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大阪関西万博を歩き回った帰り道、ふと見上げると、160か国の国旗が夜空に大きくなびいていました。その日は風が強く、国旗が一斉に揺れる姿は、まるで世界中の国々が同じ風を感じているようでした。 朝から万博の中を歩き続け、疲れていた私にとって、その風は、心を解きほぐしてくれるものでした。そして、なびく国旗を眺めながら、国も人も異なる私たちが“同じ風を感じている”ということが、とても印象深く心に残りました。

大阪関西万博の万国旗
コメント:市民研究員 S.K.さん
世界各国の参加を象徴している万国旗、インパクトのあるナイスショットの風のお写真ですね。猛暑の中での万博会場めぐりをされて、疲れている体を解きほぐし、国や人も異なる私たちが同じ風を感じている・・・と。それは開催の願いのようにも感じられました。
市民研究員 M.M.さん

大阪関西万博の万国旗
コメント:市民研究員 S.K.さん
世界各国の参加を象徴している万国旗、インパクトのあるナイスショットの風のお写真ですね。猛暑の中での万博会場めぐりをされて、疲れている体を解きほぐし、国や人も異なる私たちが同じ風を感じている・・・と。それは開催の願いのようにも感じられました。
この写真は私が使っている扇風機の写真です どちらかというと 扇風機よりは サーキュレーターをいつもクーラーと一緒に回しています 外出から帰ってきて 涼しさを感じたい時だけ扇風機を回します。 直径が40cm の この 扇風機は心地よい風をゆっくりと首を振りながら送ってくれます 私のクーラーとサーキュレーターは風を感じない設定のものなので、この扇風機だけが風を感じる 唯一の夏の道具です

扇風機の風
コメント:市民研究員 H.N.さん
気温や湿度や用途にもよりますが、扇風機の風も捨てがたいですね。我が家はそれなりの風も感じ、もろもろ私好みに調節しにくいエアコンとサーキュレーターを併用。外出帰り、お風呂上り、そして留守番の老猫達のために凍らせたぺットボトルを周囲に置いて回して出かけるなど、扇風機も例年になく総動員して働いてもらい、室内でも色々な風を感じました。ずっとフル稼働だった機器たちのコンディションも案じられた残暑がようやく終わりましたね。
継続コース参加者 K.O.さん

扇風機の風
コメント:市民研究員 H.N.さん
気温や湿度や用途にもよりますが、扇風機の風も捨てがたいですね。我が家はそれなりの風も感じ、もろもろ私好みに調節しにくいエアコンとサーキュレーターを併用。外出帰り、お風呂上り、そして留守番の老猫達のために凍らせたぺットボトルを周囲に置いて回して出かけるなど、扇風機も例年になく総動員して働いてもらい、室内でも色々な風を感じました。ずっとフル稼働だった機器たちのコンディションも案じられた残暑がようやく終わりましたね。
私が最近使っている一番新しい眼鏡です。5月の上旬に友人二人と ららぽーとのレストランにランチに行きました。 それから柏の葉公園に移動して散策を楽しみました。 最後に外のベンチで食べたソフトクリームがとても美味しかったです。 翌朝 メガネを探しましたがどこにもありません。 前日に行った レストラン やら その他のところに電話をかけまくりました。 最後に、行き帰りに利用したバスの営業所に電話をしたところ、ピンクで横に線の入ったちょっとおしゃれなメガネが届いてますよ、 ということでした。私は、それは100% 自分のではないなと思いました。 なぜなら私のは 紫で横に線は入っていないはずです。 でも一応確かめるために行ってきました。そこにあったのは まさに私のメガネでした。 そのままかけて帰りました。 要するに自分のメガネをよく見ていなかったということです。

一時行方不明になったメガネ
コメント:市民研究員 K.S.さん
最近、愛用されている眼鏡をなくし、取り戻すまでのご心境をお察しいたします。他人事とは思えません。結末は結果オーライで何よりでしたね。その後、愛用眼鏡とのご関係はどのようでしょう。微笑ましい状況でありますように。
継続コース参加者 K.Y.さん

