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2024年2月27日13時より、ほのぼの研究所恒例の2023年度合同研修を開催いたしました。コロナ禍がおさまり始めた2023年度から、理事会や講演会をハイブリッド形式で開催してきましたが、今回の合同研修会についても初のハイブリッド形式での開催となりました。
オンサイトの理研のAIPセンターの会場には、大阪府岸和田市から上京された協働事業者:有限会社ヘルスプロモートの方々、理研の研究員・スタッフ、お江戸共想法、ほのぼの研究所の市民研究員有志が集合、大武先生、協働事業者きらりびとみやしろ、マカベシルバートピアのメンバー、お江戸共想法参加者、ほのぼの研究所の市民研究員がオンラインて参加しました。
オンライン(上)、オンサイト(下)参加者
まず、大武代表理事・所長が共想法を基点に認知症にならない方法について共に考え行動するために設立した当法人の存在意義を確認するともに、1年間得られた知見を持ち寄り、持ち帰り、新しい方法につなげるために行うという開催目的と意義を述べました。
また、発表時間を、招待講演部分を除き、1事案10分に設定、質疑応答は事後まとめて行うなど、効率的な時間の使い方をして、午後のみの開催形式に設定したことを添えました。
オンサイトでの参加の様子
それぞれの事業の報告概要を順にご紹介いたします。(標題下記は発表者)
【協働事業者 野花ヘルスプロモート こころとからだへアプローチ認知症予防】
本発表は、共同研究先である理化学研究所からの招待講演として、位置づけて行われたものです。
まず、2023年2月14日契約が成立した 理化学研究所 革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ認知行動支援技術チームと有限会社 野花ヘルスプロモートと岸和田市とが協力し、「遠隔会話法を用いた新しい社会参加とその認知機能向上効果に関わる実証研究」を、合計64名の認知症ではない高齢者に対して行ったランダム化比較試験の、準備段階から事後の認知機能検査までのプロセスが詳細に説明されました。この研究は共想法アプリの高齢者への効果を明らかにすること、及び地域での効果検証を通して遠隔ステムを用いた地域包括ケアシステムの中での新しい社会参加の可能性を模索することを目的としたものです。
その後担当者4人それぞれがパネル形式で、実際に初めて遠隔共想法実験の実施者としての体験談を、被験者グループメンバーの特性を交えて述べました。共通して挙げられたのは被験者も実施者も「質問する」ということの難しさを痛感したこと。また業務で高齢者と常に接していても、話のキャッチボールを展開させるのがなかなか容易でなかったこと、そして、話題に使う写真の著作権に対する配慮。それらは、実施者を経験している者共通の課題であるため共感することでした。しかし試行錯誤を重ねる中で、終盤戦になると、共想法を続けたいという声を伺うことにもなったという嬉しい結果を伺い、ご苦労が報われたことを喜ばしく思いました。研修事後のアンケートではこの共同研究、共想法実験に興味を抱いたという声が多く挙がりました。
なお、後日談になりますが、3月11日に岸和田市で開催された「今からできる認知症の予防」と題した、遠隔会話システムを活用した認知症の発症を楽しく予防する取り組みとして紹介する「認知症ケア報告会」(講師:大武所長・野花)には、被験者の多くがご参加になり、参加者の中から、共想法に興味を持たれ、即日ほのぼの研究所賛助会員になりたいと連絡を下さった方がいらっしゃいました。
【お江戸共想法2023年度共想法実施報告】
お江戸共想法メンバーS.T.さんの漢字デザインイラストを活用したテンプレート使用の報告書
2020年から開始、42回目を迎えたお江戸共想法の2023年度の報告は、コロナ禍移住先の軽井沢の竹田加江子さんがオンラインでメインに発表し、参加者の小西達夫・熊坂正博・山藤千賀子鶴子さんらがそれぞれのサイトから、共想法参加への経緯や感想を添える形式で行われました。運営に関しては、連絡システムの構築や、役割を分担する等、徐々に理研のサポートから自立していこうという姿勢を感じさせるプロセスや結果を披露。また、独自に和光市の理化学研究所で街歩き共想法を実施、この3月に開催予定の日本橋桜通り街歩き共想法等々、お江戸共想法のモットー「楽しく参加する」を具現化しながら、アクティブに活動を進めている報告がなされました。
【協働事業者 マカべシルバートピアの活動報告】
2011年のスタートから12年、2024年1月の20期終了時には、驚くことに単身にて通算504回にもなるという、介護老人保健施設における共想法の実践について述べました。2023年度も引き続き感染予防上、通所者に対してのみ、共想法方式、写真共想法形式を織り交ぜて火・木曜日に実施。コロナ禍での工夫を凝らした継続実施が奏功したようで、コロナ禍後の参加者の認知機能は維持されていたこと、90代になると、セルフコントロールができなくなるなどの老化現象が誰にでもあらわれる傾向のようだとする興味深い知見も述べられました。
なお、今年度は後期高齢者になった実施者が、入院が必要な病気や幾つかの体調変化を経験し不安の多かったこともあり、加齢に応じた充分な体調管理の重要性を実感するとともに、これまでと同じような実践の継続については大変悩ましいという、思いの丈を述べました。発表者の合同研修会における人生の大先輩を参加対象とする共想法実施報告からは、例年、参加者と実施者の時(歳)流れを実感し、同年代の仲間として共感することが年々増えているのを感じました。
【協働事業者 きらりびとみやしろ活動報告】
2022年2月から開始した遠隔共想法には2023年度はほぼ欠席なく、他拠点と同じテーマで12名の参加があったとのこと。ただし、視力・聴力の低下によるスマホ操作困難、家庭環境等の変化などで参加が難しい、従来型の集合式共想法を参加したい要望が強い等の声があるため、当初のきらりびとみやしろの共想法参加ポリシー「住み慣れた地域でいつまでもきらきらと暮らしていく」ことを改めて具現化するために、次年度からは、集合式共想法を再開する方向で体制を作る準備を進めたいとの報告がありました。
【ほのぼの研究所 講演会2022年度講演会(ブログ)実施報告】
新型コロナが第五類の伝染病に分類されたために、3年間続けたオンライン形式から、感染予防に留意して、初めてハイブリッド形式へと移行して開催したNPO法人設立15周年記念講演会(於・東大柏キャンパス)とクリスマス講演会(於・パレット柏)の実施報告を行いました。このハイブリッド講演会元年の講演会はコロナ禍でのオンライン講演会への参加阻害要因が解消され、久方ぶりの対面、新属性の方々の参加があり、さらに両講演会の招待講師が当研究所主催の2度目のご登壇の、高名な方々でいらしたこともあり、賑わいの再来は大変嬉しいことでした。
ただし、ハイブリッド開催のための新しく複雑なシステム機器の操作等へのテクニカルな能力や(時間を含む)準備不足、高齢化を含む人員体制等の事情から、視聴者にご満足いただけるものをお届けできなかったことも大きな課題となりました。NPO設立以来15年、数十回にわたりヘルスケアや認知症研究分野の錚々たる講師陣が提供下さる知見を多くの方々と共有できることは、ご好評も得ている当所の「ウリ」や伝統でもあるとして認識しているため、これをつつがなく継承していくために、実施者側にも負担を軽減した、より好ましい開催のために、改善・検討を進めていきたいという思いを述べました。
【ほのぼの研究所継続コース】
コロナ禍の2020年の6月から、遠隔共想法のアプリの開発に応じて、理研の大きなサポートを受けながら、共に試行錯誤やトレーニングにも励み、進んできたプロセスを交えて、2023年の実施状況を説明しました。大武先生の積極的なPR戦略や様々な周知ツールを契機に、自発的に共想法参加を希望する方々もあり、福岡市、東京都、大阪府、横浜市等の遠隔地、拠点の東葛地域の15名の継続コース参加者(賛助会員)と9名の市民研究員の大所帯になりました。参加1年目の方には共想法の基本の12テーマで参加していただく等慣れていただく工夫をこらし、少々難しい「創造性を育みレジリエンスを高める」という年間テーマも共有していただきながら、ネットワークの接続不具合によるアクシデント以外は、スムーズな運用に至っているとしました。また、2020年から協力を始めた、飲料メーカーとの「お茶によるコミュニケーションが気分、QOLに与える影響」研究のために、お茶等のドリンク類の飲用を交互に行いながら、共想法後のフリートークを続けていることも添えました。
参加者が増える予定の次年度は、複数日実施ともなりそうですが、快く参加していただくための実施者の接遇等、人材としてのクオリティの維持向上を目指したスキルアップ研修を行う等の方向性を述べ、共同研究に役立つ実施提案を添えて、終話しました。
【街歩き共想法 流山本町 実施報告】
ほのぼの研究所主催によるものは6年ぶりとなった、流山市本旧市街界隈にて2023年11月7日(火)に行った街歩き共想法実施報告を様々な場面の写真を添えて報告。主に拠点である東葛地方の継続コース参加者、大武先生と理研のメンバー、共想法参加希望者2名を含めた21名が参加しました。最近は子育て世代の街としてのイメージが強いも、江戸川沿いの旧市街は江戸時代から明治、大正にかけて商業の中心地として栄えており、今も当時の面影を偲ばせる老舗の店舗や多くの社寺があり、白みりん発祥の地でもある界隈を散策し、カフェ併設の杜のアトリエ黎明で司会ロボットぼのちゃんの司会で共想法を行った経緯を述べました。
コロナ禍以降、オンラインによる遠隔共想法がメインで、対面共想法実施は久しぶりであったため、進行にトラブルがややありましたが、久しぶりの再会、集合しての活動に、何より参加者誰もが楽しい時を共有できたこと、さらには、体験参加者2名が揃って共想法継続コース(賛助会員として入会)に参加下さるという、嬉しい結果が生まれたと述べました。
【ほのぼの研究所 柏市共想法体験講座 「今から始める認知症予防」実施報告】
ほのぼの研究所の命名の由来でもあり、設立以来定期的な共想法の実践や、柏市の認知症予防に関する講座を開催してきた介護予防施設:ほのぼのプラザますおの施設としての機能変更に伴い、当施設での継続的な活動は行わないこととなりました。これに伴い、柏市社会福祉協議会のご提案もあり、1月9日(火)ラコルタ柏(柏市教育福祉会館)の多世代交流スペースにて、当会場における初の体験講座を開催しました。共想法は話を聞いただけでは、参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を直に見学、体感いただくことが必要だと考えたためです。当日は、大武先生の講話の後、参加者全員が「好きなものごと」のテーマで対面共想法の体験、研究員による遠隔共想法の実施状況の見学をメインプログラムとしました。
事後のアンケートでは、「役立つ知識を得られた」「参加者との交流や情報交換が得られた」と好評価がある一方、ロボットやスマートフォンを使うことが難しそう、説明が難解といったご意見を頂きました。続いて3月に実施の講座では、認知症予防を実践する手段としての共想法を、より身近に感じてわかりやすく理解していただけるような対策を講じていきたいと述べました。
ティーブレイクの後は、大武代表理事、所長が2023年を総括し、2024年への展望を述べました。
【2023年度まとめ・2024年度方針】
まず、初めて合同研修に初参加の方もいらしたため、共想法の成り立ちや、目的、さらに2007年からの研究体制と共想法についての研究成果を、次のように、5年ごとの中期計画に区切り、フェーズごとに述べました。2007年〜種(手法)を苗(サービス)に、2012年〜苗を畑(非営利事業)に、2017年〜畑を試験農園(検証事業)に、2022年〜試験農園を各地、各国に、農園(営利事業)の立ち上げを支援)。併せてほのぼの研究所の事業の柱(実施・普及・育成・教育・研究)と、現在行われている事業や研究との結びつきについても説明しました。
そして、改めて2023年度の目標:「2022年度に引き続き、(コロナ禍4年目& afterコロナ1年目として)さらに新しいやり方を作る」に対して、できたことを、以下のようにまとめました。
2023年度にできたこと
次いで、2024年度の目標としては、コロナ禍の2020〜2023年に得られた知見と、実施者や参加者が歳を重ね、時間の流れへの対応が必要であるということを踏まえて、持続可能なやり方に必要な体制を作るとする、と述べました。以下の具体例を挙げ、世の中に認知症予防活動や知識を伝え、それを常識にすべく一石を投じるため、活動の幅を広げる元年にしたいという構想を述べて、終話しました。
2024年度の目標
その後、参加者のうち事業報告などで発言をしなかった人全員が、参加しての感想や担当の事業についての意見を述べたところで、終了の時間となりました。初めてご参加の方は、共想法やほのぼの研究所、そして大武先生の研究に関する時系列の情報を把握することができたとの感想をいただきました。また、担当者それぞれは、各拠点・各事業の報告によって、共想法を実施する上での共通の難しさを共有したり、基本のキに立ち返ることができたり、多くの拠点や事業報告で、キーワードとして散見された時(歳)の流れについての対応の必要性も共有できた3時間半でした。大武所長の今後の議論の種が沢山得られたという前向きな終わりの挨拶で、合同研修は終了しました。正に、引き続き議論は続けていかなければならないと実感したことでした。
