回の講演会は、昨年11月に三村先生が会長として主宰された日本認知症学会学術集会/日本老年精神医学会(同時開催)「人生100年時代の認知症を考える」の会長講演「超高齢社会のサクセスフルエイジング」を今講演会のタイトルとして使用させていただくお許しを得ました。またその講話の一部を「超【幸齢】社会をどう生きるか」と題して、超高齢社会日本に於いて、高齢者が幸福に生きるということはどういうことか、また、あまり高いとはいえない日本の幸福度を高めるためにはどうするべきか、社会がどうなるべきなのかということを改めて考えるために、携わられた疫学コホート研究結果を含めた、専門的かつ広範な知見を、以下2点に絞って話題提供をしていただきました。
(1)サクセルフルエイジングとレジリエンス
(2)エイジングと心理社会的要因

招待講演演題
まず、幸福とは、人それぞれ異なるものの「瞬間的・直接的な快・不快の感情を超越してしみじみと、あるいはほのぼのと感じられる持続的で穏やかな気分状態」であると定義付けられました。さらにそういった状態で歳を重ねていくこと:よく生きるということがサクセスフルエイジングであり、日本を含む高齢社会においては、幸福寿命を延伸する鍵となる概念であると位置づけ、三村先生は「幸齢社会」という造語を使われていると述べられました。
そして、サクセルフルエイジングは、病気を健康と同じように評価し、認知的健康(記憶や遂行機能どの神経心理学的機能だけでなく、認知の枠組みや智恵を含む)と感情的健康(うつや不安などの否定的な感情がないだけでなく、肯定的な感情や統御などのストレス対処も含む)をもって定義すべきだと説かれました。
また、サクセルフルエイジングを考える上で欠かせないポイントとしてレジリエンス(疾病抵抗性・抗病力)について述べられました。これは人生の様々なストレスフルな状態に対する抵抗力のことを指します。「多くの高齢者は,身体的機能、経済的自立、親密な対人関係の喪失といったさまざま逆境やストレスフルな生活を送ってきた。けれども、そこから回復する過程で自己の価値や人生の意味を追求し続け,逆境から新たなことを学ぶとともにそれをきっかけに前進することができてきている。そのため、加齢に伴ってネガティブな状況が増えるにもかかわらず、高齢者の私的幸福感(ウェルビーイング)は上がる=Aging Paradoxという現象が起こっている。」と述べられました。このことから、多くの高齢者は疾患や障害を抱えながらも、サクセスフルエイジングを達成しており、言い換えればサクセスフルエイジングは「疾患や障害がない」のではなく、「疾患・障害への適応」でもあると説かれました。

自己評価による高齢者のエイジング評価
次に慶應義塾大学医学部精神神経科が関連する以下のコホート研究などから得られた、エイジングと心理社会的要因の関係が紹介されました。

慶應義塾大学精神神経科の高齢者コホート
・JPHC研究からは、コーピングが将来の自殺のみならず、身体疾患の予後にも影響することが示されている
・Arakawa65+Studyでは、高いポジティブ感情、社会資源、自己効力感、レジリエンスと共に、アプローチコーピングストラテジーが抑うつの発症と負の関連を示す
・Arakawa65+Studyでは、コーピングストラテジーと海馬全体あるいは一部の容積と関連している
・Arakawa 85+及び95+Studyでは、パーソナリティと認知機能、抑うつとが関連している
・Arakawa95+Study、さらに百寿者研究では、老年的超越は認知機能低下、抑うつ、フレイルと関連している
また、認知機能と抑うつの分布を見てみると、85歳以上では認知症が25%、うつが14%、95歳以上は認知症が60%、うつが20%の領域にあるも、95歳以上になると、通常加齢とともに下がってくる幸福度に関する因子の数値がやがて上がってくるという老年的超越(物質的で合理的な見かたから、加齢に伴い、より宇宙的で超越的な視点への変換)が見られることも述べられました。すなわち老化に伴う各種能力の衰えを否定的に捉えず、現状を肯定し、主観的幸福感を抱くようになることも重要なことだと説かれました。

晩年期に現れる主観的幸福感の老年的超越
さらに日本では、近い将来10万人以上に達すると想定される100歳(百寿者)になると、何とか生きていこうというよりも、むしろ生かされているというような超越的な感覚を持つようになるため、長生きができるのではないかと思うと述べられました。
以上の講話を通して、これまで認識の薄かった心理社会的な加齢に伴う一連の変化を伺うことができました。そして、例え健康寿命が絶たれても、前向きな心を持ち続け、レジリエンスを高める生活を送ることで、高いQOLやウェルビーイングを保ち続けることができる可能性を確認することができました。

COI-NEXT共創の場 研究開発課題のイメージ
そして最後に三村先生から、誰もが参加し繋がることでウェルビーイングを実現する都市型ヘルスコモンズCOI―NEXT共創の場(拠点:慶應義塾大学)において、「認知症になっても日々生き生き「寄り添う研究」のリーダーとして、「認知症になっても、やりたいことがあったら、それができるような生活、そしてそのために生きがいや悦びを維持していくには何ができるか、特に最新のAI、あるいは先端機器のようなものを使ってどのようなことができるのか」という研究を推進している旨が力強く述べられ、講話を締められました。
次いで、大武美保子代表理事・所長が東京の日本橋の理化学研究所から「高齢者を見守り、声掛けをするロボットの開発」と題して、彼女が高齢者の健康の維持に資することを目的として開発しているロボットにまつわる基調講演を行いました。

基調講演演題
まず、最初にWHO憲章「健康とは肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」に則り、高齢者の健康を「(自分や家族に)病気があっても、人生に極力支障がないように工夫して(レジリエンス)質の高い生活ができる状態」と定義づけ講話を始めました。
そして、代表理事・所長を務める彼女の研究フィールド:ほのぼの研究所メンバーや共想法参加者、(多くが本人あるいは家族に疾病や障害がある後期高齢者)の実験研究協力や観察を通して、高齢者の認知機能維持に働きかけ、レジリアントで質の高い生活を補助するロボットの開発プロセスを、実際の使用場面の動画を用いて披露しました。
まずロボットに何をさせるか、ロボットとの唯一の交流ツールでもあり、利用者が考えたり、話したり、行動したりするきっかけとなる「声掛け」については質の高い生活=やりたいことができるように気づかせるため、綿密なプロセスを経て「言葉」をセレクトしていくプロセスを説明しました。