一時行方不明になったメガネ
コメント:市民研究員 K.S.さん
最近、愛用されている眼鏡をなくし、取り戻すまでのご心境をお察しいたします。他人事とは思えません。結末は結果オーライで何よりでしたね。その後、愛用眼鏡とのご関係はどのようでしょう。微笑ましい状況でありますように。
2025年9月12日(金)から14日(日)まで開催された日本認知症予防学会学術集会に参加し、ポスター発表をして参りましたので、報告させていただきます。昨年度に続き、市民研究員の根岸と永田が参加し、専門職の皆様に交じって13日の午後3時過ぎに連番で発表しました。
会場の都市センターホテル(会館)は麹町駅の近くに位置し、14〜22階は客室で、当学術集会は1階のホールから7階までの会議室で開催されました。都心とはいえ緑が多く静かな環境で落ち着いて過ごすことができました。
13日には大武先生も応援に駆けつけて下さったので百人力でしたし、昨年度の学術集会で座長を務められた辻先生にも寄り添っていただいたことは、幸せなことでした。離島をはじめ全国から多様な職種の研究者が集まり、熱心な討議がなされていて、充実した学術集会を経験させていただきました。

会場入り口にて
初日にポスターを貼り終わってから大会長である内門大丈先生のご挨拶を拝聴して、この学術集会が2011年に始まったことを知りましたが、私がマカベシルバートピアで共想法を開始した時期と重なり感慨深いものがありました。様々な講演の中で特に気になったのは、糖尿病になると筋力が落ちるというお話でした。それを防ぐには運動も大切ですが、様々な食材を使った料理を食べて日々よく動くことが有効だそうです。
発表は根岸勝壽他による「認知症予防を一日で体験する街歩き共想法のデザインと社会的価値の発見」と、永田と大武先生による「高齢者施設のマンパワー不足がもたらす負の影響を軽減する会話支援技術共想法の効用」の2題です。
前発表では、今まで実施してきた様々な街歩き共想法について写真を交えてご紹介し、病院、介護施設、自治体との連携が有効であり、多文化や多世代との交流も提供可能であることが明らかになったと述べました。
次いで、永田は2011年からスタートした介護老人保健施設マカベシルバートピアの共想法(通称お話の会)について、特に司会ロボットのぼのちゃんが人気であったことや、12年以上の実施期間中、参加者の気分低下が皆無であったことなどを報告しました。

発表する市民研究員 根岸(左)・永田(右)

ポスター発表を終えて
なお、昨年度に続いて今年度も、ポスター発表「認知症予防を一日で体験する街歩き共想法のデザインと社会的価値の発見」(根岸勝壽)が浦上賞受賞という栄に浴しました。これも長年にわたる皆様のご理解、ご支持、ご教示の賜物と、心より感謝申し上げます。今後も微力ながら、地道に努力を続けてまいりたいと存じます。
残念ながら、授賞式に出席できなかったことは、大変申し訳なく、心よりお詫び申し上げます。

浦上賞賞状
2025年は日本の超高齢社会の到来にともなって、様々な社会問題が発生していくという年でもあります。1947年〜1949年生まれの団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になります。そのこと自体もショックですが、私も団塊の世代ですので今後の自分の身の処し方を考えていかなければなりません。職場で高齢者の生活をよく学んだつもりではありますが、実際にわが身に降りかかると、別の感情が湧いてきます。若い世代への支援もまだまだ必要な今日この頃ではありますが、学会での学びを実生活に生かしながら進んでいけたらと思っています。
帰り道、駅の長い階段で重い荷物を運んでいたら、若い女性が声をかけて下さりさっそうとカートを下げて階段を昇って下さいました。よく見ると私よりかなり小柄で細めの方で大変申し訳なく思いましたが、同時に心に温かいものを感じて幸せな気分になりました。頂ける援助は素直に受けつつ、自分のできることを頑張っていきたいと思った次第です。
会場の都市センターホテル(会館)は麹町駅の近くに位置し、14〜22階は客室で、当学術集会は1階のホールから7階までの会議室で開催されました。都心とはいえ緑が多く静かな環境で落ち着いて過ごすことができました。
13日には大武先生も応援に駆けつけて下さったので百人力でしたし、昨年度の学術集会で座長を務められた辻先生にも寄り添っていただいたことは、幸せなことでした。離島をはじめ全国から多様な職種の研究者が集まり、熱心な討議がなされていて、充実した学術集会を経験させていただきました。