オンサイトの理研のAIPセンターの会場には、大阪府岸和田市から上京された協働事業者:有限会社ヘルスプロモートの方々、理研の研究員・スタッフ、お江戸共想法、ほのぼの研究所の市民研究員有志が集合、大武先生、協働事業者きらりびとみやしろ、マカベシルバートピアのメンバー、お江戸共想法参加者、ほのぼの研究所の市民研究員がオンラインて参加しました。
オンライン(上)、オンサイト(下)参加者
まず、大武代表理事・所長が共想法を基点に認知症にならない方法について共に考え行動するために設立した当法人の存在意義を確認するともに、1年間得られた知見を持ち寄り、持ち帰り、新しい方法につなげるために行うという開催目的と意義を述べました。
また、発表時間を、招待講演部分を除き、1事案10分に設定、質疑応答は事後まとめて行うなど、効率的な時間の使い方をして、午後のみの開催形式に設定したことを添えました。
オンサイトでの参加の様子
それぞれの事業の報告概要を順にご紹介いたします。(標題下記は発表者)
【協働事業者 野花ヘルスプロモート こころとからだへアプローチ認知症予防】
正木慎三・村田智恵、蓑田真澄、新原和
本発表は、共同研究先である理化学研究所からの招待講演として、位置づけて行われたものです。
まず、2023年2月14日契約が成立した 理化学研究所 革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ認知行動支援技術チームと有限会社 野花ヘルスプロモートと岸和田市とが協力し、「遠隔会話法を用いた新しい社会参加とその認知機能向上効果に関わる実証研究」を、合計64名の認知症ではない高齢者に対して行ったランダム化比較試験の、準備段階から事後の認知機能検査までのプロセスが詳細に説明されました。この研究は共想法アプリの高齢者への効果を明らかにすること、及び地域での効果検証を通して遠隔ステムを用いた地域包括ケアシステムの中での新しい社会参加の可能性を模索することを目的としたものです。
その後担当者4人それぞれがパネル形式で、実際に初めて遠隔共想法実験の実施者としての体験談を、被験者グループメンバーの特性を交えて述べました。共通して挙げられたのは被験者も実施者も「質問する」ということの難しさを痛感したこと。また業務で高齢者と常に接していても、話のキャッチボールを展開させるのがなかなか容易でなかったこと、そして、話題に使う写真の著作権に対する配慮。それらは、実施者を経験している者共通の課題であるため共感することでした。しかし試行錯誤を重ねる中で、終盤戦になると、共想法を続けたいという声を伺うことにもなったという嬉しい結果を伺い、ご苦労が報われたことを喜ばしく思いました。研修事後のアンケートではこの共同研究、共想法実験に興味を抱いたという声が多く挙がりました。
なお、後日談になりますが、3月11日に岸和田市で開催された「今からできる認知症の予防」と題した、遠隔会話システムを活用した認知症の発症を楽しく予防する取り組みとして紹介する「認知症ケア報告会」(講師:大武所長・野花)には、被験者の多くがご参加になり、参加者の中から、共想法に興味を持たれ、即日ほのぼの研究所賛助会員になりたいと連絡を下さった方がいらっしゃいました。
【お江戸共想法2023年度共想法実施報告】
お江戸共想法 竹田加江子・小西達夫・山藤千賀子・熊坂正博
お江戸共想法メンバーS.T.さんの漢字デザインイラストを活用したテンプレート使用の報告書
2020年から開始、42回目を迎えたお江戸共想法の2023年度の報告は、コロナ禍移住先の軽井沢の竹田加江子さんがオンラインでメインに発表し、参加者の小西達夫・熊坂正博・山藤千賀子鶴子さんらがそれぞれのサイトから、共想法参加への経緯や感想を添える形式で行われました。運営に関しては、連絡システムの構築や、役割を分担する等、徐々に理研のサポートから自立していこうという姿勢を感じさせるプロセスや結果を披露。また、独自に和光市の理化学研究所で街歩き共想法を実施、この3月に開催予定の日本橋桜通り街歩き共想法等々、お江戸共想法のモットー「楽しく参加する」を具現化しながら、アクティブに活動を進めている報告がなされました。
【協働事業者 マカべシルバートピアの活動報告】
マカベ―シルバートピア・市民研究員 永田映子
2011年のスタートから12年、2024年1月の20期終了時には、驚くことに単身にて通算504回にもなるという、介護老人保健施設における共想法の実践について述べました。2023年度も引き続き感染予防上、通所者に対してのみ、共想法方式、写真共想法形式を織り交ぜて火・木曜日に実施。コロナ禍での工夫を凝らした継続実施が奏功したようで、コロナ禍後の参加者の認知機能は維持されていたこと、90代になると、セルフコントロールができなくなるなどの老化現象が誰にでもあらわれる傾向のようだとする興味深い知見も述べられました。
なお、今年度は後期高齢者になった実施者が、入院が必要な病気や幾つかの体調変化を経験し不安の多かったこともあり、加齢に応じた充分な体調管理の重要性を実感するとともに、これまでと同じような実践の継続については大変悩ましいという、思いの丈を述べました。発表者の合同研修会における人生の大先輩を参加対象とする共想法実施報告からは、例年、参加者と実施者の時(歳)流れを実感し、同年代の仲間として共感することが年々増えているのを感じました。
【協働事業者 きらりびとみやしろ活動報告】
理化学研究所 岩田幸子(代理発表)
2022年2月から開始した遠隔共想法には2023年度はほぼ欠席なく、他拠点と同じテーマで12名の参加があったとのこと。ただし、視力・聴力の低下によるスマホ操作困難、家庭環境等の変化などで参加が難しい、従来型の集合式共想法を参加したい要望が強い等の声があるため、当初のきらりびとみやしろの共想法参加ポリシー「住み慣れた地域でいつまでもきらきらと暮らしていく」ことを改めて具現化するために、次年度からは、集合式共想法を再開する方向で体制を作る準備を進めたいとの報告がありました。
【ほのぼの研究所 講演会2022年度講演会(ブログ)実施報告】
市民研究員 長久秀子
新型コロナが第五類の伝染病に分類されたために、3年間続けたオンライン形式から、感染予防に留意して、初めてハイブリッド形式へと移行して開催したNPO法人設立15周年記念講演会(於・東大柏キャンパス)とクリスマス講演会(於・パレット柏)の実施報告を行いました。このハイブリッド講演会元年の講演会はコロナ禍でのオンライン講演会への参加阻害要因が解消され、久方ぶりの対面、新属性の方々の参加があり、さらに両講演会の招待講師が当研究所主催の2度目のご登壇の、高名な方々でいらしたこともあり、賑わいの再来は大変嬉しいことでした。
ただし、ハイブリッド開催のための新しく複雑なシステム機器の操作等へのテクニカルな能力や(時間を含む)準備不足、高齢化を含む人員体制等の事情から、視聴者にご満足いただけるものをお届けできなかったことも大きな課題となりました。NPO設立以来15年、数十回にわたりヘルスケアや認知症研究分野の錚々たる講師陣が提供下さる知見を多くの方々と共有できることは、ご好評も得ている当所の「ウリ」や伝統でもあるとして認識しているため、これをつつがなく継承していくために、実施者側にも負担を軽減した、より好ましい開催のために、改善・検討を進めていきたいという思いを述べました。
【ほのぼの研究所継続コース】
市民研究員 魚谷茜
コロナ禍の2020年の6月から、遠隔共想法のアプリの開発に応じて、理研の大きなサポートを受けながら、共に試行錯誤やトレーニングにも励み、進んできたプロセスを交えて、2023年の実施状況を説明しました。大武先生の積極的なPR戦略や様々な周知ツールを契機に、自発的に共想法参加を希望する方々もあり、福岡市、東京都、大阪府、横浜市等の遠隔地、拠点の東葛地域の15名の継続コース参加者(賛助会員)と9名の市民研究員の大所帯になりました。参加1年目の方には共想法の基本の12テーマで参加していただく等慣れていただく工夫をこらし、少々難しい「創造性を育みレジリエンスを高める」という年間テーマも共有していただきながら、ネットワークの接続不具合によるアクシデント以外は、スムーズな運用に至っているとしました。また、2020年から協力を始めた、飲料メーカーとの「お茶によるコミュニケーションが気分、QOLに与える影響」研究のために、お茶等のドリンク類の飲用を交互に行いながら、共想法後のフリートークを続けていることも添えました。
参加者が増える予定の次年度は、複数日実施ともなりそうですが、快く参加していただくための実施者の接遇等、人材としてのクオリティの維持向上を目指したスキルアップ研修を行う等の方向性を述べ、共同研究に役立つ実施提案を添えて、終話しました。
【街歩き共想法 流山本町 実施報告】
市民研究員 根岸勝壽
ほのぼの研究所主催によるものは6年ぶりとなった、流山市本旧市街界隈にて2023年11月7日(火)に行った街歩き共想法実施報告を様々な場面の写真を添えて報告。主に拠点である東葛地方の継続コース参加者、大武先生と理研のメンバー、共想法参加希望者2名を含めた21名が参加しました。最近は子育て世代の街としてのイメージが強いも、江戸川沿いの旧市街は江戸時代から明治、大正にかけて商業の中心地として栄えており、今も当時の面影を偲ばせる老舗の店舗や多くの社寺があり、白みりん発祥の地でもある界隈を散策し、カフェ併設の杜のアトリエ黎明で司会ロボットぼのちゃんの司会で共想法を行った経緯を述べました。
コロナ禍以降、オンラインによる遠隔共想法がメインで、対面共想法実施は久しぶりであったため、進行にトラブルがややありましたが、久しぶりの再会、集合しての活動に、何より参加者誰もが楽しい時を共有できたこと、さらには、体験参加者2名が揃って共想法継続コース(賛助会員として入会)に参加下さるという、嬉しい結果が生まれたと述べました。
【ほのぼの研究所 柏市共想法体験講座 「今から始める認知症予防」実施報告】
大武美保子・市民研究員 松村光輝・吉田美枝子
ほのぼの研究所の命名の由来でもあり、設立以来定期的な共想法の実践や、柏市の認知症予防に関する講座を開催してきた介護予防施設:ほのぼのプラザますおの施設としての機能変更に伴い、当施設での継続的な活動は行わないこととなりました。これに伴い、柏市社会福祉協議会のご提案もあり、1月9日(火)ラコルタ柏(柏市教育福祉会館)の多世代交流スペースにて、当会場における初の体験講座を開催しました。共想法は話を聞いただけでは、参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を直に見学、体感いただくことが必要だと考えたためです。当日は、大武先生の講話の後、参加者全員が「好きなものごと」のテーマで対面共想法の体験、研究員による遠隔共想法の実施状況の見学をメインプログラムとしました。
事後のアンケートでは、「役立つ知識を得られた」「参加者との交流や情報交換が得られた」と好評価がある一方、ロボットやスマートフォンを使うことが難しそう、説明が難解といったご意見を頂きました。続いて3月に実施の講座では、認知症予防を実践する手段としての共想法を、より身近に感じてわかりやすく理解していただけるような対策を講じていきたいと述べました。
ティーブレイクの後は、大武代表理事、所長が2023年を総括し、2024年への展望を述べました。
【2023年度まとめ・2024年度方針】
ほのぼの研究所 代表理事・所長 大武美保子
まず、初めて合同研修に初参加の方もいらしたため、共想法の成り立ちや、目的、さらに2007年からの研究体制と共想法についての研究成果を、次のように、5年ごとの中期計画に区切り、フェーズごとに述べました。2007年〜種(手法)を苗(サービス)に、2012年〜苗を畑(非営利事業)に、2017年〜畑を試験農園(検証事業)に、2022年〜試験農園を各地、各国に、農園(営利事業)の立ち上げを支援)。併せてほのぼの研究所の事業の柱(実施・普及・育成・教育・研究)と、現在行われている事業や研究との結びつきについても説明しました。
そして、改めて2023年度の目標:「2022年度に引き続き、(コロナ禍4年目& afterコロナ1年目として)さらに新しいやり方を作る」に対して、できたことを、以下のようにまとめました。
次いで、2024年度の目標としては、コロナ禍の2020〜2023年に得られた知見と、実施者や参加者が歳を重ね、時間の流れへの対応が必要であるということを踏まえて、持続可能なやり方に必要な体制を作るとする、と述べました。以下の具体例を挙げ、世の中に認知症予防活動や知識を伝え、それを常識にすべく一石を投じるため、活動の幅を広げる元年にしたいという構想を述べて、終話しました。