【質の高い生活を助けるためのロボットへの声掛け】の企画プロセス

【すでにしているやりたいことについて聞くロボットへの声掛け】の企画プロセス

【これからやりたいことについて聞くロボット】の企画プロセス
また、ロボットが対応(回答)するセリフは、どのように相手が答えても、もっともらしく聞こえ、次の発言に導くように想定のセリフを多様に用意すると共に、発言するタイミングが息継ぎなのか、終話なのかを見計らう間合いを推定する技術を開発し、話のシナリオをうまく作れば、スムーズな会話が可能になり、会話において自分の考えを整理していけるということを確認できたと述べました。
さらに、ほのぼの研究所で継続実践している会話で認知機能を育む手法:共想法のフローのうち、一番難易度の高い、参加者の話を「聞き」「質問する」という部分だけを取り出して実装したロボットを使って、高齢者宅にて共想法をしていただく実験を行ったという報告がありました。提供される話題に関する想定問答は予め登録し、多様な話題をスケジュールに添って各ロボットに配信する技術を開発したとのことで、まだ実験期間が短いものの、対面で共想法に一定期間参加した被験者と同じ種類の認知機能の数値がよくなる傾向があったとの結果を得ているとのことで、今後の実験期間や頻度を充実させての結果が期待されます。

高齢者が話を聞き質問を考えることで、認知機能を育むロボット
共想法形式の会話の「聞く」「質問する」機能を実装
今回紹介したロボットは疾病や障害があっても、人生に支障がないように、具体的には認知機能をなるべく下げないように、したいことができるようにと企画設計されているため、三村先生のご講演でもご紹介のあったCOI-NEXTプロジェクトに参加して、さらに研究、開発を続けていきたいという抱負を述べて終話いたしました。
https://www.health-commons.com/
JST共創の場形成支援援プログラム
https://www.health-commons.com/randd#theme4
誰もが参加し繋がることができるができることでウェルビーイングを実現する都市型ヘルスコモンズ共創拠点
休憩を挟んでの三村生と大武所長との対談では、まず、三村先生が大学ご入学時には心理学科に籍を置かれるも、今のご専門は老年精神医学,神経心理学の研究に、大武所長が工学部出身ながら認知症予防の研究にと、多くの転機を経て辿りつかれた経緯をお互いに披露。その都度の様々な研究者や研究との出会いが非常に有意義に働いていることを思い起こされ、共有されました

対談演題
事後しばらく調査研究の方法、実験結果の効果測定方法等について研究者同志の熱いやりとりが続いた後、視聴者からの質問「後期高齢者の自動車運転」について、三村先生がお答え下さいました。三村先生は安全運転医療学会理事という要職に就かれ、高齢者の自動車運転についての課題をライフワークの一つとして携わってこられているだけに、現状の問題点を含めて大変詳細に、以下のようなご教示を下さいました。
1) 年を重ねるほど、運転能力、運転機能等の機能の個人差、性差が大きくなるため、運転の可否について、少なくとも年齢でしばるべきではない
2) 地方では足としてのニーズが根強く、しかも高齢者自身が運転をせざるを得ない状況があるため、認知症と診断された人は運転免許の更新ができないが、医師の記載する診断書の内容やその対応にばらつきがある等の問題点がある。またサポートカー限定免許に関しても規定が曖昧
3) 医師の診断・評価を得ながらなら、認知機能が低下していても運転可能なこともあるが、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の場合は運転は特にリスクが高い
4) 病名や年齢でしばるのではなく、運転がしっかりできる認知機能、予測力、判断力、運転操作能力が保たれているかということを、医療機関(運転評価外来など)での一定の評価を受け、公安委員会や免許証センターでの実車評価を受け、さらには同乗者の評価も参考にしながら続けていくことが大事→運転寿命の延伸→サクセルフルエイジング
次いで、大武所長へ投げかけられたロボットの声等に関する質問には論文(下記)の提示に替えさせていただきました。会話支援手法、共想法の司会を、ロボットが行う場合と、スピーカーが行う場合に、参加者がそれぞれどのように感じるかを調査したものです。
また、海外在住の高齢者が若々しく見えるのは、宗教的な支えもあるコミュニティに属するという社会的つながりも影響しているように思うが、ウェルビーイングの観点ではその重要度は大きいのかどうかという質問に対しては、日本は海外に比べると定着していないが、宗教的なスピリチュアリティを心理社会的要素として捉えることは非常に重要であると答えられました。
https://link.springer.com/article/10.1007/s12369-022-00925-7
Voice Over Body? Older Adults’ Reactions to Robot and Voice Assistant Facilitators of Group Conversation
(ロボットとスピーカーによるグループ会話の司会への高齢者の反応に関する研究)
最後の企画:オンライン(お茶会兼)交流会は、システム上、ご参加のためにリンク先を変更していただくお手間をかけることとなりましたが、飛び入りも含めて、拠点のある関東圏はもとより、北海道からの交流会初参加の方を含めて大阪府、長野県と幅広いエリアからご参加いただきました。三村先生は時間の都合上中座されましたが、前半では、参加者のポジティブな様子を大いに感じていただけたようでした。

交流会参加との記念撮影
参加者全員が、一言自己紹介、近況報告や講演会の感想などを述べ、和やかなオンラインでの対面が久しぶりに叶ったことは、一足早いクリスマスプレゼントのように、心温まるものとなりました。最後に画面上で記念撮影を行い、お開きとなりました。
市民研究員 長久秀子
招待講演
【超高齢社会におけるサクセスフルエイジング】超【幸齢】社会をどう生きるか 三村 將
基調講演
【超高齢社会におけるサクセスフルエイジング】高齢者を見守り、声掛けをするロボットの開発 大武 美保子
両講師の対談
【超高齢社会におけるサクセスフルエイジング】対談−三村 將×大武 美保子 「認知症の発症を遅らせ、なっても困らないためにできること」
当日は気が付かなかったのですが、2011年11月1日開始のお話の会はで11年目に入ったことになり、おまけに半年毎のスケジュールの11回目でしたので、すべてに「1」がつく記念日となりました。 参加者のSさんの長生きの薬は、18歳の孫と司会ロボットのぼのちゃんだそうです。お孫さんは、美容院へ行ったSさんのヘアースタイルにすぐ気が付く優しい男の子です。ぼのちゃんの仏様のような優しいお顔に毎回癒されているとのことです。お話の会がなかったら、共想法の司会ロボットぼのちゃんにも出会うことがなかったから有難いとおしゃっていました。
皆様の笑顔と興味深いお話の数々に励まされて、11年目を迎えることができました。目標の10年がとっくに過ぎていることに、我ながら驚いている今日この頃です
マカベシルバートピア 市民研究員 永田映子