会場入り口にて
初日にポスターを貼り終わってから大会長である内門大丈先生のご挨拶を拝聴して、この学術集会が2011年に始まったことを知りましたが、私がマカベシルバートピアで共想法を開始した時期と重なり感慨深いものがありました。様々な講演の中で特に気になったのは、糖尿病になると筋力が落ちるというお話でした。それを防ぐには運動も大切ですが、様々な食材を使った料理を食べて日々よく動くことが有効だそうです。
発表は根岸勝壽他による「認知症予防を一日で体験する街歩き共想法のデザインと社会的価値の発見」と、永田と大武先生による「高齢者施設のマンパワー不足がもたらす負の影響を軽減する会話支援技術共想法の効用」の2題です。
前発表では、今まで実施してきた様々な街歩き共想法について写真を交えてご紹介し、病院、介護施設、自治体との連携が有効であり、多文化や多世代との交流も提供可能であることが明らかになったと述べました。
次いで、永田は2011年からスタートした介護老人保健施設マカベシルバートピアの共想法(通称お話の会)について、特に司会ロボットのぼのちゃんが人気であったことや、12年以上の実施期間中、参加者の気分低下が皆無であったことなどを報告しました。

発表する市民研究員 根岸(左)・永田(右)

ポスター発表を終えて
なお、昨年度に続いて今年度も、ポスター発表「認知症予防を一日で体験する街歩き共想法のデザインと社会的価値の発見」(根岸勝壽)が浦上賞受賞という栄に浴しました。これも長年にわたる皆様のご理解、ご支持、ご教示の賜物と、心より感謝申し上げます。今後も微力ながら、地道に努力を続けてまいりたいと存じます。
残念ながら、授賞式に出席できなかったことは、大変申し訳なく、心よりお詫び申し上げます。

浦上賞賞状
2025年は日本の超高齢社会の到来にともなって、様々な社会問題が発生していくという年でもあります。1947年〜1949年生まれの団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になります。そのこと自体もショックですが、私も団塊の世代ですので今後の自分の身の処し方を考えていかなければなりません。職場で高齢者の生活をよく学んだつもりではありますが、実際にわが身に降りかかると、別の感情が湧いてきます。若い世代への支援もまだまだ必要な今日この頃ではありますが、学会での学びを実生活に生かしながら進んでいけたらと思っています。
帰り道、駅の長い階段で重い荷物を運んでいたら、若い女性が声をかけて下さりさっそうとカートを下げて階段を昇って下さいました。よく見ると私よりかなり小柄で細めの方で大変申し訳なく思いましたが、同時に心に温かいものを感じて幸せな気分になりました。頂ける援助は素直に受けつつ、自分のできることを頑張っていきたいと思った次第です。
市民研究員 永田 映子
6月30日の夏越の祓(なごしのはらい)に櫻木神社(野田市)にお詣りしたときに、5cm位のこの蝶に出会いました。長いこと見ていても動かず、帰るまでに3回も見ることになりました。ということで、この蝶に自己紹介をお願いしたところ、「私の名前はアカボシゴマダラ、この神社の木陰はミストがあってり居心地が良いのよ。海外から持ち込まれたらしいという外来種で、幼虫の時エノキの葉を沢山食べて枯らしてしまったからと、悪者のレッテル貼られたのよ。もう少し休んだら駆除されない様に私も「茅の輪をくぐり」をしてから飛んで行くわ。バイバイ」 とのことでした。