その後、参加者のうち事業報告などで発言をしなかった人全員が、参加しての感想や担当の事業についての意見を述べたところで、終了の時間となりました。初めてご参加の方は、共想法やほのぼの研究所、そして大武先生の研究に関する時系列の情報を把握することができたとの感想をいただきました。また、担当者それぞれは、各拠点・各事業の報告によって、共想法を実施する上での共通の難しさを共有したり、基本のキに立ち返ることができたり、多くの拠点や事業報告で、キーワードとして散見された時(歳)の流れについての対応の必要性も共有できた3時間半でした。大武所長の今後の議論の種が沢山得られたという前向きな終わりの挨拶で、合同研修は終了しました。正に、引き続き議論は続けていかなければならないと実感したことでした。
市民研究員 長久秀子
2024年1月9日13:30より、ラコルタ柏(柏市教育福祉会館)の2F多世代交流スペースにて「今から始める認知症予防」と題した共想法体験会を初めて開催いたしました。
コロナ禍以降、オンライン中心の活動なったため、出会いが限られてしまったこともあり、新しいお仲間にを出会える機会を持つ行動をしていきたいとの思いを強くしておりました。また、共想法は、話を聞いただけでは参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を直に見学いただいたり、体験いただくことが必要だと考えて、企画しました。
当日はやや気温も低く、新年早々のイベントにもかかわらず、12名の方にご参加いただきました。柏市社協福祉協会の岩田様と、ほのぼの研究所の大武代表理事・所長の開会あいさつの後、実施関係者を含めて全員で自己紹介を行いました。身近な人に認知症になった人がいる、最近の自分の行動が気になる等、自分や家族、友人の認知症を予防したいという思いで参加された方が大半を占めました。
体験講座座学
次いで大武代表理事・所長が、祖母が認知症を発症したことがきっかけとなって、認知症予防手法「共想法」開発し、以来認知症予防の研究を続けていることを皮切りに、認知症、並びにその予防に関する概論を、NHKEテレ「あしたも晴れ、人生レシピ」で紹介されたロボット司会の、認知機能の低下を防ぐ会話手法:共想法の動画も交えて、説きました。
大武所長のEテレ動画も用いた講話
休憩の後はテーマ「好きなものごと」をテーマに市民研究員によるロボット司会の、対面の共想法のデモンストレーションを見学いただきました。
その後は参加者全員が同じく「好きなものごと」のテーマで事前に提出して下さった写真をもとに、3グループに分かれて、対面の共想法を体験していただきました。
話題となったのは、思い出深いペンケース、以前訪れたオランダの風車、おしゃれなバッグ、便利なパスケース、必携しているキャンディ、可愛いペット等で、皆様しっかりと説明されました。スケジュール上質疑応答の設定時間を短くしたため、時間管理にシビアな司会ロボットぼのちゃんに容赦なく会話を中断させられた時もままありましたが、皆様初めてとは思えないほど、和気あいあいと会話が進み、楽しいふれあいのひとときをご体験いただきました。
続いてコロナ禍以降メインで実施している、在宅でも参加することのできるスマートフォンを使う遠隔共想法を、会場にいる市民研究員2人と鎌倉市在住の市民研究員が参加する様子をご覧いただきました。
参加者の共想法体験
最後に、大武所長が8020運動:80歳になっても20本以上の歯を保っていこうという、歯磨きや歯科健診を励行する口腔ケアの徹底のための運動 により、30年間で、55歳から64歳の段階で歯を失った人の割合が20%から2%と、十分の一に激減したという事実があるように、認知症予防も日頃の心がけや活動で、その有病率を十分の一に減らすことは可能と考えられるという熱い思いを伝え、終講となりました。
事後のアンケートでは、「役立つ知識を得られた」「参加者との交流や情報交換が得られた」ことが好評価として挙げられ、講座を通じて交流を楽しんで下さった方が多くいらっしゃいました。一方「スマホを使って‥」という講座説明のイメージから個人でスマホアプリを使っての認知症予防をするとのイメージを持って参加された方がいて、思っていた内容と違うと言う感想を持たれたとのことでした。ロボットやスマートフォンを使うことを難しいと感じられた方もいらっしゃいました。
講座を通じて、認知症予防についての知識を伝えると共に、それを実践する手段としての共想法をより身近に感じていただき、生活習慣としてスムーズに取り入れていただけるきっかけしていただけるよう、頂いたご意見を、続く講座に反映したいと思いました。
コロナ禍以降、オンライン中心の活動なったため、出会いが限られてしまったこともあり、新しいお仲間にを出会える機会を持つ行動をしていきたいとの思いを強くしておりました。また、共想法は、話を聞いただけでは参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を直に見学いただいたり、体験いただくことが必要だと考えて、企画しました。
当日はやや気温も低く、新年早々のイベントにもかかわらず、12名の方にご参加いただきました。柏市社協福祉協会の岩田様と、ほのぼの研究所の大武代表理事・所長の開会あいさつの後、実施関係者を含めて全員で自己紹介を行いました。身近な人に認知症になった人がいる、最近の自分の行動が気になる等、自分や家族、友人の認知症を予防したいという思いで参加された方が大半を占めました。
体験講座座学
次いで大武代表理事・所長が、祖母が認知症を発症したことがきっかけとなって、認知症予防手法「共想法」開発し、以来認知症予防の研究を続けていることを皮切りに、認知症、並びにその予防に関する概論を、NHKEテレ「あしたも晴れ、人生レシピ」で紹介されたロボット司会の、認知機能の低下を防ぐ会話手法:共想法の動画も交えて、説きました。
大武所長のEテレ動画も用いた講話
休憩の後はテーマ「好きなものごと」をテーマに市民研究員によるロボット司会の、対面の共想法のデモンストレーションを見学いただきました。
その後は参加者全員が同じく「好きなものごと」のテーマで事前に提出して下さった写真をもとに、3グループに分かれて、対面の共想法を体験していただきました。
話題となったのは、思い出深いペンケース、以前訪れたオランダの風車、おしゃれなバッグ、便利なパスケース、必携しているキャンディ、可愛いペット等で、皆様しっかりと説明されました。スケジュール上質疑応答の設定時間を短くしたため、時間管理にシビアな司会ロボットぼのちゃんに容赦なく会話を中断させられた時もままありましたが、皆様初めてとは思えないほど、和気あいあいと会話が進み、楽しいふれあいのひとときをご体験いただきました。
続いてコロナ禍以降メインで実施している、在宅でも参加することのできるスマートフォンを使う遠隔共想法を、会場にいる市民研究員2人と鎌倉市在住の市民研究員が参加する様子をご覧いただきました。
参加者の共想法体験
最後に、大武所長が8020運動:80歳になっても20本以上の歯を保っていこうという、歯磨きや歯科健診を励行する口腔ケアの徹底のための運動 により、30年間で、55歳から64歳の段階で歯を失った人の割合が20%から2%と、十分の一に激減したという事実があるように、認知症予防も日頃の心がけや活動で、その有病率を十分の一に減らすことは可能と考えられるという熱い思いを伝え、終講となりました。
事後のアンケートでは、「役立つ知識を得られた」「参加者との交流や情報交換が得られた」ことが好評価として挙げられ、講座を通じて交流を楽しんで下さった方が多くいらっしゃいました。一方「スマホを使って‥」という講座説明のイメージから個人でスマホアプリを使っての認知症予防をするとのイメージを持って参加された方がいて、思っていた内容と違うと言う感想を持たれたとのことでした。ロボットやスマートフォンを使うことを難しいと感じられた方もいらっしゃいました。
講座を通じて、認知症予防についての知識を伝えると共に、それを実践する手段としての共想法をより身近に感じていただき、生活習慣としてスムーズに取り入れていただけるきっかけしていただけるよう、頂いたご意見を、続く講座に反映したいと思いました。
市民研究員 松村光輝 吉田美枝子
房総夫婦岩
あけましておめでとうございます
旧年は、NPO法人ほのぼの研究所を設立して15年を迎える節目となる年でした。共に活動している皆様、活動を支えて下さっている皆様に、心より感謝申し上げます。
6月には、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」、通称「認知症基本法」が可決されました。本年より施行されます。この法律は、認知症の人が自身の尊厳を持ち、希望を抱いて生活を送れるようにするための法律ですが、認知症の予防に関わる取り組みの推進についても触れられています。共生と予防を柱とする認知症施策推進大綱と比べると、予防の要素が少なくなっています。予防にはさらなる研究が必要であることも一因であり、改めて、研究を加速し、社会に普及したいと意を新たにしました。一方、新型コロナウイルス感染症について、まさに共生と予防の段階となりました。5月8日以降、5類感染症に移行したことをふまえ、感染対策を施した上で、段階的に対面活動を再開する一年となりました。以下、2023年の主な取り組みについてご紹介します。
8月と12月に、2020年度よりオンライン開催、それ以前は現地開催してきた年2回開催する講演会を、現地とオンラインのハイブリッドで開催しました。約4年ぶりの現地開催、かつ、初めてのオンラインとの同時開催で、運営にはこれまでにない困難がありましたが、オンラインのみで交流してきた方に初めて対面できたり、旧知の方と約4年ぶりに再会したりと、特に現地では、対面での交流を喜び合いました。
月一回定期開催している共想法継続コースは、引き続き、スマートフォンおよびタブレットを用いた遠隔共想法形式で開催しました。遠隔共想法とは、スマートフォンおよびタブレットの画面に映し出される参加者が撮影した写真を見ながら、時間を決めて、参加者が順に話し、聞き、質問し合うものです。参加の輪は、関東近郊を中心に、九州まで広がりました。
11月には、千葉県流山本町界隈を散策して、共想法を行う街歩き共想法を実施しました。ほのぼの研究所主催による街歩き共想法は6年ぶり、またコロナ禍を機に共想法をタブレットやスマホで行う遠隔共想法に移行していたため、対面で共想法を行うのは約4年ぶりのことでした。江戸の情緒漂う旧市街を散策した後、緑あふれる庭園に囲まれた会場で、司会ロボットを用いた共想法を行いました。初めて共想法を体験された方が、共想法継続コースに参加頂ける運びとなりました。
この他、認知症予防と共想法の普及に関する新たな取り組みとして、40〜50代女性を対象とする認知症予防体験会を、理化学研究所主催で開催しました。骨密度、体組成、糖化度、脳疲労とストレスの4種類の身体測定と共に、司会ロボットを用いた共想法を体験頂き、早期介入への手ごたえを感じました。これは、ほのぼの研究所における活動の中で、認知症予防に有効な身体づくりを、40〜50代から始めることの必要性を実感したことに着想を得ています。
新年は、共想法体験会を開催するところから始めます。共想法は、話を聞いただけでは参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を横で見学頂いたり、機材を開催者が準備した上で体験参加頂いたりします。オンライン中心の活動の中で、出会いが限られてきた課題を解決すべく、新たな仲間を見つけるための活動、仕組みづくりに取り組んで参りたいと思います。
本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2024年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー 大武 美保子
2023年12月5日(火)14時30分より、柏市文化・交流総合施設パレット柏のミーティングルームで、ほのぼの研究所クリスマス講演会を開催いたしました。本年8月のNPO法人設立15周年記念講演会に続き、会場とオンラインでのハイブリッド形式での開催で、柏市のフレイル予防ポイント事業としても承認されました。
諸般の事情でご案内から開催までの日数が短く、定員数が限られた会場での企画でしたが、短期間にオンラインご視聴お申込数は約50名、現地参加申込者24名となりました。
当日は冬らしい気温となり、お出かけへのご負担が案じられましたが、神奈川県、東京都、埼玉県、並びに地元東葛地域からご参集いただき、ほのぼの研究員、理化学研究所の関係者合わせて約40名が知見を共有いたしました。
2023年クリスマス講演会チラシ
今講演会は、「暮らしに取り入れる認知症予防」と題して、招待講演講師に国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センターセンター長 島田裕之先生をお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。
島田田裕之先生は、2019年の当所の設立記念講演会に引き続き、ありがたくも2回目のご登壇でした。その設立記念講演会でも、また、同年秋に開催したその講演会のビデオ鑑賞会においてさえも、視聴者の皆様が先生のご指導に合わせて、コグニサイズのトライアルで楽しく身体を動かし、会場いっぱいに笑顔が溢れたことが懐かしく思い出されました。
招待講演講師 島田裕之先生
超ご多忙なスケジュールの中、午前の会議を終えて急ぎ愛知県の国立長寿医療研究センターから駆けつけて下さいました先生からは、認知症予防のための活動を効果的に暮らしに取り入れる極意をご教示いただけるものと、大変楽しみにしたことでした。