オリジナル手編みキャップをかぶったお話の会のアイドルぼのちゃん
コメント:市民研究員 H.N.さん
11年目のスタート、おめでとうございます。マカベシルバートピアのご入所、ご来所の方々とのお話の会は、超高齢の方々含めて人生の先輩方のご参加が多いと伺っております。コロナ禍に限らず、楽しく、お気持ちよく、そして安心・安全にご参加いただくための様々な工夫や配慮をなさりながら、このように長く続けてこられたことに感服です。そして、お話の会を通して人生経験豊かなご参加の方々から得られたものは、E.N.さんの大きな宝物になっていることと思います。これからもずっと続きますように。
最近、「気が長いか、短いか」というテーマで写真共想法(全体で2枚の写真を使用)を実施しましたが、私の予想に反して、90%の方が「せっかち」だと自己申告されていました。
詳しく伺うと、中には娘さんから「杖より前に足が出ているから、危なくて見ていられない」と言われる方も。「せっかち」と思う理由は、生まれつきだから仕方がないというご意見が大半でしたが、戦争を経験されたAさんの自己分析は、明日のことは分からないからすぐやる癖がついたというものでした。それを伺い、いつも姿勢よく笑顔を絶やさない理由がわかったような思いがしました。
このグループの皆様は、いつも出席を楽しみにして下さっていますが、会が盛り上がるかどうかは、参加される皆様の優しい思いやりに負うところが大きいと、実施者として実感させられる毎日です。
市民研究員 マカベシルバートピア 永田 映子

参加者のお話が弾む「お話の会」(共想法)
招待講演「生涯健康脳」、基調講演「共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響」、対談「人とのつながりで、脳を育む」、そして今回初めての企画オンライン交流会を加えての4部形式としました。

設立記念オンライン講演会タイトル
ほのぼの研究所代表理事・所長の開会の挨拶に続き、早速招待講演講師の東北医学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生に、仙台市からご登壇いただきました。

瀧 靖之先生
瀧先生は東北大学加齢医学研究所及び東北メディカル・メガバンク機構で脳の MRI画像を用いたデータベースを作成し、読影や解析をした脳MRIは、これまでにのべ約16万人に上り、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者としてご活躍です。
「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表。著書は、「生涯健康脳(ソレイユ出版)」「賢い子に育てる究極のコツ(文響社)」「回想脳(青春出版社)」「脳医学の先生、頭が良くなる科学的な方法を教えて下さい」(日経BP)」始め多数、特に「生涯健康脳」「賢い子に育てる究極のコツ」は共に10万部を突破するベストセラーとなり、海外でも複数カ国語で翻訳本が出版されています 。また、テレビ東京「主治医が見つかる診療所」、NHK「NHKスペシャル」、NHK「あさイチ」、TBS「駆け込みドクター!」など、メディア出演も多数おありです。

招待講演「生涯健康脳」
招待講演「生涯健康脳」は、投影資料を使用されず、大武所長が瀧先生に以下3つの質問を投げかけ、それに瀧先生が答えられるというQ&A方式で進められました。
Q1)脳は加齢によってどのように変化するのでしょう?
―A1)私達の日常生活を司る機能を持つ脳の体積は10代後半にピークに達し、それから萎縮が始まります。
また、判断する、記憶する、考えるといった高次認知機能は、機能の種類によって若干異なりますが、凡そ 20代後半をピークにゆっくりと衰え始めます。知識の獲得は、もっと遅くまで保たれ、それからゆっくりと落ちて行きます。
Q2)脳の加齢を早めるものには何がありますか?
―A2)生活習慣病の危険因子である:飲酒・喫煙・肥満(特に内臓脂肪型)…慢性炎症を招くものと、鬱等の心的不健康が挙げられます。
Q3脳を健康に保つには、どのような生活習慣が大切でしょうか?
―A3)下記の6つが考えられます。

脳を健康に保つための6つの要件
以上のように、理解しやすいように、具体的に丁寧に説明して下さいましたので、事後アンケートでは、日常生活に直結する講話だったので、役だったというお声を多くいただきました。
次いで、大武美保子代表理事・所長が東京、日本橋にある理化学研究所から「共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響」と題して、彼女が考案した会話支援手法「共想法」の説明を行うとともに、共想法を組み込んだ認知的介入プログラム(PICMOR)を用いてランダム化比較試験を実施して得られた研究結果を述べました。

基調講演「共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響」
まず、瀧先生が脳を健康に保つための6要件として挙げられた、運動、食生活、睡眠、コミュニケーション、趣味・好奇心、主観的幸福感のうち、特にコミュニケーションに着目したこと。さらに、社会的コミュニケーションの多寡などとは別に、認知機能の維持に役立つコミュニケーションの特徴、条件を考え、それらを満たすコミュニケーションができる方法について、研究していることを述べました。
会話(コミュニケーション)をする場合、相手の話をよく聴き、声の調子を読み取り、思いやり、注意を払い、理解することをで、加齢とともにとともに萎縮しやすいという前頭葉を使うため、脳を健康に保つための要件のひとつととらえられていますが、単なるおしゃべりではそれらが充足されていないこともあるとして、写真を通して想いを共有できる会話支援手法:「共想法」を考案。「共想法」は一連の作業通して「体験記憶」、「注意分割機能」、「計画力」を総合的に使うことで前頭葉をフル活用するコミュニケーションを確実に行うことをめざしたものだと説明しました。

PICMOR
さらに、その効果を検証するプログラムとして、AIロボットが司会をする共想法を組み込んだ認知的介入プログラムPICMOR(Photo Integrated Conversation Moderated by Robot)を開発。それを用いた、ランダム化比較試験(共想法参加者 対 雑談参加者)から導かれた共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響を以下のように発表しました。
【認知機能に与える影響】
・共想法形式の会話参加者は、雑談に参加した場合と比べて、言語流暢性(言葉を取り出す認知機能)が向上
【脳に与える影響】
・共想法形式の会話参加者は、言語流動性の部位とその他の部位との結合が強くなっている…言葉の意味をよく理解したり、言葉を使って考えを伝えたりすることで、領域間のつながりがよくなる
・共想法形式の会話参加者は、局所(実行機能や記憶に関わる)部位の体積が、参加修了後、雑談参加者と比べて大きかった
・共想法形式の会話参加者は、白色繊維連絡(領域間のつながり)がよい…脳の信号が他の領域に伝わりやすい
最後に、ほのぼの研究所においては「共想法」を通して脳の健康を維持する生活習慣獲得に関する中長期的な観点での研究、理化学研究所では、脳の健康につながるより科学的、厳密な条件を統制したコミュニケーション方法についてのを研究を行っていく抱負を述べ終話しました。

