2024年10月28日(火)に、街歩き共想法を千葉県我孫子市で行いました。ほのぼの研究所主催の行事としては、昨年11月の流山市街に引き続き、1年振りです。晩秋とはいえ、時折酷暑の名残りの夏日が顔を出す日々が続いていましたが、当日は夜来の雨が上がり、気温も降下、集合時には少し肌寒さを感じるほどになりました。その後、街歩きをするにはほどよい気温が続き、幸いにも街歩き中は最後まで雨にも降られずに済みました。
大武先生、新入会の方を含めた賛助会員の方々、市民研究員の総勢12人は、JR我孫子駅南口に集合後、まずは、駅前のけやきプラザ11階の展望デッキに向かいました。我孫子市街や大きな手賀沼やそれに続く利根川はもとより、筑波山や小さく見える東京のスカイツリーなどを俯瞰しました。
その後、展望台デッキで、大武先生より、街歩き共想法の認知症予防に関する意義・効果についてのはじめの挨拶があり、いよいよ街歩きがスタート。
街歩き共想法は、写真を撮りながら歩くことで、.侫譽ぅ襪陵祝匹函↓認知症になると衰える計画力、注意分割力、体験記憶が鍛えられます。更に、今日撮った写真をその日に共想法で会話することで、G知症の症状の一つである近い過去の物忘れの予防のための訓練につながります。一石二鳥、いや三鳥にもなると言えます。
展望デッキでの大武先生のはじめの挨拶
少人数だったため、揃って杉村楚人冠記念館に向けて出発しました。杉村楚人冠は日本の新聞に影響を与えた記者兼文筆家で、関東大震災の後この地に移り住み、地域の発展と環境保全に努めた人とのことです。
が、暫く歩いていくうちになぜか、道に迷ってしまい、楚人冠公園にたどり着いたひとつのグループは記念館の建つ自然豊かな、個人のものとしてはかなり広大な公園のような庭を散策し、様々な植物や庭の佇まいを満喫、沢山の写真を撮りました。
自然豊かで趣のある杉浦楚人冠庭園
もう一方のグループは、柔道の講道館の創始者の加納治五郎別荘公園にたどり着き写真を撮りながら一休みしました。
この公園には治五郎の銅像が、手賀沼を見下ろすように建てられており、公園の隣には、敷地内に3本椎の巨木があったため、治五郎が名付けたという、妹婿の柳宗悦の邸宅跡である三樹荘跡地もありました。この柳宗悦を頼りに、白樺派の文人の志賀直哉、武者小路実篤などの多くが別荘として住んで、創作活動をしたとされています。
加納治五郎像
あいにく改装工事中で閉館中の白樺文学館は利用できませんでしたが、ようやく志賀直哉邸跡にて2グループが合流、暫く散策をすると、早いものでランチタイムとなっていました。
志賀直哉別荘跡
展望台から俯瞰してからの我孫子市の街歩きスタートは、これまで経験したことがなく、大変興味深いものでした。その時、森のようなところが目的地ではないかと想像していたものの、実際には、展望台や駅前繁華街からは想像できないほどの起伏のある地形に、大樹などの自然が多く残っている別荘跡地でした。そして、とても数時間では廻り切れないこともわかり、異なる季節には豊かな木々や花々がどのような様子で迎えてくれるか、また、水質が改善されたという手賀沼の晴れの日の水面を見てみたい等々、我孫子は、またゆるりと巡ってみたいと思わせる魅力を感じさせてくれました。
昼食後は、手賀沼湖畔の我孫子市生涯学習センター「アビスタ」に、13時に再集合。撮影してきた沢山の写真の中から、「本日みつけたもの」がテーマの、とっておきの写真を登録、4人ずつのグループで3セッション、共想法を行いました。
我孫子市生涯学習センター「アビスタ」(晴天時撮影)
話題写真として、楚人冠庭園でみつけて感激したという自分と同じ名前の椿の木、美味しい手焼き煎餅が有名な老舗のお煎餅屋さん、住宅街にある手賀沼の守り神であろう水神様の石塔等、ユニークな写真が披露されました。
共想法実施風景
老舗の煎餅屋で買物をする参加者(店舗による撮影・掲載許可済み)
廻り切れなかった所に興味を抱いたり、一緒に歩いていても気付かなかったことや、目の付け所が異なることに驚かされたりと、共想法に参加したことでも沢山の「みつけたこと」がありました。道中のおしゃべりも楽しめて、普段参加している遠隔共想法とは一味違うお楽しみのあった1日でした。
記念写真
集合写真を撮っての解散後は、生憎の雨降りとなりましたが、快い疲れで帰途につきました。
今回の街歩きには、この夏の設立記念講演会ご参加を機に、賛助会員として入会された方が初めてご参加下さいました。果たして共想法に興味を持って下さり、日本橋を拠点とするお江戸共想法に毎月1回継続参加なさることとなったという、嬉しいお知らせをさせていただきます。
昨秋の街歩き共想法再開以来、このように街歩き共想法をご体験いただいた後に共想法に参加されるようになる方々が徐々に増えてきたことは、嬉しい限りです。今後もこうした楽しい行事をきっかけに、共想法の意義をお伝えしていけたらと思っております。
最後になりましたが皆様のご協力を得て、事故もなく終了できました事をここに御礼申し上げます。
市民研究員 根岸 勝壽