大武美保子弊所代表理事・所長の開会挨拶に続き、おしゃれな先生には少々ご無理をお願いしたこともあり、開口一番、「初めてサンタ帽を着用して講演しますと」おっしゃり、「頑張らない認知症予防:コグニライフのススメ」の講話が始まりました。
島田先生は平成15年北里大学大学院博士課程を修了(リハビリテーション医学)。東京都老人総合研究所研究員、Prince of Wales Medical Research Institute(Sydney, Australia)客員研究員、日本学術振興会特別研究員、東京都健康長寿医療センター研究所を経て、現在は国立長寿医療研究センターに所属。信州大学医学部、同志社大学の客員教授を併任。専門領域はリハビリテーション医学、老年学。高齢者の健康増進に関する研究を行っており、第10回社団法人日本老年医学会優秀論文賞、Geriatrics and Gerontology International Best Article Awardなどを受賞されております。現在は、認知症予防や寝たきり予防を目指した高齢者の健康増進のための効果的なプログラムの作成と効果検証の実践の他、近年では、日本医療研究開発機構や厚生労働省の研究班の代表研究者を複数務め、平成24年度介護保険制度改正にともなう認知症予防プログラムの改訂、サルコペニアの定義に関する提言等に関与なさるなど、ご活躍中です。
招待講演演題
まず初めに、認知症に関するおさらいとして、グローバルな視点、研究・治験データを織り交ぜて以下のように説明をなさいました。
・認知症者の激増は、今後日本だけでなく、世界的な課題
4,700万人(2015年)→7,500万人(2030年)→1億3,000万人(2050年)
・一番発症率の多いアルツハイマー病は症状が出る20年前から病変は始まっている
・日本の軽度認知障害(MCI)有病者率は21%であるが、一生懸命予防に取り組むと25%の人が正常に戻ることもわかっている→予防の重要性
・最近日本で販売開始となった認知症抗体治療薬レカメマブは、認知機能低下の速度を27%抑制し、発症を7〜8カ月遅らせる効果が示されているが、完全な回復や進行の停止はまだ不可能
また予防戦略としては、中年期までは教育歴、中年期以降は生活習慣(高血圧・肥満・糖尿病・喫煙・運動不足などが発症の要因)が関連すると考えられ、それを抑制するために以下3つの柱がある。
’知症予備力(脳の体力)の向上
脳のダメージの減少
G召留蠑匹慮詐
さらに、WHOの認知症予防ガイドラインとして以下が提唱されていることを述べられ、具体的には【運動習慣を持つことが認知症予防の1丁目1番地】だと説かれました。
WHOの認知症予防ガイドライン
次いで、先生がご所属の国立長寿医療研究センターで考案なさった、単純な運動するだけでなく、頭を使いながら(例えば計算をするなど)運動をする「コグニサイズ」についての説明がありました。脳の前頭葉は、望ましい活動の選択・判断や長期記憶の保持に重要な役割を担っており、加齢に伴い低下しやすいところです。コグニサイズを行うと、前頭葉の活動が活性化するという検証結果があり、認知機能の改善に繋がると説かれました。ただし、認知症の発症を先送りできるかどうかの研究については、さらに研究が必要とされました。
そして、以上の講話で挙げられたように、認知症予防に関しては世界中で研究が重ねられるも、劇的な予防方法はまだ解明されていない。予防に関して一番大事ことは【やり続けること】であると述べられました。
なぜなら、認知機能維持・低下に効果的とされる活動や方法の周知や啓蒙をしても、最初のモチベーションの継続が無残にも打ち砕かれる→多くの人達が継続してやらないという事実が存在するからです。そして、その要因を「身体的または精神的要因」「対人的要因」「環境要因」とカテゴリー別に分類して挙げられました。そうした阻害要因の数々については、大変興味深く感じるとともに、これまでの自分たちの経験を振り返り、大いに納得したことでした。
最後に、継続を阻害しにくく、できるだけ無意識でも生活の中に取り入れることのできるものとして考案された「コグニライフ」のうち、買物行動の中でできる幾つかを、先生ご出演の動画資料を使いながら、紹介して下さいました。
,舛腓ぢしウォーキング
買物はなるべく歩いて行き、歩く時には足を5センチ前に出し、膝を挙げるのではなく、後ろ足を大きくけるように、歩幅と一緒に背筋柄を伸ばした姿勢で歩く。
脳デュアルタスクの一筆書きショッピング
メニューで使う食材を記憶しておいて、スーパ―の同じ通路を通らないように一筆書きで、買い廻る方法
なるべく店入口から遠いところに駐車したり、・店内のエレベーターやエスカレーターを使わずに、身体に負荷をかける
コグニライフ買物編
さらに、国立長寿医療研究センターでは、モチベーションを高め、維持するための工夫を凝らしたアプリや場が沢山用意され、実験が続けられている旨のご紹介がありました。
そして、最後に認知症予防活動というのは、基本的には誰かがやってくれることではなく【自分でやること=やる気にならなければ始まらない。やる気スイッチはそれぞれ異なるので、様々を試してみて、自分の琴線に響く=自分の価値観に合ったものを見つけて実践するのが長続きの秘訣】だと、講話を締めくくられました。
次ぐ基調講演「最近のことを話そう」では、大武美保子代表理事・所長が最近の事を話すことが、なぜ認知症予防にいいのかということについて述べました。
基調講演演題
(1) 最近の話をすることは、なぜ認知症予防によいのか
世の中で高齢者は最近の話よりも昔の話をする傾向が見られることは、人生経験の長さが関係するも、以下の記憶のプロセス上での機能の低下がもたらすものだと述べました。
すなわち、記憶というのは以下の3つのプロセスをきちんと踏んだ時に成立します。
【覚えること】(記銘)…体験したことを頭に刻み込む、覚えること
【覚えておくことと】(保持)…体験したことを覚えておくこと
【思い出すこと】(想起)…思いだすこと
最近の話をする時には=´↓がきちんとできていると言える。
昔の話をする時には=↓ができていると言える。,論里任ていたが、今できるかどうかはわからない。
最近の話をしなくなった=最近のことについて´↓のいずれかができない可能性があることを意味する。昔の話ができるのであれば、↓はできているので、,できなくなっている可能性が高い。この機能は認知症になると最初に低下する機能でもある。
最近の話をしない時に、最近の話をしようとしないだけでしようとすればできるのか、しようとしてもできなくなっているのかは、話してみることを通じて確かめることができます。
脳には可塑性があるため、最近の話をしていないと感じたら、衰えやすい認知機能を底上げするべく、「最近の話をする」ように心がけるとよい、説きました。
最近のことを話せる時、話せない時の記憶のプロセス
(2)共想法は最近のことを話すのにふさわしい手法
認知症予防のための会話支援手法として考案した共想法は、予め設定されたテーマに沿って撮影した写真を持ち寄り、時間と順番を決めて、話し手はそれぞれ、映し出された写真を時間内に話し、その後他の参加者からの質問などに答え自分の体験をより深く考える手法で、一連の作業を通して、「体験記憶」「注意分割機能」、「計画力」等を総合的に使い、歳を重ねると誰でも起こり得る認知機能低下を遅らせ、長持ちする脳の使い方を実践するものと説明しました。そして「最近のことを話す」のに効果的なお勧めのテーマとしては「10分歩いてみつけたもの」だとのアドバイスがありました。
また理化学研究所での研究で「共想法をした人」と「雑談をした人」との比較実験に於いて、記憶機能の高い人は最近の話をする傾向が強く、さらに過去に得た体験や知識を織り交ぜて話すなど、記憶機能をふんだんに使っていることが検証されたことを紹介しました。最近のことを具体的に話すために、その周辺情報などを収集したり、スマホや写真に記録することを習慣化することは、最近の話をするために役立つことだと述べました。
(3)共想法は会話支援手法から会話訓練法へ
これまで共想法は、認知機能を活用する会話のやり方を助けるという意味で、共想法を会話「支援」手法と呼んでいました。共想法は「最近の話をする」ことは勿論、さらに「よく聴く」「聴いたことを憶えておいて、それに質問する」という認知機能低下を抑えるために、難易度の高いプロセスを擁しています。これからは、共想法に参加している時に、認知機能を活用するだけでなく、認知機能を活用する会話のやり方を、日常生活における会話において習慣化させるための、会話「訓練」法としていきたいと、抱負を述べました。
(4)共想法に参加するには
現在、共想法への参加はコロナ禍で集合が叶わなくなったため、オリジナル開発のアプリを搭載したスマホやタブレットを使って、全国どこからでも参加できる遠隔共想法をメインに実践しています。今後は、遠隔でも勿論参加できるが、ある場所に何名か集まれば、そこで遠隔参加者と共に現地で共想法に参加できるような、ハイブリッドなやり方を考えているとし、2023年度内の開催予定を案内しました(2024年1月9日と、3月6日・於ラコルタ柏)。また、2023年11月に再開した、街歩きと対面の共想法のコラボである「街歩き共想法」も恒例行事と展開していきたいとして、参加をご案内し、終話しました。
休憩を挟んでの対談では、両講師が「年末年始こそ、認知症予防」と題して、昨今は世代や家族構成による年末年始への意識や行動の変化は見られるものの、家族や友人たちが集まる機会が多く、一年を振り返り、新しい一年の計画を立てる頃でもあるため、この時ならではの認知症予防に効果のある過ごし方ついて意見を交わしました
。
対談
まずは、この1年の記憶を整理し、それに基づいて次の1年の計画を立てるなど、まさに最近のことを思い出し、話すことで認知機能を活用するチャンスでもあると位置づけられました。さらに、好ましい食生活として、DHAやEPAを含むゴマメや、ポリフェノールを含む黒豆等、積極的に摂るべき食材を使った多様なおせち料理の数々を少しずつ食することが挙げられました。また、カルタ、百人一首、花札、トランプなどのカードゲームで記憶力を活用し、社寺等の階段の昇降で筋肉に負荷をかけ、遠回りしての初詣で有酸素運動するなど、年末年始には、頑張らなくてもできるコグニライフにつながる伝統の生活習慣が多々あることを再確認、来るべき年末年始には、改めてこうしたことを意識しながら過ごそうと思ったことでした。
事後のアンケート調査では2度目のハイブリッドで開催にも関わらず、画面、音声、運営等の課題へのご意見をいただき、次回の反省材料になりました。比較的狭い会場での開催が案じられましたが、身近で講師の先生の講話が聴けたのがよかったというお声や、生活の中に気負いなく取り入れる認知症予防の情報が得られたので、早速取り入れたいというご意見をいただき、休心したことでした。
ご参加の皆様
講演会終了後の多目的スペースでの交流会には、講演会に引き続きご参加いただいた方が多く、嬉しいことでした。大武所長の挨拶の後、記念写真を撮り、共同研究先の伊藤園様の多種のペットボトル飲料のうち、お好みのものお選びいただいて、乾杯。次いで全員が、時間を決めて自己紹介をし、その後は、講師の先生や久方ぶり、あるいは初めての御目文字同士が歓談し、17時過ぎに「どうぞ良いお年を」と挨拶を交わし、お名残り惜しく散会しました。
記念撮影
歓談の様子1
歓談の様子2
最後になりましたが、今講演会・交流会開催に当たり、様々なサポートをしていただきましたパレット柏や柏市高齢化支援課のご担当の方々、また国立長寿医療研究センターの方々、並びにご参加、ご尽力いただきましたすべての皆様に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
諸般の事情でご案内から開催までの日数が短く、定員数が限られた会場での企画でしたが、短期間にオンラインご視聴お申込数は約50名、現地参加申込者24名となりました。
当日は冬らしい気温となり、お出かけへのご負担が案じられましたが、神奈川県、東京都、埼玉県、並びに地元東葛地域からご参集いただき、ほのぼの研究員、理化学研究所の関係者合わせて約40名が知見を共有いたしました。
2023年クリスマス講演会チラシ
今講演会は、「暮らしに取り入れる認知症予防」と題して、招待講演講師に国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センターセンター長 島田裕之先生をお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。
島田田裕之先生は、2019年の当所の設立記念講演会に引き続き、ありがたくも2回目のご登壇でした。その設立記念講演会でも、また、同年秋に開催したその講演会のビデオ鑑賞会においてさえも、視聴者の皆様が先生のご指導に合わせて、コグニサイズのトライアルで楽しく身体を動かし、会場いっぱいに笑顔が溢れたことが懐かしく思い出されました。
招待講演講師 島田裕之先生
超ご多忙なスケジュールの中、午前の会議を終えて急ぎ愛知県の国立長寿医療研究センターから駆けつけて下さいました先生からは、認知症予防のための活動を効果的に暮らしに取り入れる極意をご教示いただけるものと、大変楽しみにしたことでした。