対談「人とのつながりで、脳を育む」
休憩を挟んでの瀧先生と大武所長との対談では、まず、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターについては、アンチ・エイジングという名称は加齢を否定することに繋がるので使うことはせず、脳には可塑性があるので、賢く、豊かに、スマートに歳を重ねていくために、基礎研究から臨床研究に至るまで様々な分野、産学連携、社会実装を通じて研究、特に、認知症予防に注力なさっている機関として紹介されました。
ファッションや身なりを整えることは、楽しく人生を変えていくために気持ちを動かす力が大きい、すなわち行動変容のきっかけになり得るとして、コミュニケーションを向上させたり、自信や外出等の積極的行動を喚起させることが、脳を元気に保つのに大切だと説かれ、ご自身も大変気を遣われていると述べられました。
「回想について」は、御著『回想脳』で「幸福の自家発電」と述べられているように、ストレスを解消し、過去の回想により主観的幸福感を得られる共に、単に後ろ向きの行動ではなく、その時に関わっている脳の様々な領域が将来のプランニングの時にも関わっていいる大事な領域なので、未来に向かっのポジティブな生きる力をつけるとも説明されました。
また、子育てに関しても、知的好奇心を認知症予防にも通じる「人生の大きなドライブ」として大事であると述べられ、それを高めるためには親も知的好奇心をもって積極的に生活していることを示しながら、対象への単純接触効果を高めることが大切だと説かれました。わずか20分間の対談ではありましたが、果たしてに各世代へのスマートな生き方へのアドバイスをいただいたことになりました。
最後の、今回初企画のオンライン(お茶会兼)交流会は、システム上、ご参加のためにリンク先を変更していただくお手間をかけることとなりましたが、飛び入りも含めて、関東圏はもとより、大阪府、長野県を含めた広いエリアから、また理化学研究所の海外からの研究者を含めた若い世代〜80歳代の多世代、様々な分野の方々に多数ご参加いただきました。
参加者全員が、氏名、好きなモノ・コト等を語る自己紹介を手際よく行った後、視聴者が瀧先生がドラムを始められた理由と不眠について、大武チームの脳科学の研究者が脳を健康に保つために行う趣味(運動)をする場合、認知的に負荷の少ないことをする場合の効果についての質問がありました。
多趣味の瀧先生のご自身のご経験も踏まえて、趣味はヴィゴツキーの最近接理論や能動的なものが望ましいことは真理であるが、趣味を持てることの意義やそれから派生するコミュニケ―ションや主観的幸福感等にも意義があるとご回答。不眠についてのアドバイスもいただいたところで終了時刻が迫り、2回に分けて集合写真を撮影して、皆様と画面からお別れとなりました。
初の交流会については、まだ課題もありますが、これまでの視聴だけとは異なり、双方向で講師と参加者が交流できたことを楽しんで下さったお声が多くあり、安堵しております。いただいたご意見やアドバイスを今後に充分に活かしていきたいと存じます。
そして、何より研究をはじめ様々な分野で超ご多忙、かつ多趣味の瀧先生には、きっと休憩時間には寸暇を惜しんで筋トレをしていらっしゃったのではないかと想像しつつ、この度の講演会に貴重なお時間とご講話をいただいたことを、心より感謝申し上げます。
脳を元気に保つためにすべきことは、決してたやすいことばかりではありません。けれども、ハードルを低く設定してみる、壁を取り払うとできる、やっていく・やってみると意外にできるようになるという、瀧先生から伺った脳の可塑性と信じて、改めて「やってみよう!」「やらなければ!」と元気・やる気・勇気をいただいた方も少なくないと信じております。
市民研究員 長久 秀子
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なお、当講演会の動画は以下URLにてご覧いただけます。
【人とのつながりで脳を育む】生涯健康脳 瀧 靖之
https://www.youtube.com/watch?v=RwBICMPk4QQ
【人とのつながりで脳を育む】共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響 大武
美保子
https://www.youtube.com/watch?v=0bGcLhiSbho
【人とのつながりで脳を育む】対談−瀧 靖之×大武 美保子
https://www.youtube.com/watch?v=dSnqCmaQTEE
また、以下でこれまでの講演会の動画もご視聴いただけます。
https://www.youtube.com/channel/UCz7L-TE_oqgoLORFqNoIoZA/playlists
招待講演
【人とのつながりで脳を育む】生涯健康脳 瀧 靖之
基調講演
【人とのつながりで脳を育む】共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響 大武 美保子
両講師の対談
【人とのつながりで脳を育む】対談−瀧 靖之×大武 美保子
また、改めて共想法の基本概念を述べ、コロナ禍に於いて取り入れた新しい活動方式における活動の進捗概要を説明しました。

合同研修参加者
大武代表理事・所長を筆頭に、連携先のNPO法人コミュニティ活性化応援団(STeLa)2名、国立国語研究所2名の初お目見えに加えて、協働事業者(埼玉県の認定NPO法人きらりびとみやしろ、茨城県の介護老人保健施設マカベシルバートピア、大阪府の有限会社野花ヘルスプロモート)、お江戸共想法の参加者、継続コース参加者、理化学研究所の関係者、そして市民研究員の約30名が、延べ5時間、知見の共有や討議をいたしました。
長引くコロナ禍の中、オンラインでの開催もはや3回目となりましたので、ほとんどのグル―プが発表持ち時間の10分+質疑応答5分を遵守し、時宜を得た鈴木晃市民研究員の司会により、お昼休みを含めた5時間のプログラムは全く遅滞することなくスムーズに進行しました。
それぞれの発表報告の概要を順にご紹介いたします。※氏名後(S)は発表(言)者
【お江戸共想法】
お江戸共想法 山藤千賀子・齋藤千鶴子・竹田邦彦・竹田加江子(S)
2020年6月のコロナ禍の中始まった、遠隔共想法の進捗状況が述べられました。柏市の拠点よりも参加人数が少ないなりの工夫や苦労も多かったようですが、東京から地方(長野県)へ転居しても遠隔でも参加できるというメリットを活用しているご夫婦での参加者、コロナ感染下、参加を中断するも、熱心な仲間の勧めで戻ってきたメンバー等の登場やコメント活用と、遠隔共想法参加者らしいハイブリッドな発表から、理研のテクニカルスタッフの熱意と強い後押しで、和気あいあいと参加できる遠隔共想法が軌道に乗ってきた様子を伺い知ることができました。
お江戸共想法報告
【NPO法人コミュニティ活性化応援団(STeLA)について】
NPO法人コミュニティ活性化応援団(略称STeLA)代表 杉山 喜宏(S)
2021年度に当所と相互に賛助会員となり連携を結んだSTeLAは、2020年末に様々な活動を通して高齢者のためのコミュニティを幅広く支援すること目的に設立された団体です。高齢者の健康維持や現役世代の社会参加に向けての活動に貢献するべく、活動なさっており、現在準備中のHPを示しながら、活動システムの説明がありました。活動事例としてはコロナ禍でも重点的に各所で展開されている高齢者のためのオンライン体操を挙げられ、これまで担当者との遠隔共想法の体験参加や情報共有を始めた共想法ついてもHPを通しての紹介にご尽力下さると述べられました。メンバーの多くがコーディネーターご出身ということで、共想法の周知、ほのぼの研究所の活性化ためお力添えいただけることを確信し、心強く思いました。