アカボシゴマダラ蝶
コメント:市民研究員 H.N.さん
南洋風にも思える文様のような模様のインパクトが強い蝶ですね、初めて見ました。残念ながら、悪名高い特定外来種とのこと。ウェブ検索をしてみたら、「駆除の対象」という記述に続き、これも初めて知ったのですが、蝶のスピリチュアルな観点からすると、「成長と変化の導き」とありました。こじつけになるかもしれませんが、前半の半年のお祓いをし、後半の半年の無病息災を願う夏越しの祓の日での出会いは、なかなか意味深かったのかもしれませんね。
市民研究員 継続コース参加者 N.S.さん

アカボシゴマダラ蝶
コメント:市民研究員 H.N.さん
南洋風にも思える文様のような模様のインパクトが強い蝶ですね、初めて見ました。残念ながら、悪名高い特定外来種とのこと。ウェブ検索をしてみたら、「駆除の対象」という記述に続き、これも初めて知ったのですが、蝶のスピリチュアルな観点からすると、「成長と変化の導き」とありました。こじつけになるかもしれませんが、前半の半年のお祓いをし、後半の半年の無病息災を願う夏越しの祓の日での出会いは、なかなか意味深かったのかもしれませんね。
7月21日に撮影したミンミンゼミの羽化の様子です。近くの公園で地面に1〜2cmの穴が開き始、地下の蝉の幼虫が活動し始めたようでしたので、ずっと観察してみました。土の中で3〜7年暮らして幼虫になり、暗くなると木に登り、一時間かけて羽化するといわれています。雌は木に卵を産み付け、雄は求愛のために鳴いて居場所を知らせるそうです。夏の公園はセミたちの合唱でカラスも負けています。懸命に生きる7日間の生命の営みを思うと、蝉の声が応援歌に聞こえます

ミンミンゼミの羽化
コメント:市民研究員 A.S.さん
あのミンミンと言う音を聴くと蝉だけが夏を謳歌してるように聞こえます。夏の虫の代表格とも言える蝉の一生は長くて、短いようですが、羽化するにも相当なエネルギーをようするのでしょう。今年の夏は日照りが続き土が固く、穴あけが大変で蝉の羽化も少ないとか。写真の蝉さん頑張って出て来たのでしょうね。
継続コース参加者 N.K.さん

ミンミンゼミの羽化
コメント:市民研究員 A.S.さん
あのミンミンと言う音を聴くと蝉だけが夏を謳歌してるように聞こえます。夏の虫の代表格とも言える蝉の一生は長くて、短いようですが、羽化するにも相当なエネルギーをようするのでしょう。今年の夏は日照りが続き土が固く、穴あけが大変で蝉の羽化も少ないとか。写真の蝉さん頑張って出て来たのでしょうね。
山百合が良い香りを振りまいているので、誘われて飛んできました。育ち盛りの私は、美味しい野菜が沢山あるこの庭がお気に入りです。今日も朝からフレッシュな葉っぱを食べにきたのですが、百合の花びらがゆりかごのようで、ついまどろんでしまいました。「ユリ」だけに…。風が吹くとゆらゆらと揺れてハンモックみたいです。「あぁ、良い気持ち」と油断していたら、花びらがハラハラと落ちてしまいました。けれども、バッタの子どもは、そんな事ではあわてませんのでご心配なく。

山百合のゆりかご
コメント:市民研究員 H.N.さん
このバッタ類は草むらや田んぼ等にいるとばかり思っており、花の側にもいることを想像したことがなかったので、E.N.さんが表されたバッタ君の気持ちを、童話の一部のようにも感じました。沢山の野菜や花が育てられているというE.N.さん宅のお庭、その後のバッタ君の散策ストーリーの続きも、伺ってみたいと思いました。
市民研究員 E.N.さん