大武美保子弊所代表理事・所長の開会挨拶に続き、おしゃれな先生には少々ご無理をお願いしたこともあり、開口一番、「初めてサンタ帽を着用して講演しますと」おっしゃり、「頑張らない認知症予防:コグニライフのススメ」の講話が始まりました。
島田先生は平成15年北里大学大学院博士課程を修了(リハビリテーション医学)。東京都老人総合研究所研究員、Prince of Wales Medical Research Institute(Sydney, Australia)客員研究員、日本学術振興会特別研究員、東京都健康長寿医療センター研究所を経て、現在は国立長寿医療研究センターに所属。信州大学医学部、同志社大学の客員教授を併任。専門領域はリハビリテーション医学、老年学。高齢者の健康増進に関する研究を行っており、第10回社団法人日本老年医学会優秀論文賞、Geriatrics and Gerontology International Best Article Awardなどを受賞されております。現在は、認知症予防や寝たきり予防を目指した高齢者の健康増進のための効果的なプログラムの作成と効果検証の実践の他、近年では、日本医療研究開発機構や厚生労働省の研究班の代表研究者を複数務め、平成24年度介護保険制度改正にともなう認知症予防プログラムの改訂、サルコペニアの定義に関する提言等に関与なさるなど、ご活躍中です。
招待講演演題
まず初めに、認知症に関するおさらいとして、グローバルな視点、研究・治験データを織り交ぜて以下のように説明をなさいました。
・認知症者の激増は、今後日本だけでなく、世界的な課題
4,700万人(2015年)→7,500万人(2030年)→1億3,000万人(2050年)
・一番発症率の多いアルツハイマー病は症状が出る20年前から病変は始まっている
・日本の軽度認知障害(MCI)有病者率は21%であるが、一生懸命予防に取り組むと25%の人が正常に戻ることもわかっている→予防の重要性
・最近日本で販売開始となった認知症抗体治療薬レカメマブは、認知機能低下の速度を27%抑制し、発症を7〜8カ月遅らせる効果が示されているが、完全な回復や進行の停止はまだ不可能
また予防戦略としては、中年期までは教育歴、中年期以降は生活習慣(高血圧・肥満・糖尿病・喫煙・運動不足などが発症の要因)が関連すると考えられ、それを抑制するために以下3つの柱がある。
’知症予備力(脳の体力)の向上
脳のダメージの減少
G召留蠑匹慮詐
さらに、WHOの認知症予防ガイドラインとして以下が提唱されていることを述べられ、具体的には【運動習慣を持つことが認知症予防の1丁目1番地】だと説かれました。
WHOの認知症予防ガイドライン
次いで、先生がご所属の国立長寿医療研究センターで考案なさった、単純な運動するだけでなく、頭を使いながら(例えば計算をするなど)運動をする「コグニサイズ」についての説明がありました。脳の前頭葉は、望ましい活動の選択・判断や長期記憶の保持に重要な役割を担っており、加齢に伴い低下しやすいところです。コグニサイズを行うと、前頭葉の活動が活性化するという検証結果があり、認知機能の改善に繋がると説かれました。ただし、認知症の発症を先送りできるかどうかの研究については、さらに研究が必要とされました。
そして、以上の講話で挙げられたように、認知症予防に関しては世界中で研究が重ねられるも、劇的な予防方法はまだ解明されていない。予防に関して一番大事ことは【やり続けること】であると述べられました。
なぜなら、認知機能維持・低下に効果的とされる活動や方法の周知や啓蒙をしても、最初のモチベーションの継続が無残にも打ち砕かれる→多くの人達が継続してやらないという事実が存在するからです。そして、その要因を「身体的または精神的要因」「対人的要因」「環境要因」とカテゴリー別に分類して挙げられました。そうした阻害要因の数々については、大変興味深く感じるとともに、これまでの自分たちの経験を振り返り、大いに納得したことでした。
最後に、継続を阻害しにくく、できるだけ無意識でも生活の中に取り入れることのできるものとして考案された「コグニライフ」のうち、買物行動の中でできる幾つかを、先生ご出演の動画資料を使いながら、紹介して下さいました。
,舛腓ぢしウォーキング
買物はなるべく歩いて行き、歩く時には足を5センチ前に出し、膝を挙げるのではなく、後ろ足を大きくけるように、歩幅と一緒に背筋柄を伸ばした姿勢で歩く。
脳デュアルタスクの一筆書きショッピング
メニューで使う食材を記憶しておいて、スーパ―の同じ通路を通らないように一筆書きで、買い廻る方法
なるべく店入口から遠いところに駐車したり、・店内のエレベーターやエスカレーターを使わずに、身体に負荷をかける
コグニライフ買物編
さらに、国立長寿医療研究センターでは、モチベーションを高め、維持するための工夫を凝らしたアプリや場が沢山用意され、実験が続けられている旨のご紹介がありました。
そして、最後に認知症予防活動というのは、基本的には誰かがやってくれることではなく【自分でやること=やる気にならなければ始まらない。やる気スイッチはそれぞれ異なるので、様々を試してみて、自分の琴線に響く=自分の価値観に合ったものを見つけて実践するのが長続きの秘訣】だと、講話を締めくくられました。
次ぐ基調講演「最近のことを話そう」では、大武美保子代表理事・所長が最近の事を話すことが、なぜ認知症予防にいいのかということについて述べました。
基調講演演題
(1) 最近の話をすることは、なぜ認知症予防によいのか
世の中で高齢者は最近の話よりも昔の話をする傾向が見られることは、人生経験の長さが関係するも、以下の記憶のプロセス上での機能の低下がもたらすものだと述べました。
すなわち、記憶というのは以下の3つのプロセスをきちんと踏んだ時に成立します。
【覚えること】(記銘)…体験したことを頭に刻み込む、覚えること
【覚えておくことと】(保持)…体験したことを覚えておくこと
【思い出すこと】(想起)…思いだすこと
最近の話をする時には=´↓がきちんとできていると言える。
昔の話をする時には=↓ができていると言える。,論里任ていたが、今できるかどうかはわからない。
最近の話をしなくなった=最近のことについて´↓のいずれかができない可能性があることを意味する。昔の話ができるのであれば、↓はできているので、,できなくなっている可能性が高い。この機能は認知症になると最初に低下する機能でもある。
最近の話をしない時に、最近の話をしようとしないだけでしようとすればできるのか、しようとしてもできなくなっているのかは、話してみることを通じて確かめることができます。
脳には可塑性があるため、最近の話をしていないと感じたら、衰えやすい認知機能を底上げするべく、「最近の話をする」ように心がけるとよい、説きました。
最近のことを話せる時、話せない時の記憶のプロセス
(2)共想法は最近のことを話すのにふさわしい手法
認知症予防のための会話支援手法として考案した共想法は、予め設定されたテーマに沿って撮影した写真を持ち寄り、時間と順番を決めて、話し手はそれぞれ、映し出された写真を時間内に話し、その後他の参加者からの質問などに答え自分の体験をより深く考える手法で、一連の作業を通して、「体験記憶」「注意分割機能」、「計画力」等を総合的に使い、歳を重ねると誰でも起こり得る認知機能低下を遅らせ、長持ちする脳の使い方を実践するものと説明しました。そして「最近のことを話す」のに効果的なお勧めのテーマとしては「10分歩いてみつけたもの」だとのアドバイスがありました。
また理化学研究所での研究で「共想法をした人」と「雑談をした人」との比較実験に於いて、記憶機能の高い人は最近の話をする傾向が強く、さらに過去に得た体験や知識を織り交ぜて話すなど、記憶機能をふんだんに使っていることが検証されたことを紹介しました。最近のことを具体的に話すために、その周辺情報などを収集したり、スマホや写真に記録することを習慣化することは、最近の話をするために役立つことだと述べました。
(3)共想法は会話支援手法から会話訓練法へ
これまで共想法は、認知機能を活用する会話のやり方を助けるという意味で、共想法を会話「支援」手法と呼んでいました。共想法は「最近の話をする」ことは勿論、さらに「よく聴く」「聴いたことを憶えておいて、それに質問する」という認知機能低下を抑えるために、難易度の高いプロセスを擁しています。これからは、共想法に参加している時に、認知機能を活用するだけでなく、認知機能を活用する会話のやり方を、日常生活における会話において習慣化させるための、会話「訓練」法としていきたいと、抱負を述べました。
(4)共想法に参加するには
現在、共想法への参加はコロナ禍で集合が叶わなくなったため、オリジナル開発のアプリを搭載したスマホやタブレットを使って、全国どこからでも参加できる遠隔共想法をメインに実践しています。今後は、遠隔でも勿論参加できるが、ある場所に何名か集まれば、そこで遠隔参加者と共に現地で共想法に参加できるような、ハイブリッドなやり方を考えているとし、2023年度内の開催予定を案内しました(2024年1月9日と、3月6日・於ラコルタ柏)。また、2023年11月に再開した、街歩きと対面の共想法のコラボである「街歩き共想法」も恒例行事と展開していきたいとして、参加をご案内し、終話しました。
休憩を挟んでの対談では、両講師が「年末年始こそ、認知症予防」と題して、昨今は世代や家族構成による年末年始への意識や行動の変化は見られるものの、家族や友人たちが集まる機会が多く、一年を振り返り、新しい一年の計画を立てる頃でもあるため、この時ならではの認知症予防に効果のある過ごし方ついて意見を交わしました
。
対談
まずは、この1年の記憶を整理し、それに基づいて次の1年の計画を立てるなど、まさに最近のことを思い出し、話すことで認知機能を活用するチャンスでもあると位置づけられました。さらに、好ましい食生活として、DHAやEPAを含むゴマメや、ポリフェノールを含む黒豆等、積極的に摂るべき食材を使った多様なおせち料理の数々を少しずつ食することが挙げられました。また、カルタ、百人一首、花札、トランプなどのカードゲームで記憶力を活用し、社寺等の階段の昇降で筋肉に負荷をかけ、遠回りしての初詣で有酸素運動するなど、年末年始には、頑張らなくてもできるコグニライフにつながる伝統の生活習慣が多々あることを再確認、来るべき年末年始には、改めてこうしたことを意識しながら過ごそうと思ったことでした。
事後のアンケート調査では2度目のハイブリッドで開催にも関わらず、画面、音声、運営等の課題へのご意見をいただき、次回の反省材料になりました。比較的狭い会場での開催が案じられましたが、身近で講師の先生の講話が聴けたのがよかったというお声や、生活の中に気負いなく取り入れる認知症予防の情報が得られたので、早速取り入れたいというご意見をいただき、休心したことでした。
ご参加の皆様
講演会終了後の多目的スペースでの交流会には、講演会に引き続きご参加いただいた方が多く、嬉しいことでした。大武所長の挨拶の後、記念写真を撮り、共同研究先の伊藤園様の多種のペットボトル飲料のうち、お好みのものお選びいただいて、乾杯。次いで全員が、時間を決めて自己紹介をし、その後は、講師の先生や久方ぶり、あるいは初めての御目文字同士が歓談し、17時過ぎに「どうぞ良いお年を」と挨拶を交わし、お名残り惜しく散会しました。
記念撮影
歓談の様子1
歓談の様子2
最後になりましたが、今講演会・交流会開催に当たり、様々なサポートをしていただきましたパレット柏や柏市高齢化支援課のご担当の方々、また国立長寿医療研究センターの方々、並びにご参加、ご尽力いただきましたすべての皆様に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
市民研究員 鈴木晃・長久秀子
2023年12月5日(火)14時30分より、ほのぼの研究所クリスマス講演会を開催いたしました。
本年8月のNPO法人設立15周年記念講演会に続き、会場とオンラインでのハイブリッド形式での開催で、柏市のフレイル予防ポイント事業としても承認されました。
今講演会は、「暮らしに取り入れる認知症予防」と題して、国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センターセンター長 島田裕之先生を招待講演講師としてお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。動画をクリックすると再生が始まります。大きい画面でご覧になりたい方は、その後右下に表示されるYouTubeという文字をクリックすると、YouTubeのページが開きます。YouTubeのページからは、全画面表示が可能です。
招待講演
【暮らしに取り入れる認知症予防】頑張らない認知症予防:コグニライフのススメ 島田 裕之
基調講演
【暮らしに取り入れる認知症予防】最近のことを話そう 大武 美保子
両講師の対談
【暮らしに取り入れる認知症予防】対談−島田 裕之×大武 美保子 「年末年始こそ、認知症予防」
2023年11月7日(火)千葉県流山本町界隈を散策して、共想法を行う街歩き共想法を実施しました。ほのぼの研究所主催による街歩き共想法は6年ぶり、またコロナ禍を期に共想法をタブレットやスマホで行う遠隔共想法に移行していたため、対面で共想法を行うのは約4年ぶりのことでした。