STeLAの活動紹介
【協働事業者 マカべシルバートピア】
市民研究員・マカベ―シルバートピア 市民研究員 永田映子(S)
2011年のスタートから10年、17期を迎えた介護老人保健施設における通所者、入所者が参加なさる共想法やお話の会の実施者として、コロナ感染下の厳しい環境での実施状況をつぶさな報告がありました。想像を超えるほど厳しく自身の生活面でも制限を設けざるを得ない中、感染状況による規制にタイムリーかつきめ細かく応じて参加方法の工夫、参加者対応を行い、2021年度はほぼ予定通り、実践をこなしたという報告に、感服させられました。また、コロナ禍では、大変案じられる高齢者の認知機能の低下も、それらの努力の結果が反映され、低下した方が大変わずかだという報告に安堵しました。一方、コロナ感染が全国的には高止まり傾向であるも、茨城県内では減少率が低いため、施設内での感染対策がさらに厳しくなり、共想法実施可否が常に気になるという心の内を伺い、施設での継続的実施の課題も浮き彫りにされました。
【協働事業者 有限会社野花ヘルスプロモート のばな共想法】
野花ヘルスプロモート 正木慎三(S)
初めて参加者にも理解していただけるようにと、施設の所在地岸和田市、だんぢりや野花ヘルスプロモートの事業説明から始まりました。また、共想法に出会った経緯やその後の野花での介護サービス・メンタルヘルスサービス・従業員間での共想法の実施履歴が続きました。コロナ禍もあり、2021年度の共想法の実施はありませんでしたが、その間には要介護になる前の予防サービス事業の(通所)サービス樹立を目指し、共想法を、要支援認定を受けた方、また事業対象者を対象とした認知症発症予防サービスとして実施できないかについて大武先生等と協議を重ねられていました。そして当該サービスに関する潜在ニーズの調査を、想定した対象者、サービス提供者、ケアマネージャ、行政等に向けて行うこととなった経緯を説明しました。

マカベシルバートピアでの共想法開催時注意点(左)
野花の認知症発症予防サービス事業検討オンライン会議(右)両所発表資料より
【ほのぼの研究所 継続コース】
市民研究員田口良江(S)・根岸勝壽(S)
コロナ禍に於いて、活動拠点のほのぼのプラザますおでの参集も制限されるに従い、当該施設での共想法の継続コース参加者の多くは、何度かのトレーニングを経てスマホを使っての遠隔共想法参加に移行ができました。ただし、そうした端末操作に不慣れだったり、家庭・健康上の理由で参集も叶わなくなってしまった3名(平均年齢85歳、最高齢96歳)に対して、電話や郵便物を通して安否確認を兼ねて話し相手なると同時に、ほのぼの研究所の活動等の報告を行い、集合せずとも個々の事情にあった方法で共想法をしていただり、オンライン講演会ライブ視聴会に参加いただくなど、アフターコロナの折に、スムーズに復帰していただけるためのパイプ役を地道に続けている報告がありました。高齢者同士意思が通じ合うことも多かったと思いますが、担当者の心の通った傾聴・共感の姿勢、要した時間、そして丁寧な対応や継続するための根気や気力を想像するに、市民研究員仲間としても感謝の念を禁じ得ないことでした。
。
【ほのぼの研究所 柏市認知症予防講座】
市民研究員 松村光輝・魚谷茜(S)
コロナ禍で開講が危ぶまれるも、予定通り10月〜11月の3日間開講できた、2016年以来6年目となった柏市認知症予防講座の実施報告がありました。昨年度の「3日間コース」の講座は、感染対策による厳しい人数制限等もあり、多数のご応募にお応えできず、参加者にはややお馴染みの薄いZOOMシステムも活用したハイブリッドな講座でした。今年度はより多くの方にご理解を深めていただけるよう、会場にて講師の大武所長が対面講座を行う「1日コース」(同じ内容の講座を3回開講)企画とし、延べ18名にご参加いただけた模様を述べました。そしてこの6年間の応募・参加状況(後期高齢者層が増加傾向)、参加動機、感想等の時系列変化から導かれた結果と実施者の感想として、認知症予防への関心への確実に高まっていること、参加者に後期高齢者が増加したこと、高齢者へのスマホ普及も影響して、メールで共想法に使う話題の写真を送れる受講者が増えてきたこと等を挙げました。また、受講生の一部の興味を持っていただいた方々が「1日コース」とは別枠で開催した「遠隔共想法」の説明・体験会にご参加、そのうちの3名が継続コースへのご参加につながるというほのぼの研究所にとって嬉しい報告で説明を結びました。

継続コース(左)柏市認知症予防講座(右)
【ほのぼの研究所 継続コース遠隔共想法】
市民研究員 魚谷茜(S)
2021年度は、コロナ禍で集合式共想法の実施が叶わなくなったことから、2019年度末から着手した遠隔共想法の端末アプリを、当事者(高齢者)目線でより使いやすいものにするための改善を目指して、参加と実践に励んだ濃密な進捗の詳細説明がなされました。思い起こせば、今では笑い話になるほど、スマホの基本的用語、扱い方への知識や能力にバラつきがある中、暗中模索のスタートでした。
しかしながら、理化学研究所テクニカルスタッフの方々のわかりやすさへの工夫満載、やる気を大いに喚起させるパワフルで「超」根気強いサポートとで、(共想法をするのなら、集合型と同様に)「参加者の顔を見て参加したい」というニーズを具現化する機能を、幾つかの不具合の解消→バージョンアップを重ねて、どうやら使いやすいようにできるまでのプロセスをこの発表で確認することができました。また同時に、市民研究員を適宜、懇切丁寧にリードしてくれた担当者である発表者の尽力にも改めて感謝したことでした。
【ほのぼの研究所 講演会】
市民研究員 鈴木晃・長久秀子(S)
コロナ禍のため、恒例の2つの講演会をオンラインでの開催へと転換しての2年目の実態を事後アンケート結果を交えて述べました。理研の西道隆臣先生をお迎えした設立記念講演会では、両講師の「アルツハイマー病がない世界」と「防ぎうる認知症にならない社会」の実現に向けた真摯な姿勢と貴重な知見を共有。クリスマス講演会では、認知症予防に関する根強い偏見や、玉石混交の誤った情報や商品の氾濫を背景に認知症予防への否定的意見があるも、科学的にしっかり検証されたエビデンスのある認知症予防方法を啓蒙、普及していくことが必要であり、研究者の責務であると述べられた、鳥取大学の浦上克哉先生の思いや、両講師の認知症予防研究取り組みへの契機やご苦労を伺い、敬服しました。
集客ツールにSMS追加、口コミの積極的活用、初のオンライン講演会ライブ視聴会開催などは、新規参加者獲得や呼び戻しに奏功しましたが、時勢の流れで急増中のオンライン企画ヘビーユーザーの質の高いニーズに応えるには「役立つ情報を提供している」という高評価ポイントの維持のためにも、臨場感の演出を含めた運営スキルアップと、そのための十分な準備期間の確保を課題と総括しました。

ほのぼの研究所継続コース遠隔共想法(左)と講演会開催履歴(資料より)(右)
【企業連携等】
理化学研究所認知機能支援技術チーム技術経営顧問 小暮 純生(S)
ランチタイム休憩後の午後の部は、理化学研究所の小暮先生の活動報告からスタート。多くの企業、研究機関等との連携についての進捗状況の報告がありました。そのうちのひとつ、マスコミ等で取り上げられることも多い、WプロジェクトとのNDA締結後の会議で共想法が認知症予防だけでなく、よりよい人間の幸福度well-beingにつながるということを発表されたという報告を興味深く伺いました。また、連携の際の基盤となる知的財産としての様々な共想法関連の全ての特許が成立していること、また共想法司会ロボットぼのちゃんの意匠登録、共想法、ほのぼの研究所の商標登録の更改が済んでいるという報告もありました。