山百合のゆりかご
コメント:市民研究員 H.N.さん
このバッタ類は草むらや田んぼ等にいるとばかり思っており、花の側にもいることを想像したことがなかったので、E.N.さんが表されたバッタ君の気持ちを、童話の一部のようにも感じました。沢山の野菜や花が育てられているというE.N.さん宅のお庭、その後のバッタ君の散策ストーリーの続きも、伺ってみたいと思いました。
7月7日午前中に撮った「ヘビトンボ」の成虫です。その際、昆虫の気持ちになって観察してみました。 樹木に止まっていたのに、木の枝の伐採作業が入り、騒がしくなったのでコンクリートの電柱に移ったのでしょう。私が偶然、見つけてからは、4センチほどの体を僅かに移動しながら蛇のような目や大顎のある首から頭の部分を伸ばしてみせたのでしょう。どうやらこんな気持ちではないかと「幼虫の時は川や清流の中流以上の水辺の自然環境で餌を捕え、さなぎを含めて2〜3年を過ごせたのは良い時代だったと思っています。だけど、成虫になってからは2週間程しか生きられないので、早くパートナーに出会いたいなぁ。首から顔の部分をズームアップして観てほしいよ」と。実際に、ヘビを連想できますよ。

夏の虫になりきって、観察してみた 「ヘビトンボ」
コメント:市民研究員 A.S.さん
ヘビトンボとは珍しい?スナップの紹介ですね。近くに自然な池や水辺が有るところで幼虫時代を過ごし、大人になったら樹木の枝で休みたいのが、トンボの気持ちでしょう。コンクリートの柱で休憩とは、暑い夏に大変でしょうね。
市民研究員 K.S.さん

夏の虫になりきって、観察してみた 「ヘビトンボ」
コメント:市民研究員 A.S.さん
ヘビトンボとは珍しい?スナップの紹介ですね。近くに自然な池や水辺が有るところで幼虫時代を過ごし、大人になったら樹木の枝で休みたいのが、トンボの気持ちでしょう。コンクリートの柱で休憩とは、暑い夏に大変でしょうね。
今はいろいろな事がスピーディーで、使い捨ての世の中。もったいない精神で、つい色々と取っておく事が多いのですが、「これを何に使えるか?」を考えて取り置いた物の工夫し、整理をする様にしています。ペットボトルにはお米を入れて冷蔵。トイレットペーパーの袋はゴミ箱の中袋等に使用しています。友人から教えてもらった面白い使い方は、旅先で貰うシャワーキャップに新聞紙に包んだキャベツやレタスを入れて冷蔵する事です。

アップサイクル色々
コメント:市民研究員 H.N.さん
私にしては珍しくお米の値上がり気配を早くに察知して購入した自宅備蓄米の冷蔵保管に手を焼いていたので、ボトル入りのお米の販売を知りながら、思いつかなかったことを大反省しました。リサイクルに回すのも資源有効活用の一つでしょうが、それぞれの特長を考えて活用する工夫をするのも、クリエイティブで楽しいことのようだと再認識しました。
継続コース参加者 F.W.さん

アップサイクル色々
コメント:市民研究員 H.N.さん
私にしては珍しくお米の値上がり気配を早くに察知して購入した自宅備蓄米の冷蔵保管に手を焼いていたので、ボトル入りのお米の販売を知りながら、思いつかなかったことを大反省しました。リサイクルに回すのも資源有効活用の一つでしょうが、それぞれの特長を考えて活用する工夫をするのも、クリエイティブで楽しいことのようだと再認識しました。
2025年7月15日(火))13時30分より、東京都中央区日本橋の理化学研究所革新知能統合研究センターのオープンスペースにて、代表理事・所長の大武美保子が勤務する理化学研究所とほのぼの研究所の共催で、NPO法人ほのぼの研究所設立記念講演会「認知症の予防と治療の未来」を開催しました。
なお、本講演会は、令和7年度柏市社会福祉協議会 共同募金配分金による助成を受けて実施したものです