昨今は、「都心から一番近い森のまち」「人口増加率連続トップ」…等々新しい街のイメージが強い流山市ですが、江戸川沿いの旧市街は江戸時代から明治、大正にかけて商業の中心地として栄えていました。今も当時の面影を忍ばせる老舗の店舗や多くの社寺が存在しています。また、白みりん発祥の地でもあり、都心から一番近いローカル線流鉄流山線も走っています。比較的限られたエリアに、見どころが点在しているため、誰もが負担が少なく参加しやすいところとして選びました。
街歩き共想法流山本町の案内チラシ
11月に入ってからも夏日が続き、当日も当然のように小春日和を想定していたため、夜来の風雨には不安になりましたが、流鉄流山駅での集合時間頃にはそれもおさまり、一安心。コロナ禍以来久しく画面上でのやりとりしかしていなかったお仲間や体験参加者との笑顔の対面が叶いました。大武先生の挨拶の後、記念写真を撮り、市民研究員、共想法参加者、体験参加者、理研のスタッフ計21名の参加者は、早速3グループに分かれて、ランチを終えて共想法に参加する会場に集合するまでの約3時間弱の散策を、奇しくも流山街道を渡って右折、直進、左折と3方に分かれてスタートしました。
出発の前に記念撮影
散策コースを相談中
各グループのリーダーは市民研究員が務めさせていただきました。各グループの散策コースは以下の通りでした。
第1グループ:
村田畳店➡新川呉服店➡浅間神社➡近藤勇陣屋前➡流山まちなかミュージアム➡一茶双樹記念館➡(ランチ)
(解散後も有志で光明院、赤城神社、村田畳店へ)
第2グループ:
(株)秋元(市産品販売)➡近藤勇陣屋跡➡葉茶屋寺田園(ランチ予約)➡閻魔堂➡常与寺➡浅間神社➡新川呉服店➡(ランチ‥葉茶屋寺田園)・流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム➡流山まちなかミュージアム
第3グループ:
新川呉服店➡笹屋商店(布団)➡浅間神社➡常与寺➡紙平醤油醸造所跡➡流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム(葉茶屋寺田園)➡流山まちなかミュージアム➡一茶双樹記念館➡赤城神社➡(ランチ)
街歩き中 閻魔堂付近
街歩き中 一茶双樹記念館の庭
事前に配布した観光案内を参考にランチスポットをを予約したちょっぴりグルメ派、老舗の店舗内で店主とも会話を交わした交流派、往時の街並みやたたずまいを満喫したごゆるり派の3グループは、比較的限定されたエリアにも拘らず、グループ同士が同じスポットで出会うことはほとんどなく、それぞれの散策を楽しんで、13時の共想法開始に合わせて杜のアトリエ黎明に集まりました。ここは流山市出身の画家夫妻のアトリエ跡で、流山市が寄贈を受け、市民の芸術・文化活動の拠点としているところです。雨あがりの美しく色づき始めた木々や季節の花にあふれた美しい庭園を眺めて、早めのお茶をいただき、談笑しながら、散策時に撮りためた写真の中から、今回の共想法のテーマ「私の発見」に使う傑作を選び、写真登録などの実施準備を待ちました。
杜のアトリエ黎明入口
果たして、4年ぶりの対面の共想法が「これから共想法を始めます!!」という司会ロボット:ぼのちゃんの元気な声で始まりました。準備の都合で写真1枚ずつ4セッションを行いましたが、事前に情報を得て街歩きに臨まれた方が多く、同じスポットを巡った方々同志でしたので、質疑応答はとても活発に交わされました。さらに、同じスポットをめぐったのに気が付かなかったり、視点の違う見方もあったりと、共想法に参加することでさらに新しい「私の発見」をすることができました。また、体験参加者の方々もすぐに馴染んで共想法の輪にも入っていただけて、和気あいあいのうちに、終えることができました。
共想法実施風景1
共想法実施風景2
午前中の街歩きで、多くの方々がほぼ1万歩程を歩かれたようです。ご自宅から街歩き共想法に参加されることで、充分に身体を動かし、様々な認知機能を使われ、しかも久方ぶりの対面も叶って楽しく過ごされたようで、皆様が笑顔で、さらに見落としていたスポットやお土産屋さんに行くからと元気に告げながら、帰途に着かれたのを拝見して、担当者として安堵したことでした。
そして、体験参加者お二人が、早速賛助会員になられて、近々共想法に参加されることになったことも嬉しいことでした。
昨今は、「都心から一番近い森のまち」「人口増加率連続トップ」…等々新しい街のイメージが強い流山市ですが、江戸川沿いの旧市街は江戸時代から明治、大正にかけて商業の中心地として栄えていました。今も当時の面影を忍ばせる老舗の店舗や多くの社寺が存在しています。また、白みりん発祥の地でもあり、都心から一番近いローカル線流鉄流山線も走っています。比較的限られたエリアに、見どころが点在しているため、誰もが負担が少なく参加しやすいところとして選びました。
街歩き共想法流山本町の案内チラシ
11月に入ってからも夏日が続き、当日も当然のように小春日和を想定していたため、夜来の風雨には不安になりましたが、流鉄流山駅での集合時間頃にはそれもおさまり、一安心。コロナ禍以来久しく画面上でのやりとりしかしていなかったお仲間や体験参加者との笑顔の対面が叶いました。大武先生の挨拶の後、記念写真を撮り、市民研究員、共想法参加者、体験参加者、理研のスタッフ計21名の参加者は、早速3グループに分かれて、ランチを終えて共想法に参加する会場に集合するまでの約3時間弱の散策を、奇しくも流山街道を渡って右折、直進、左折と3方に分かれてスタートしました。
出発の前に記念撮影
散策コースを相談中
各グループのリーダーは市民研究員が務めさせていただきました。各グループの散策コースは以下の通りでした。
第1グループ:
村田畳店➡新川呉服店➡浅間神社➡近藤勇陣屋前➡流山まちなかミュージアム➡一茶双樹記念館➡(ランチ)
(解散後も有志で光明院、赤城神社、村田畳店へ)
第2グループ:
(株)秋元(市産品販売)➡近藤勇陣屋跡➡葉茶屋寺田園(ランチ予約)➡閻魔堂➡常与寺➡浅間神社➡新川呉服店➡(ランチ‥葉茶屋寺田園)・流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム➡流山まちなかミュージアム
第3グループ:
新川呉服店➡笹屋商店(布団)➡浅間神社➡常与寺➡紙平醤油醸造所跡➡流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム(葉茶屋寺田園)➡流山まちなかミュージアム➡一茶双樹記念館➡赤城神社➡(ランチ)
街歩き中 閻魔堂付近
街歩き中 一茶双樹記念館の庭
事前に配布した観光案内を参考にランチスポットをを予約したちょっぴりグルメ派、老舗の店舗内で店主とも会話を交わした交流派、往時の街並みやたたずまいを満喫したごゆるり派の3グループは、比較的限定されたエリアにも拘らず、グループ同士が同じスポットで出会うことはほとんどなく、それぞれの散策を楽しんで、13時の共想法開始に合わせて杜のアトリエ黎明に集まりました。ここは流山市出身の画家夫妻のアトリエ跡で、流山市が寄贈を受け、市民の芸術・文化活動の拠点としているところです。雨あがりの美しく色づき始めた木々や季節の花にあふれた美しい庭園を眺めて、早めのお茶をいただき、談笑しながら、散策時に撮りためた写真の中から、今回の共想法のテーマ「私の発見」に使う傑作を選び、写真登録などの実施準備を待ちました。
杜のアトリエ黎明入口
果たして、4年ぶりの対面の共想法が「これから共想法を始めます!!」という司会ロボット:ぼのちゃんの元気な声で始まりました。準備の都合で写真1枚ずつ4セッションを行いましたが、事前に情報を得て街歩きに臨まれた方が多く、同じスポットを巡った方々同志でしたので、質疑応答はとても活発に交わされました。さらに、同じスポットをめぐったのに気が付かなかったり、視点の違う見方もあったりと、共想法に参加することでさらに新しい「私の発見」をすることができました。また、体験参加者の方々もすぐに馴染んで共想法の輪にも入っていただけて、和気あいあいのうちに、終えることができました。
共想法実施風景1
共想法実施風景2
午前中の街歩きで、多くの方々がほぼ1万歩程を歩かれたようです。ご自宅から街歩き共想法に参加されることで、充分に身体を動かし、様々な認知機能を使われ、しかも久方ぶりの対面も叶って楽しく過ごされたようで、皆様が笑顔で、さらに見落としていたスポットやお土産屋さんに行くからと元気に告げながら、帰途に着かれたのを拝見して、担当者として安堵したことでした。
そして、体験参加者お二人が、早速賛助会員になられて、近々共想法に参加されることになったことも嬉しいことでした。
市民研究員 根岸 勝壽・吉田 美枝子
2023年9月15〜17日に新潟市朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターにて、第12回日本認知症予防学会が開催されました。会場はガラス張りの建物で、広々として気分が良いところでした。
朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター
初日の15日にはメインホールで、大武美保子先生がシンポジウム1「次世代認知症診療セッション」に参加され、認知症予防とAIについて講演されました。認知症予防学会らしく、若い世代への認知症予防への取り組みに注目が集まっていました。座長は、2020年のほのぼの研究所のクリスマス講演会に招待講演講師としてご登壇いただいた、北九州市の、医療法人ふらて会 西野病院の西野憲史先生と、大分大学医学部神経内科の木村成志先生でした。
大武先生講演
私は「コロナ禍における会話支援技術共想法の介護施設における実践: 通所者と入所者の認知機能と満足度に関する考察」と題して、マカベシルバートピアにおける共想法について、主にコロナ禍における活動についてポスター発表をさせていただきました。ポスター会場設営の際には、椅子の上でよろよろしていた私を見かねたのでしょうか、北海道の二人のナースが声をかけて手伝って下さり、すっかり仕上げることができました。
ポスターセッション
初日には気が付かなかったのですが、会場入り口に大きな水槽があり、中にはきらびやかな錦鯉が優雅に泳いでいました。お土産売り場の笹団子にばかり気をとられて、うっかり素敵な鯉を見逃すところでした。
新潟の錦鯉
予想に反して新潟はかなり暑かったにもかかわらず、色鮮やかなお祭りの恰好をした若い人達が大通りを元気よく歩いていました。新潟市では9月16〜18日、にいがた総おどり祭が開催されたようでしたが、残念ながら踊りは見逃してしまいました。新潟は美味しいものの宝庫ですので、何を選んだら良いやらお土産選びが大変でした。
朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター
初日の15日にはメインホールで、大武美保子先生がシンポジウム1「次世代認知症診療セッション」に参加され、認知症予防とAIについて講演されました。認知症予防学会らしく、若い世代への認知症予防への取り組みに注目が集まっていました。座長は、2020年のほのぼの研究所のクリスマス講演会に招待講演講師としてご登壇いただいた、北九州市の、医療法人ふらて会 西野病院の西野憲史先生と、大分大学医学部神経内科の木村成志先生でした。
大武先生講演
私は「コロナ禍における会話支援技術共想法の介護施設における実践: 通所者と入所者の認知機能と満足度に関する考察」と題して、マカベシルバートピアにおける共想法について、主にコロナ禍における活動についてポスター発表をさせていただきました。ポスター会場設営の際には、椅子の上でよろよろしていた私を見かねたのでしょうか、北海道の二人のナースが声をかけて手伝って下さり、すっかり仕上げることができました。
ポスターセッション
初日には気が付かなかったのですが、会場入り口に大きな水槽があり、中にはきらびやかな錦鯉が優雅に泳いでいました。お土産売り場の笹団子にばかり気をとられて、うっかり素敵な鯉を見逃すところでした。
新潟の錦鯉
予想に反して新潟はかなり暑かったにもかかわらず、色鮮やかなお祭りの恰好をした若い人達が大通りを元気よく歩いていました。新潟市では9月16〜18日、にいがた総おどり祭が開催されたようでしたが、残念ながら踊りは見逃してしまいました。新潟は美味しいものの宝庫ですので、何を選んだら良いやらお土産選びが大変でした。
市民研究員・マカベシルバートピア共想法実践者 永田 映子
ほのぼの研究所は2008年7月にNPO法人化をいたしました。お蔭様で本年設立15周年を無事迎えることができました。案じられた台風7号の直撃を免れ、2023年8月16日(水)13時30分より、設立15周年記念講演会「いつから始める?フレイル・認知症予防」を、柏市柏の葉の東京大学柏図書館メディアホールで開催しました。新型コロナウィルスが第5類伝染病に分類されたこともあり、会場とオンラインでのハイブリッド形式で開催しました。メディアホールはほのぼの研究所が草創期、大武所長が東大准教授時代に何度か講演会を開催した懐かしい会場でもあります。