ほのぼの研究所の知的財産 (資料より)
【国立国語研究所紹介 ことばを記録・保存する】
国立国語研究所教授 小磯花絵 (S)
ゲストとして国立国語研究所の田中研究員と共にご参加いただいた、小磯花絵教授から同所のご紹介をしていただきました。2018年から「共想法による談話の研究」において、大武所長と共に研究をはじめられたご縁とのことでした。国語研究所が戦後まもなく設立された経緯や目的、「言語生活」をキーワードに生活の中で用いられる言葉の姿や働きを調べるという研究活動についての収集された様々な時や場面の音声データも交えてのご説明を、参加者の多くが大変興味深く伺いました。また今後音源「昭和話し言葉コーパス」「日常会話コーパス」として整備、公開されることを伺い、昨今の様々な言葉の乱れや変化が気がかりな昭和生まれとして、期待を抱きました。共想法に対して言語学的な研究が進んでいるのは承知しておりますが、小磯先生との研究で、共想法の会話について、どのようなことが導き出されているのでしょうか。また講話後に、昨今進んでいるオンライン、非対面で(相手の視覚情報のない場合)の会話時の戸惑いに関して質疑が出されましたが、集合型で行う共想法と遠隔共想法の会話間に何か格別差異のある研究結果が出てくるのでしょうか?私どもも参加・実践者の立場としても意識するとともに、共想法の会話が何か研究に役立つことがあれば嬉しいことです。

国語研究所「言葉を記録・保存する」資料
「理研による実施支援」(含・きらりびとみやしろ)
理化学研究所 テクニカルスタッフ 岩田幸子(S)
きらびとみやしろ 市民研究員 野口宗昭(S)
また、ほのぼの研究所やお江戸共想法メンバーに対して行った、積極的参加に繋げるための、当然の規律の徹底、共想法に関する学び直しやポイント学習、情報共有を行う「共想法学習会」を定期的実施や、市民研究員に対する研究材料としての画像トリミング学習会、市民研究員のきらりびとのメンバーとのほのバリュー(共想法の200要旨)入力の相互学習による支援が予定として挙げられました。
そして、「共想法は楽しい!」をモットーに今後も支援を続けて下さるという頼もしく熱いメッセージに、いつも通りパワーをいただきました。

理研による実施支援
この後、岩田さんの司会でオンラインお茶会を兼ねて、参加者全員が一言ずつでも話す機会を持つく、質疑応答や感想を交わす時間を設けました。最初に投げかけられた「困っていること」として多く挙げられた「加齢に伴い共想法に使うスマホの扱いやアプリヴァージョンアップへの対応等、新しいことを憶えるのに難儀している」という発言に対しては共感が多く、ご同輩の存在に却って安心したり、それでも頑張ってる、頑張ろうと思っているという声や岩田さんの励ましに、背中を押されたように感じました。また意味が理解しにくかったり、マニュアル作成上日本語として表現するのが難しICT関連のカタカナ専門用語に関して、国語研究所の田中様から専門家としての貴重な見解をいただいたり、ロボットとの会話に関してのタイミングに関する問いかけに対しては、司会ロボットぼのちゃんと評価協力をした声掛けロボットの仕様規格の差異があることを教えていただいたりと、大阪府、長野県、東京都、千葉県、埼玉県、茨城県の参加者が硬軟取り混ぜた話題や知見を、画面を通して和やかに共有する時間を過ごしました。
【2020年度まとめ・2021年度方針】
ほのぼの研究所 代表理事・所長 大武美保子
コロナ1年目の2020年度には「新型コロナウィルス流行により、薬やワクチンが確立するまで、集まって行動することができないこと」を前提に「目的に即して新しいやり方を考えて実践する」という目標を目指して活動、2年目の2021年度は「新しいやり方の実践の輪を広げる」という目標のもと、ワクチン接種が進んでも、現段階で根本的な治療薬がないことから、集合しての活動を慎重に行うことを前提として、遠隔共想法基盤とするサービスを外部に展開できるよう、1)遠隔共想法の参加者から実施者になる
2)連携先の遠隔共想法活用の支援を行う
ことを行ってきたと述べ、主に午前中に報告があった2021年度の具体的活動を、ほのぼの研究所の実施、普及、支援、育成、研究の5つの柱にあてはめて説明しました。
また、共想法を種(シーズ)とした時に、どのように展開するかを、2007年から5年ごとに設定した共想法研究の中期計画のテーマと、それに即して実行してきた活動を述べました。そして、次期:2022年度は、【鹸2022年―試験農園を各地、各国に、農園(営利事業)の立ち上げを支援】元年にあたるとして、その方針のもとに計画が呈示されました。

ほのぼの研究所の事業の柱と2021年度総括・2022年度方針
振り返ると、「コロナ」というワードやそれに類する表現がこんなにも多く出てきたことは合同研修がオンラインになってからありませんでした。約30名の参加者のうちにも、当日も濃厚接触とされた家族が発熱が続き、検査を受けたら感染が確定した、家族全員家庭内感染で自身が今も自宅で療養中という2人を含めて、家族や職場の人たちの感染を経験、また疑いを含めて濃厚接触者となった経験がある人も何人もいて、感染拡大が3年目になり、蔓延防止重点措置が解除される時期に、感染をいまだに身近に感ぜざるを得ないとを残念に思いました。
幸いにも当所では、早々に新しい活動様式を取り入れ、様々な苦労、困難や不便は感じながらも、変わらずに交流が続けられるような遠隔共想法やオンライン会合のテクニックをマスターできたというメリットもあったと前向きに捉えたいと思います。
事後のアンケートでは、「外部の参加者の発表を伺えて貴重な験だった」「他拠点・事業の活動が参考になった」「居ながらにして未知の方々とお会いでき、意見交換できてよかった」「和やかな雰囲気でよかった」等の声が寄せられました。
集合が叶い、参加者の表情や場の空気を直に感じながら、タイミングよい会話を交わすことのできる日が遠からず来ることを期待しつつ、それまでは、遠隔共想法を通して認知機能維持に役立つ会話の練習に励みたいと思います。
市民研究員 長久秀子
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招待講演
【科学的に認知症予防を考える】科学的に正しい認知症予防の普及・啓発に向けて 浦上 克哉
基調講演
【科学的に認知症予防を考える】認知症予防手法を研究する方法 大武 美保子
両講師の対談
【科学的に認知症予防を考える】対談−浦上克哉×大武美保子
今講演会は、「科学的に認知症予防を考える」と題して、日本認知症予防学会理事長を務められている、「認知症診断・予防の第一人者」である鳥取大学医学部教授の浦上克哉先生を招待講演講師としてお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」の三部形式としました。