2025年度設立記会チラシ
招待講演講師として、国立研究開発法人量子医科学研究所(QST)脳機能イメージング研究センターセンター長・大阪公立大学医学研究科健康長寿医科学講座 病因診断科学 教授である樋口真人先生をお招きし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。

樋口真人先生
前日来、梅雨明け前に早くも接近の台風5号の影響が案じられる不安定な天候でしたが、栃木県を含めて関東圏各地から70歳代を中心に40〜90歳代の40余名の方々にご参加いただきました。

メモを取りながら熱心に視聴なさる参加者
開会の挨拶では、かねてより根強いリクエストのあった認知症の基礎研究や治療の最前線に関する講話を、その分野でトップランナーである樋口真人先生から拝聴できる念願が叶った経緯と感謝の念を、大武所長代表理事・所長が述べました。
続いて、大武所長の東大時代の恩師で、ほのぼの研究所の設立以来の理事でもある岩田修一東大名誉教授より、ご参加の皆様と様々な知見を共有できる喜びと共に、教え子の研究がLarge Language ModelというAIのトレンドが始まっている中、彼女らの研究が日本の叡智として世界に役立つものとなってほしいという激励を述べられました。

岩田理事挨拶
招待講演のタイトルは「認知症の革新的な診療を身近に利用できる社会へ」。千葉市の量子科学技術研究開発機構の脳機能イメージング研究センターセンター長であるとともに、大阪公立大学で教授をお務めになりながら、大阪での認知症研究と診療を統合するセンターの立ち上げにも関わるというクロスアポイントメントで、両所を行き来していらっしゃるという自己紹介から始まりました。

樋口先生講演演目
鞠知症病態の基本概念
◆神経変性性3大認知症は初期症状での鑑別・診断は困難。
診断の手がかりとなるもの…脳にたまるタンパクのごみ(凝集体)
.▲襯張魯ぅ沺蕊➨アミロイドβ・タウ
∩案側頭葉変性症➨タウ・あるいはTDP43
レビー小体型認知症➨アルファシヌクレイン

認知症者の脳に沈着するタンパク
恭弯慧診断・医療技術の進歩
◆アミロイドβ病変を「見つけて」「治す」
・PET(電子放射断層撮影法)により可視化(25万円)
・除去する抗体薬の開発【アデュカヌマブ】
・その後【レカネマブ】等の抗体薬が承認され、臨床利用
課題:アミロイドβは7〜8割除去され、認知機能障害の進行が3割遅延
も、効果の割に薬価が高価(300万円/年)タウ病変には?
◆タウ病変を「見つけて」「治す」
・QSTグループ(樋口先生)によるタウタンパクに結合するPET薬剤を開発
➨様々な認知症におけるタウ蛋白の蓄積パターンの可視化に成功、
現在日本を含めた4カ国で臨床試験が進行中。2027年には診断薬として承認される
見込み
・タウ遺伝子発現を抑制し、タウを除去する治療薬(核酸医薬)開発
啓\ぢ紊稜知症の革新的診療に向けて
・血漿中アミロイドβの計測システムを国内で準備中
・画像検所見を反映する血液タウ検査法のネットワークMABB:Multicenter
Alliance For Brain Biomarkers により全国の研究機関と血液バイオマーカーを開発中
・大阪公立大学開発のラクシスシステムは迅速・安価・微量・高感度のタウ血液検査が
可能に