招待講演「全国展開をしているフレイル予防運動」(「フレイル予防」はまさに地域づくり〜地域住民の力を信じる〜)、基調講演「フレイルチェックにヒントを得た認知症予防体験会のデザイン」、対談「いつから始める?フレイル・認知症予防」、そして会場での交流会の4部構成といたしました。今回は理化学研究所の共想法のランダム化比較試験にご協力いただいた方々をはじめとする多くの多くの方々にご案内をしたり、久方ぶりでの会場での開催でもあったため、オンライン、会場、そして後日の動画の視聴をご希望の方を合わせると、169名からご視聴お申込みをいただきました。また会場には、西東京市、柏市のフレイルサポーターの皆様、プレス関係の方を含めて、遠来、近隣の70名近い方々にお運びいただきました。
設立15周年記念講演会チラシ
ほのぼの研究所大武代表理事・所長の、15年間を振り返り、これまでのご支持への感謝を込めた開会挨拶に続き、早速、東京大学高齢社会総合研究機構 機構長、未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢先生にご登壇いただきました。飯島先生は老年医学、老年学(ジェロントロジー;総合老年学)がご専門で、特に健康長寿実現に向けたフレイル予防を軸とした超高齢社会の総合まちづくり研究におきまして、第一人者でいらっしゃいます。
飯島先生には、昨年より大武所長がプロジェクリーダーを務める内閣府のムーンショット型研究開発事業目標3「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」の「ありたい未来を共に考え、行動を促すAIロボット」プロジェクトにおいて、スターティングメンバーの課題推進者としてもご尽力いただいており、高齢社会の大きな課題解消に向けての活動を推進していらっしゃる研究者として、貴重なご教示をいただけると確信して、招待講演講師としてお招きした次第です。
ムーンショットプロジェクト スターティングメンバー
実は、飯島先生には2016年の弊所設立記念講演会に一度ご登壇いただいております。当時、まだ一般には耳慣れないフレイル(高齢になって多面的な能力や筋力が衰え、要介護になる手前、かつ介入次第で元の状態へ戻りうる状態)という用語を説明され、健康長寿を保つためにはより早期からの「栄養(食事・口腔機能)、身体活動(生活活動・運動など)、社会参加・社会活動(つながり・地域交流など)の3要素が必要であること、そして地域住民がフレイル予防のための、市民サポーター(フレイルサポーター)が中心となって予防活動を実践し、その効果が如実に表れ始めているという経緯を熱く語られたことは、今でも印象に強く残っております。
飯島勝矢 高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授
フレイル予防のための3本柱
今回は、「フレイル予防は、まさに地域づくり〜地域住民力を信じる〜」と題して、2023年8月現在、101の自治体にまで導入が進んだフレイルサポーターによるフレイル予防活動が、より大きく日本各地に広がってほしいという、先生の生きがいと言い切られる理想を目指して、住民の方々の力を信じて歩まれている道程とそれの基盤となっている確固たるポリシーや、そして意気込みを、さらに熱く、そしてわかりやすく語られました。
「フレイル予防」はまさに地域づくり~地域住民の力を信じる~
まずフレイルサポーター活動は、「住民による」「住民のため」の真のフレイル予防として明言されました。なぜなら、しっかりした基盤(フレイルサポータ― + フレイルトレーナー + 行政)に基づき、柏スタディ等のエビデンスに基づくフレイルサポーター主体の質問票と実測よるフレイルチェックと予防活動であり、その場は住民の集いの場でもあり、参加住民の健康意識や社会参加などの気づきの場であると説明されました。
生きがいを感じる地域貢献活動
また、フレイルサポーター活動は、自分たちの「まち」を自分たちで守り創る生きがいのある地域活動であるとも。すなわち、住民主体の活動のため、自らの独自性を活かすこともでき、さらに参加者の笑顔から達成感を得たり、同じ方向を向いて行動する同志の連帯感も生まれることができるということ。そして活動を通して自らの健康維持、意識向上にも奏功し、上昇志向が高まるとされました。
こうした住民の力の輪と和が広がりを見せることによって、フレイルチェックビッグテータの活用や分析が進み、行政間の連携も強固になり、住民意識も高まり、健康長寿のまちが創られていくと結ばれました。
フレイル予防活動を通した高齢住民主体の健康長寿まちづくり
続いての、大武代表理事・所長の基調講演は「フレイルチェックにヒントを得た、認知症予防体験会のデザイン」。
大武美保子 ほのぼの研究所代表理事・所長
まず、認知症の有病率が年を重ねるごとに上昇し、90から94歳で60%、95歳以上になると80%になる、すなわち、天寿を全うすると、認知症発症者が多数派となり、ケアをする人が支えきれない状態になるということから、認知症予防は究極の加齢対策であると述べました。
認知症有病率
また、一年を振り返り、新しい一年の計画を立てる頃でもあるため、記憶を整理し、計画力を立てるなど、認知機能を活用するチャンス
2050年には介護の担い手に大きな負担をかける人口動態になる
そして、次世代の高齢者(現在の40〜50代)が2050年になるべく要介護にならないように対策を立てる必要があるという課題を見出し、その課題解決のために認知症、介護予防を視野に入れたスマートエイジング知識を普及し、それを生活習慣に取り入れるようにする企画を立案、それに先駆け、フレイルチェックの現場を見学した経緯を述べました。
果たして、2023年4月より40〜50代向けに骨密度・体組成・糖化度・疲労度とストレスチェック等の身体のセルフチェック+ロボット司会による共想法体験会+事後座談会を開始し、当該世代のライフスタイルを加味してSNSやプレスリリースで積極的に発信中であると報告しました。実に40〜50代にとっても「いつから始める?フレイル・認知症予防」は「今から!」なのだと強調しました。
40〜50代(次世代高齢者)を対象にしたセルフチェックと認知症予防体験会
休憩を挟んでの両講師の対談は、望ましい生活習慣の実践を支援する技術に加えて、それに沿った行動を促し継続して(させて)行くためのヒントを導き出せたらと企画されておりました。そのため、飯島先生の生きがいについて伺った後は、早速両講師が会場に繰り出して、西東京市、柏市のフレイルサポーター、ほのぼの研究所、それぞれの草創期から長く活動しているメンバーへの、インタビューになりました。
対談
ベテラン活動者への講師によるインタビュー
インタビューに答えた方々からは、「久しぶりに飯島先生の生のお声を伺えて、益々元気が出た」「初めは自分が楽しくてやっていたが、最近は工夫してeスポや百歳体操を通して呼び込んでいる」「参加者の男性比率を上げるのが今年の目標」「サポーターになって良かったのは、栄養を考えるようになり、社会参加ができたこと」「飯島先生や活動を通して知り得た知識をもっと広げたくて、自分でサロンを開いている」「サポーター活動をしていること自体が楽しくて、心の居場所づくりに。元気な超高齢が参加されることが嬉しく、生きがい以上のものをいただいている」「親族に認知症有病者が多かったのと、写真が好きなので興味を持って参加した。共想法の運営、記録写真撮影の役目など楽しくはまっている」「脳の大病後、認知症発症が怖くて根気よく参加していたら、できる仕事を与えられ、嬉しかった。年は重ねたが、今の私が一番若い!という気持ちでチャレンジ中」と、飯島先生が「生きがい」と示されたワードが自然に次々に出てくることに驚かされました。そしてそれらは、活動内容や規模が異なる団体メンバー同士でありながら、今後の活動へのモラールアップに繋がる共通した貴重なアドバイスとして受け取ることができました。
事後のアンケート調査では初めてのハイブリッドで型での開催だったため、オンライン、会場とも、音声、画面、運営に難が多く、「要:緻密な準備・練習」と厳しいお声をいただき、大きな反省材料になりました。
一方、内容面では「役立つ情報が得られた」のポイントがダントツ、フレイル予防活動、共想法、そして次世代高齢者への抗加齢対策啓蒙に改めて興味を持ったという意見が多く寄せられました。講演会全体の満足度が100%に近かったのは嬉しく、感謝したことでした。また運営メンバーや来場者に70〜80歳代の高齢者が多く見られるのに、誰もがお元気なので、勇気をいただき、お手本になったという次世代高齢者からの声も印象に残りました。
講演会終了後のコミュニティサロンでの交流会には、50人ほどがご参集下さいました。大武所長の参加者が大勢のご参加ですが、「共想法」のルールに則り、時間を決めて自己紹介をしましょうという開会の挨拶に続き、飯島先生の「ほのぼの研究所設立15周年記念を祝い、さらにムーンショット研究の大きな成功を祈って」という音頭で、共同研究先の伊藤園様の様々なペットボトル飲料のうち、それぞれにお好みのものお選びいただいて、乾杯。全員がほぼ時間を守って、元気な声で一言自己紹介をしました。
乾杯 & 歓談
記念撮影
久しぶりに対面が叶った方々、初対面なのにお話が弾んだ方々など、あちらこちらでお話の花が咲き、和やかで楽しい笑顔のひとときが流れました。そしてお名残惜しい中、一本締めと記念写真を撮って、閉会となりました。
最後になりましたが、今講演会・交流会開催に当たり、様々なサポートをしていただきましたIOG、飯島研究室・理化学研究所の皆様、柏図書館、柏市高齢者支援課、並びにご参加、ご尽力いただきましたすべての皆様に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
招待講演「全国展開をしているフレイル予防運動」(「フレイル予防」はまさに地域づくり〜地域住民の力を信じる〜)、基調講演「フレイルチェックにヒントを得た認知症予防体験会のデザイン」、対談「いつから始める?フレイル・認知症予防」、そして会場での交流会の4部構成といたしました。今回は理化学研究所の共想法のランダム化比較試験にご協力いただいた方々をはじめとする多くの多くの方々にご案内をしたり、久方ぶりでの会場での開催でもあったため、オンライン、会場、そして後日の動画の視聴をご希望の方を合わせると、169名からご視聴お申込みをいただきました。また会場には、西東京市、柏市のフレイルサポーターの皆様、プレス関係の方を含めて、遠来、近隣の70名近い方々にお運びいただきました。
設立15周年記念講演会チラシ
ほのぼの研究所大武代表理事・所長の、15年間を振り返り、これまでのご支持への感謝を込めた開会挨拶に続き、早速、東京大学高齢社会総合研究機構 機構長、未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢先生にご登壇いただきました。飯島先生は老年医学、老年学(ジェロントロジー;総合老年学)がご専門で、特に健康長寿実現に向けたフレイル予防を軸とした超高齢社会の総合まちづくり研究におきまして、第一人者でいらっしゃいます。
飯島先生には、昨年より大武所長がプロジェクリーダーを務める内閣府のムーンショット型研究開発事業目標3「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」の「ありたい未来を共に考え、行動を促すAIロボット」プロジェクトにおいて、スターティングメンバーの課題推進者としてもご尽力いただいており、高齢社会の大きな課題解消に向けての活動を推進していらっしゃる研究者として、貴重なご教示をいただけると確信して、招待講演講師としてお招きした次第です。
ムーンショットプロジェクト スターティングメンバー
実は、飯島先生には2016年の弊所設立記念講演会に一度ご登壇いただいております。当時、まだ一般には耳慣れないフレイル(高齢になって多面的な能力や筋力が衰え、要介護になる手前、かつ介入次第で元の状態へ戻りうる状態)という用語を説明され、健康長寿を保つためにはより早期からの「栄養(食事・口腔機能)、身体活動(生活活動・運動など)、社会参加・社会活動(つながり・地域交流など)の3要素が必要であること、そして地域住民がフレイル予防のための、市民サポーター(フレイルサポーター)が中心となって予防活動を実践し、その効果が如実に表れ始めているという経緯を熱く語られたことは、今でも印象に強く残っております。
飯島勝矢 高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授
フレイル予防のための3本柱
今回は、「フレイル予防は、まさに地域づくり〜地域住民力を信じる〜」と題して、2023年8月現在、101の自治体にまで導入が進んだフレイルサポーターによるフレイル予防活動が、より大きく日本各地に広がってほしいという、先生の生きがいと言い切られる理想を目指して、住民の方々の力を信じて歩まれている道程とそれの基盤となっている確固たるポリシーや、そして意気込みを、さらに熱く、そしてわかりやすく語られました。
「フレイル予防」はまさに地域づくり~地域住民の力を信じる~
まずフレイルサポーター活動は、「住民による」「住民のため」の真のフレイル予防として明言されました。なぜなら、しっかりした基盤(フレイルサポータ― + フレイルトレーナー + 行政)に基づき、柏スタディ等のエビデンスに基づくフレイルサポーター主体の質問票と実測よるフレイルチェックと予防活動であり、その場は住民の集いの場でもあり、参加住民の健康意識や社会参加などの気づきの場であると説明されました。