クリスマスオンライン講演会タイトル画像
大武美保子弊所代表理事・所長の開会挨拶に続き、米子市の鳥取大学医学部の研究室より、ほのぼの研究所クリスマス講演会恒例のクリスマスコスチュームをご着用いただいた浦上克哉先生にご登壇いただき、「科学的に正しい認知症予防の普及・啓発に向けて」と題した講話が始まりました。

招待講演講師 浦上克哉先生
浦上先生は1983年に鳥取大学医学科を卒業。同大大学院の博士課程を修了し、1990年より同大の脳神経内科にて勤務後、同大の保健学科生体制御学講座環境保健学分野、並びに同大の医用検査学分野病態解析学の教授を併任されています。2011年に日本認知症予防学会を設立以来理事長の要職に就かれています。
日本老年精神医学理事、日本老年学会理事、日本認知症予防学会専門医であり、アルツハイマー型認知症及び関連疾患を専門とし、診断マーカーの開発研究、外来での診察と治療、予防、ケアなど総合的に認知症研究に取り組んでいらっしゃいます。また、認知症早期発見のためのタッチパネル式コンピューター「物忘れ相談プログラム」などの機器の開発、アロマによる認知症の予防効果の研究、NHK「あさいち」「チョイス」「きょうの健康」、「たけしの家庭の医学」、「主治医が見つかる診療所」等テレビにも多数出演し、幅広く精力的に啓発活動を行っていらっしゃいます。
TVなどへのご登場時の、物腰の柔らかい浦上先生のわかりやすい講話を期待した方々も多くあったとみえ、今回は大変多くの方から視聴お申込みをいただきました。
まず予防について、公衆衛生学用語でもある第1次予防(発症予防)、第2次予防(早期発見・早期治療)、第3次予防(進行防止)という広義の概念を示されました。そして、認知症を特別なものと捉えず、その概念を他の病気と同様に当てはめねばならないとされました。
日本では2025年に65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症するという推計や、十数億円を越える社会的負担を勘案するとともに、2019年の認知症施策推進大綱でも「共生」と「予防」が2本柱として据えられていることから、予防の重要性を強調なさいました。
また、同じ頃にWHOが認知症と認知機能低下のリスク軽減のためのガイドラインを発表するなど、認知症発症者増加は世界的な課題でもあると添えられ、予防対策は待ったなしであると述べられました。

世界の認知症情勢
また、医学誌『ランセット』に掲載された認知症に関する総説論文においてまとめられた「認知症発症の危険因子」について、2017年に全危険因子の35%であった修正可能な危険因子が、2020年には40%になるなど、予防に関連する研究が進んできており、予防不可能といわれてきた時代を振りかえられるとともに、将来的には修正可能な危険因子の割合が増える可能性についても言及されました。
さらに、重要なのは発症の危険因子が年代によって異なっているため、年代ごとに危険因子相応の対策を講じることが必要であること、またコミュニケーション不足もつながる難聴は、中年期における危険因子として上位にあるため、補聴器着用など早めの対応が必要であることを、示唆されました。

認知症発症危険因子(『ランセット(2020年)』より)
次いで、鳥取県と日本財団との共同プロジェクトで、鳥取大学・伯耆町・鳥取県が連携し、浦上先生を中心に開発した認知症予防プログラム:「とっとり方式認知症予防プログラム」の内容を説明され、介入調査の結果行認知症の発症や進行を遅らせることができると証明された解析結果を示されました。このプログラムは、県内の(民間を含めると)全地域に普及するばかりか、全国各地からの問い合わせに対しては無償で情報やツールを提供しているとのことでした。

とっとり方式認知症予防ログラム
その後、浦上先生が理事長を務められている設立後10年経った日本認知症予防学会の紹介として
(1) エビデンスの創出と普及
(2) 人材育成
(3) 地域連携の実現
の3つの目標を目指して、多職種の2500名近い方々が認知症予防の普及・啓発の活動をしていること、当学会が6月14日のアルツハイマー博士の生誕の日を「認知症予防の日」として制定したことも述べられました。

認知症予防学会の活動
最後に当日の講話の参考書として、本年3月に出版された浦上先生の高著「科学的に正しい認知症予防講義」のご紹介があり、終話となりました。

浦上哲也先生の近著『科学的に正しい認知症予防講義』
次いで大武代表理事・所長が「認知症予防手法を研究する方法」と題して、基調講演を行いました。
最初に、モノづくりの設計プロセスの概略を説明した後、医学系ではない、情報学・工学の研究者として、作ったモノを人々が使うことを通じて、社会がどうなるかから逆算してモノづくりをしたいという思いがあることについて述べました。そして認知症発症者の増加という社会的課題に貢献するべく、認知症予防効果が期待できるモノやコトを研究することを通じて、「人や社会に与える効果から逆算しモノやコトを設計する」効果設計手法を開発したいと考えて、研究を行っていることを、具体例を挙げながら説明を進めました。

機械設計から効果設計へ
まず、認知症予防とは、感染症予防上の、うがい、マスク、手洗いのようなセルフケアに相当するようなもので、認知症になりにくい状態や生活習慣である人は、その生活習慣を保つこと、認知症になりやすい状態や生活習慣の場合、その状態や生活習慣をかえるのを助けるのが認知症予防の手法であるという基本的な考え方を整理しました。そしてそれらは、食事・運動・知的行動・社会的交流いった生活習慣全般にわたるものであると説きました。
その研究が次の3ステップを経て行われていることを述べ、浦上先生の「とっとり方式認知症予防プログラム」を例に挙げて解説しました。
STEP1:メカニズムと観察研究・介入研究に基づく目標とする行動の定義
STEP2:目標とする行動ができるよう助けるプログラムの考案
STEP3:プログラムを実施し、参加者に与える効果検証
そして、STEP2の、目標とする行動をできるように助けるプログラムとしてー加齢に伴い低下しやすい3認知機能(体験記憶・注意分割・計画実行機能)の活用効果が期待でき、社会的交流がはかれる会話支援手法:「共想法」―写真を用いてテーマ、時間、順序を設定し、会話を行うものーに立脚した認知症予防プログラムPICMOR(ピックモア)を考案したと説明しました。PICMORは、ロボットが司会する写真を用いた会話による介入プログラムの英語表現(Photo-Integrated Conversation Moderated by Robots)を略したもので、ピックアップモア(インフォーメーション)、情報をもっと拾い上げよう、という意味をかけています。
PICMORプログラムのランダム化対照群付き比較試験を行った結果、プログラム参加者の言語流暢性が向上することがわかり、脳のMRI解析でも言語流暢性(言葉を取り出す能力)に関わる領域間の結合が強かったという結果を得ることに至り、効果検証のステップの緒に着いたと研究を位置づけました。