次世代診断・診療ワークフローイメージとファシリティのイメージ
◆認知症根絶に向けたムーンショット型開発事業
認知症病態は’焼發涼素鬚涼濱儉∈挧ο群臭1蠑鼻,箸、連携かつ悪影響を及ぼ
し合い、3つ巴になって進行する。中年期からの様々な危険因子(難聴、うつ、
頭部外傷、身体活動低下、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満など)が認知症リスクの
約半分を占めており、これらは炎症と細胞老化の連鎖反応として共通のメカニズ
ムで説明でき得る。「ムーンショット型研究開発事業」として、西日本の認知症
研究拠点:大阪健康長寿医科学センター(大阪長寿)を含めた、全国10研究機関
と12人の分担者と共に、病態の進行を操る鍵物質を見つけ出す事業を行い次世代
の認知症予防・治療の開発を進行(2024/11〜)

認認知症根絶に向けたムーンショット型研究開発事業
乎翡期以降のレジリエンス低下(認知症予防)を防ぐためのコミュ力、絆の重要性
「教育歴の長さが、レジリデンス(脳の強靭さ・打ち勝つ力)認知症発症の低減と
関係がある」➨神経細胞の同士の繋がり、脳内免疫細胞と神経の繋がり、
脳と様々な臓器とのつながり、人と人との繋がりがレジリエンスを強化し、認知
症に打ち勝つ力となる。特に中年以降はコミュニケーション能力の低下により、
レジリエンスを低下させる可能性があるため、それを防ぐための職場・家庭・
職場での役割や、そして本人たちが夢中に・生きがいとなり得るモノ・ヒトの創
成や参加による相互の「絆」強化が、認知症予防の重要な要素となり得ると説かれ
ました。

【重要】中高年期からレジリエンスを高めること
最後に、多くの構想や展望に関しては、試行錯誤が続くも、確実に次世代には間に合うと確信しているので、皆様の協力も得ながら邁進していくと講話㋾締めくくられました。
続く大武代表理事・所長の基調講演「会話で言語能力を高め、認知症の発症を遅らせる」では、まず認知症になり、同じ話ばかりする祖母の記憶が、写真を使った会話によって記憶が呼び覚まされ、会話が広がることに気づいたこと、「共想法」という会話支援手法を2006年に考案したことが、会話による認知症予防の研究に着手した契機だとしました。
実践研究の拠点として、NPO法人ほのぼの研究所を設立してフィールドワークを続け、共想法により「工学的に脳をどのように使えば、長持ちするのか」という実践研究を一貫して行い、さらに2017年より、人間の知能を育む人工知能についての基礎研究を、理化学研究所の革新知能統合研究センターで行っていると、研究プロセスを述べました。また介護現場でのコミュニケーション支援のためにと『介護に役立つ共想法』を、また昨年末には、研究結果に基づく、認知機能向上のための会話についてまとめた『脳が長持ちする会話』を上梓したと伝えました。

大武代表理事の基調講演
次いで、認知症を脳や身体の疾患が原因で記憶や判断力等の障害が起こり、生活に支障を来たす状況であると定義づけ、その予防のためのアプローチとして、生理的アプローチと認知的アプローチが必要であると述べました。そして、若い時から言語能力が高かった人の中には、脳に疾患があっても認知症が発症しない人がいたという修道女研究を紹介しました。認知的アプローチの中でも、特に会話やコミュニケーション能力に着目し、テーマに沿った写真を持ち寄り、それについて話題提供、質疑応答をすることで、加齢になると低下しやすい体験記憶、注意分割機能、計画力、実行機能などの認知機能を活用する会話にフォーカスして開発した「共想法」について説明をしました。

修道女研究

共想法での行動と活用される認知機能
実践を重ねた結果、その効果検証のために、ランダム化比較試験を行い、介入群において、加齢により低下しやすい言語流暢性が有意に向上する結果が得られ、今後実施するより長期間の介入研究の基礎となる、急激に低下する恐れのある認知機能の底上げができることを確かめたと述べました。
最後に、ほのぼの研究所では、「脳が長持ちする会話」を日常に取り入れる習慣作りの重要性を鑑み、「長持ち脳検定」や「長持ち脳」のコミュニティづくり事業や、特に次世代の40〜50代をターゲットにした活動を拡大することで、「脳が長持ちする会話」を世の中に広めていきたいと抱負を述べ、終話しました。
小休憩を挟んだ講師2人の対談に先駆け、びっしりと記入された質問用紙が寄せられました。対談時間内にすべてにお答えすることは不可能であるものの、webサイトを含めすべて回答させていただくことをご承知おきいただき、幾つかの質問に両講師が対談をしながら回答しました。