生きがいを感じる地域貢献活動
また、フレイルサポーター活動は、自分たちの「まち」を自分たちで守り創る生きがいのある地域活動であるとも。すなわち、住民主体の活動のため、自らの独自性を活かすこともでき、さらに参加者の笑顔から達成感を得たり、同じ方向を向いて行動する同志の連帯感も生まれることができるということ。そして活動を通して自らの健康維持、意識向上にも奏功し、上昇志向が高まるとされました。
こうした住民の力の輪と和が広がりを見せることによって、フレイルチェックビッグテータの活用や分析が進み、行政間の連携も強固になり、住民意識も高まり、健康長寿のまちが創られていくと結ばれました。
フレイル予防活動を通した高齢住民主体の健康長寿まちづくり
続いての、大武代表理事・所長の基調講演は「フレイルチェックにヒントを得た、認知症予防体験会のデザイン」。
大武美保子 ほのぼの研究所代表理事・所長
まず、認知症の有病率が年を重ねるごとに上昇し、90から94歳で60%、95歳以上になると80%になる、すなわち、天寿を全うすると、認知症発症者が多数派となり、ケアをする人が支えきれない状態になるということから、認知症予防は究極の加齢対策であると述べました。
認知症有病率
また、一年を振り返り、新しい一年の計画を立てる頃でもあるため、記憶を整理し、計画力を立てるなど、認知機能を活用するチャンス
2050年には介護の担い手に大きな負担をかける人口動態になる
そして、次世代の高齢者(現在の40〜50代)が2050年になるべく要介護にならないように対策を立てる必要があるという課題を見出し、その課題解決のために認知症、介護予防を視野に入れたスマートエイジング知識を普及し、それを生活習慣に取り入れるようにする企画を立案、それに先駆け、フレイルチェックの現場を見学した経緯を述べました。
果たして、2023年4月より40〜50代向けに骨密度・体組成・糖化度・疲労度とストレスチェック等の身体のセルフチェック+ロボット司会による共想法体験会+事後座談会を開始し、当該世代のライフスタイルを加味してSNSやプレスリリースで積極的に発信中であると報告しました。実に40〜50代にとっても「いつから始める?フレイル・認知症予防」は「今から!」なのだと強調しました。
40〜50代(次世代高齢者)を対象にしたセルフチェックと認知症予防体験会
休憩を挟んでの両講師の対談は、望ましい生活習慣の実践を支援する技術に加えて、それに沿った行動を促し継続して(させて)行くためのヒントを導き出せたらと企画されておりました。そのため、飯島先生の生きがいについて伺った後は、早速両講師が会場に繰り出して、西東京市、柏市のフレイルサポーター、ほのぼの研究所、それぞれの草創期から長く活動しているメンバーへの、インタビューになりました。
対談
ベテラン活動者への講師によるインタビュー
インタビューに答えた方々からは、「久しぶりに飯島先生の生のお声を伺えて、益々元気が出た」「初めは自分が楽しくてやっていたが、最近は工夫してeスポや百歳体操を通して呼び込んでいる」「参加者の男性比率を上げるのが今年の目標」「サポーターになって良かったのは、栄養を考えるようになり、社会参加ができたこと」「飯島先生や活動を通して知り得た知識をもっと広げたくて、自分でサロンを開いている」「サポーター活動をしていること自体が楽しくて、心の居場所づくりに。元気な超高齢が参加されることが嬉しく、生きがい以上のものをいただいている」「親族に認知症有病者が多かったのと、写真が好きなので興味を持って参加した。共想法の運営、記録写真撮影の役目など楽しくはまっている」「脳の大病後、認知症発症が怖くて根気よく参加していたら、できる仕事を与えられ、嬉しかった。年は重ねたが、今の私が一番若い!という気持ちでチャレンジ中」と、飯島先生が「生きがい」と示されたワードが自然に次々に出てくることに驚かされました。そしてそれらは、活動内容や規模が異なる団体メンバー同士でありながら、今後の活動へのモラールアップに繋がる共通した貴重なアドバイスとして受け取ることができました。
事後のアンケート調査では初めてのハイブリッドで型での開催だったため、オンライン、会場とも、音声、画面、運営に難が多く、「要:緻密な準備・練習」と厳しいお声をいただき、大きな反省材料になりました。
一方、内容面では「役立つ情報が得られた」のポイントがダントツ、フレイル予防活動、共想法、そして次世代高齢者への抗加齢対策啓蒙に改めて興味を持ったという意見が多く寄せられました。講演会全体の満足度が100%に近かったのは嬉しく、感謝したことでした。また運営メンバーや来場者に70〜80歳代の高齢者が多く見られるのに、誰もがお元気なので、勇気をいただき、お手本になったという次世代高齢者からの声も印象に残りました。
講演会終了後のコミュニティサロンでの交流会には、50人ほどがご参集下さいました。大武所長の参加者が大勢のご参加ですが、「共想法」のルールに則り、時間を決めて自己紹介をしましょうという開会の挨拶に続き、飯島先生の「ほのぼの研究所設立15周年記念を祝い、さらにムーンショット研究の大きな成功を祈って」という音頭で、共同研究先の伊藤園様の様々なペットボトル飲料のうち、それぞれにお好みのものお選びいただいて、乾杯。全員がほぼ時間を守って、元気な声で一言自己紹介をしました。
乾杯 & 歓談
記念撮影
久しぶりに対面が叶った方々、初対面なのにお話が弾んだ方々など、あちらこちらでお話の花が咲き、和やかで楽しい笑顔のひとときが流れました。そしてお名残惜しい中、一本締めと記念写真を撮って、閉会となりました。
最後になりましたが、今講演会・交流会開催に当たり、様々なサポートをしていただきましたIOG、飯島研究室・理化学研究所の皆様、柏図書館、柏市高齢者支援課、並びにご参加、ご尽力いただきましたすべての皆様に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
市民研究員 鈴木晃・長久秀子
2023年8月16日(水)13時30分より、ほのぼの研究所NPO法人設立15周年記念講演会を開催いたしました。
2019年より4年ぶりの現地開催、および、2020年より実施してきたオンライン開催を両立する、ハイブリッド開催に初挑戦しました。
今講演会は、「いつから始める?フレイル・認知症予防」と題して、東京大学未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢先生を招待講演講師としてお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。動画をクリックすると再生が始まります。大きい画面でご覧になりたい方は、その後右下に表示されるYouTubeという文字をクリックすると、YouTubeのページが開きます。YouTubeのページからは、全画面表示が可能です。
招待講演
【いつから始める?フレイル・認知症予防】「フレイル予防」はまさに地域づくり〜地域住民の力を信じる〜 飯島 勝矢
基調講演
【いつから始める?フレイル・認知症予防】フレイルチェックにヒントを得た認知症予防体験会のデザイン 大武 美保子
両講師の対談
【いつから始める?フレイル・認知症予防】対談−飯島 勝矢×大武 美保子 「いつから始める?フレイル・認知症予防」
2023年度は、2020年より始まった新型コロナウイルス流行から約3年が経過し、5月8日以降、新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行しました。これまで抑えていた活動を再開する機運が高まるところから始まりました。根本治療薬は未だ完成しておらず、ワクチン接種の効果も限定的であり、高齢者にとっての危険性が十分取り除かれていないことから、引き続き感染予防対策を講じた上で、オンラインと現地開催のよさの両方を引き出す、新しい活動様式を生み出すことを目指します。
第一に、2020年度よりオンライン開催、それ以前は現地開催してきた年2回開催する講演会を、現地とオンラインのハイブリッドで開催します。オンラインでは、北海道や大阪府など、活動の本拠地である千葉県から見て遠隔からの参加が可能になった一方、それまで現地開催の時に参加頂いていた近隣在住の高齢者の参加が難しくなるという課題がありました。ハイブリッド開催により、近隣と遠隔の両方の方に参加の道を開きます。
第二に、月一回定期開催している共想法継続コースは、すでに遠隔地域からの参加があること、体調の関係で外出が難しい方にもご自宅から参加頂ける利点があることから、引き続き、スマートフォンおよびタブレットを用いた遠隔共想法形式で開催します。遠隔共想法とは、スマートフォンおよびタブレットの画面に映し出される参加者が撮影した写真を見ながら、時間を決めて、参加者が順に話し、聞き、質問し合うものです。持ち時間と順序が決まっているため、会話に確実に、バランスよく参加できることが特徴です。対面で開催する共想法は、参加を通じて言葉を取り出す認知機能が向上することが確認されています。
第三に、遠隔共想法体験会を開催します。遠隔共想法は、話を聞いただけでは参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を横で見学頂いたり、機材を開催者が準備した上で体験参加頂いたりします。体験会の様子を記録し、情報発信することで、遠隔共想法参加イメージを、体験会に参加しない方にも伝えることを目指します。
第四に、街歩きと共想法を組み合わせた、街歩き共想法を開催します。屋外で共に歩くことは、感染症予防の観点で比較的安全であると確認されていることから、街歩きイベントを注意深く開催します。その上で、共想法部分は、遠隔共想法、もしくは、換気のよいカフェなどを会場とする対面共想法を組み合わせます。カフェなどで参加者を募集し、開催することで、地域の新たなコミュニティづくりの手法となりうるかを検討します。
2023年は、ほのぼの研究所NPO法人化15周年を迎える節目の年です。2050年の超高齢社会を見据えて、その時に高齢者となる2023年現在の中高年世代、その時現役世代となる、現在の子ども、若手世代を含む幅広い世代にリーチする活動を、展開したいと考えています。高齢者は、後に続く世代にとって、自分の未来の姿を考える鏡のような存在です。ありたい未来を多世代で共に考え、よりよい未来に向けて、一石一石を投じて参りたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
第一に、2020年度よりオンライン開催、それ以前は現地開催してきた年2回開催する講演会を、現地とオンラインのハイブリッドで開催します。オンラインでは、北海道や大阪府など、活動の本拠地である千葉県から見て遠隔からの参加が可能になった一方、それまで現地開催の時に参加頂いていた近隣在住の高齢者の参加が難しくなるという課題がありました。ハイブリッド開催により、近隣と遠隔の両方の方に参加の道を開きます。
第二に、月一回定期開催している共想法継続コースは、すでに遠隔地域からの参加があること、体調の関係で外出が難しい方にもご自宅から参加頂ける利点があることから、引き続き、スマートフォンおよびタブレットを用いた遠隔共想法形式で開催します。遠隔共想法とは、スマートフォンおよびタブレットの画面に映し出される参加者が撮影した写真を見ながら、時間を決めて、参加者が順に話し、聞き、質問し合うものです。持ち時間と順序が決まっているため、会話に確実に、バランスよく参加できることが特徴です。対面で開催する共想法は、参加を通じて言葉を取り出す認知機能が向上することが確認されています。
第三に、遠隔共想法体験会を開催します。遠隔共想法は、話を聞いただけでは参加のイメージが湧きにくいため、興味を持って頂いた方には、参加している様子を横で見学頂いたり、機材を開催者が準備した上で体験参加頂いたりします。体験会の様子を記録し、情報発信することで、遠隔共想法参加イメージを、体験会に参加しない方にも伝えることを目指します。
第四に、街歩きと共想法を組み合わせた、街歩き共想法を開催します。屋外で共に歩くことは、感染症予防の観点で比較的安全であると確認されていることから、街歩きイベントを注意深く開催します。その上で、共想法部分は、遠隔共想法、もしくは、換気のよいカフェなどを会場とする対面共想法を組み合わせます。カフェなどで参加者を募集し、開催することで、地域の新たなコミュニティづくりの手法となりうるかを検討します。
2023年は、ほのぼの研究所NPO法人化15周年を迎える節目の年です。2050年の超高齢社会を見据えて、その時に高齢者となる2023年現在の中高年世代、その時現役世代となる、現在の子ども、若手世代を含む幅広い世代にリーチする活動を、展開したいと考えています。高齢者は、後に続く世代にとって、自分の未来の姿を考える鏡のような存在です。ありたい未来を多世代で共に考え、よりよい未来に向けて、一石一石を投じて参りたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
NPO法人ほのぼの研究所 代表理事・所長
理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
大武美保子