PICMORプログラムにおける会話手順とその検証結果
そして今後も、さらに理化学研究所やほのぼの研究所にてさらなる効果検証のための応用・基礎研究と、それらを可能にする基礎技術の開発、実施可能なプログラム開発、実施体制の構築を目指すと展望を述べて、結びました。
10分間の休憩を挟んで、鳥取の浦上先生と東京の大武所長との「科学的に認知症予防を考える」と題した対談は、チャットで受け付けた参加者からの質問に対しての回答からスタートしました。

浦上先生の画面背景に見えたハーブティ、アロマテラピーに関しての質問には、認知機能低下、特にアルツハイマー病発症者に効果があると浦上先生が検証なさった、日中と夜とに使用するとよいとされている浦上式アロマテラピーで使用する精油名を教えて下さいました。また、認知症発症リスク要因である難聴傾向の親族へのアドバイスとして、着用の時期が大事であると回答されました。また年代によって筋力低下にもつながりうる有酸素運動を行う長さについて、筋力運動との兼ね合いや、年齢、体力、筋力、骨量等を見極めて、バランスよく行うのがベストあると教えて下さいました。
また、コロナ禍でとっとり方式認知症予防プログラムを中断せざるを得ない期間があっても、実践者のサポートを得ながら、モチベーションを保って在宅でプログラムを継続した方々には認知機能低下が見られなかったという新しい情報も伺うことできました。
何よりこの対談の大きな実りは、10年前に勇気をもって日本認知症予防学会を設立なさるなど、長年にわたり、認知症予防の研究に邁進されてきた浦上先生の深い思いを伺うことができたということです。
「医師として、病気を治すための治療は勿論大事なこと。それと同時に、病気にならないようにしたいという思いは全ての病気に共通すること。認知症を特別扱いせずに病気として予防していくのは決して誤ったことではないと思っています。いまだに認知症に関する根強い偏見が残存していること、また玉石混交の誤った情報や商品が氾濫していることなどから、認知症予防に否定的な意見があるとも思われます。だからこそ、科学的にしっかり検証されたエビデンスのある認知症予防方法を啓蒙・普及していくことが必要であり、研究者としての責務であると考えています。」と穏やかな口調で力強く訴えられました。
事後のWEBアンケートには、9割近い方々から回答をいただきました。講演内容や今後の参加意向について、好評価をいただきましたことに安堵し、皆様のご視聴に心より感謝申し上げます。自由回答の中には「治療・予防研究の情熱や倫理的な姿勢から垣間見える、両講師のお人柄も感銘を受けた」というお声、さらに詳細、かつ多方面にわたる認知症予防情報や認知症予防活動の現場の声も知りたい等、参考になる前向きなご要望も多くいただきました。
今後もしばらくはオンラインでの講演会や企画が続くと思います。頂いた貴重なお声やアドバイスに添える、よりよいものにしていきたいと思っております。
なお、講演会当日、コロナ禍前まで継続コースの参加者にお集まりいただいていた柏市介護予防センター ほのぼのプラザますおのものしり館にて、初めて講演会ライブオンライン視聴会も開催しました、コロナ禍がしばらく収まっていることもあり、人数制限はあるも、講演会を端末でご視聴いただくのに不慣れな方々等にお声掛けをしたところ、新規参加者を含む7名のメンバーにお集まりいただくことができました。久方ぶりのメンバーの再会とご一緒に視聴が叶ったことを喜んでいただき、それぞれ自宅で視聴していた私共も、役立つ情報・知見をリアルタイムで共有できて、嬉しいことでした。今後適宜工夫を重ね、交流の輪を絶やすことのない活動を続けていきたいと思っております。

ほのぼのプラザますおでの講演会ライブオンライン視聴会
当講演会の模様は以下YouTubeにてご覧いただけます。
NPO法人ほのぼの研究所YouTubeチャンネル
また、認知症予防プログラムPICMORの効果検証論文、認知症予防プログラムPICMOR介入後の脳の安静時機能的結合に関する論文、コロナ禍におけるとっとり方式認知症予防プログラム参加者の認知機能に関する論文は、いずれも、オンラインでご覧になれます。
認知症予防プログラムPICMORの効果検証論文
認知症予防プログラムPICMOR介入後の脳の安静時機能的結合に関する論文
コロナ禍におけるとっとり方式認知症予防プログラム参加者の認知機能に関する論文
市民研究員 鈴木 晃・長久 秀子

柏市認知症予防講座の案内チラシ
昨年度は従来型の「3日間コース」に、40名以上の方が応募して下さったにもかかわらず、感染症対策のため、わずか9名の方にしか、ご参加いただけませんでした。一方、今年度は、1回に集まることができるのは、スタッフを除いて10名まで、という制限がありましたので、より多くの方に講座に参加していただくために、「1日講座」という企画にして、同じ内容の講座を3回実施することにいたしました。開講日によって、参加者数にばらつきがありましたが、認知症予防等に関する座学と、ほのぼの研究所の市民研究員による共想法の実演の見学、さらにご参加の皆様にも「好きな食べ物」をテーマに、共想法を体験参加していただくという講座内容で、3日間で延べ16名の方に、ご参加いただけました。
感染拡大防止のため、慣れないZOOMシステムを使ったリモート講座と、限られた会場スタッフの説明と対応を組み合わせた、昨年度のハイブリッドな講座とは異なり、今講座は、人数制限はあっても、参加者、講師、スタッフ間の対面・対話が果たせたばかりか、共想法の実演、体験に司会ロボット:【ぼのちゃん】が久々登場!ということもあり、会場は終始なごやかな雰囲気となりました。
例年3日間の講座内容を1日に凝縮した濃い内容となりましたが、事後のアンケートでは、参加者全員から、講座に対して「満足」「ほぼ満足」、「共想法」に関しても「理解できた」「ほぼ理解できた」という評価をいただきました。

市民研究員による共想法実演を見学する参加者
また、新型コロナ感染が下火になりつつあったとはいえ、まだまだ警戒を要する中、まなび館の広い会場スペースでは十分な間隔を保ち、こまめなマイクや機材の消毒、換気等感染予防に努め、無事に終了できたことに安堵したことでした。
開催にあたり、年度当初から、柏市、社会福祉協議会、ほのぼのプラザのスタッフの皆様にはいろいろご相談にあずかるとともに、ご尽力頂くなど、大変お世話になりました。心より御礼申しあげます。
なお、講座を通して認知症予防への理解を深め、「共想法」に興味をお持ちいただいても、しばらくは感染症対策として、【集合することなく、自宅等でスマホやタブレット端末を使って行う】:「遠隔共想法」を行うことが中心になることが想定されます。そのため、講座終了後、今回の「1日コース」ではご理解いただく時間が限られた「遠隔共想法」実施の様子を見学いただく日を別途設けま した。
果たして4名の見学者のうち、3名の方が継続コースに参加して下さることになりました。ほのぼの研究所にとって、お仲間が増えるという、嬉しいこととなりました。
市民研究員 魚谷 茜