対談しながら、参加者の質問に答える両講師
取り上げられた質問は「教育歴の長さと認知症リスクの関係」「アミロイドβは睡眠時にしか除去されないのか」「認知症予防と運動との関係性」「認知症検査における心理的ハードル」「芸術活動と認知症予防」とどれもが興味深いものでした。すべての質問に対しては、ご本人に必ず回答するほか、公開が承諾されたものに関しては、時宜を応じてブログ等にてご公開予定です。ここでは以下2例をご紹介します。
【質疑応答の2例】
Q―「認知機能検査を受けるのには、心理的ハードルがありますが…」
A―アミロイドβ除去治療法の発展により、将来的にはハードルは下がる可能性があります。早期発見により、ライフスタイルの変更などの予防的措置を講じる時間的委余裕が生まれるからです。血液検査等の新しい診断技術が脳内の変化をリアルタイムに捉えることができるので、早期介入の可能性を高めていくべきだと思います。(樋口先生)
現在は、認知機能検査を、測らなくても下がっていることが分かるくらい、認知機能が大幅に低下した後に行うことが多いです。血圧で言えば、高血圧と診断されるくらい、高い血圧になって初めて測るようなものです。本来は、高血圧ではない「血圧が高め」のような段階で気づければ、対策が立てられます。今後は、まだ大きな問題にならない、中年期のうちから認知機能を測定し、自分の特性を知っておいた上で、変化に気づけるようにする仕組みづくりをできればと考えています。(大武所長)
Q−「睡眠中にしかアミロイドβは除去されないのですか?。睡眠時間が不規則で短いので不安です」
A―基礎研究では睡眠中の方が脳内の水の流れがアミロイドβの除去に効果的だとされていますが、人間での実証はさらに必要だと思われます。起床時にも除去はされるものの、睡眠中の方が効果が高いとされています。(樋口先生)
最後に大武所長から投げかけられた「世界で初のタウタンパクに結合するPET薬剤開発の成功要因」に関する樋口先生への質問には、大手の製薬会社のような人工的なタウではなく、実際の患者の脳組織やモデル動物のそれを使ったこと、モデル動物の早期導入や、診断薬が微量で効果を発揮するという特性を活かした迅速な臨床応用の戦略が奏功したと思うと回答されました。そして何より小さな発見や疑問を見逃さず、立ち止まって考える姿勢や、他の人と違うことをしてみることも重要だったと、ご自身の真摯な研究への向き合い方を語られました。
休憩後の交流会は、認知症予防分野の推し活の重要メンバーに、大武代表理事に加えて、早速樋口先生を加えたといわれた、笑顔の岩田理事に再登場いただき、「みんなで元気に生きていきましょう」と乾杯の音頭をとっていただきました。

岩田理事の音頭で乾杯
樋口先生の講話から、様々な分野で進められている技術開発や事業構想から、早期発見、治療への道筋が身近になりつつあることを誰もが実感でき、光が見えてきた安堵の念を抱いたように思えました。そうした思いを反映したのか、なおかつ研究について熱く、しかも気さくにお話し下さる樋口先生の雰囲気もあいまって、対談に続く交流会は、レイアウト変更のためのインターバルを挟みながらも、中座する方はわずかでした。両講師とも積極的に参加者の輪に入って下さったので、そこここに笑顔の会話の花が咲き、閉会が延刻したほどでした。そして、夕刻のゲリラ豪雨再来も案じられる中、最後まで参加者をお見送り下さった樋口先生のお人柄に感謝いたしました。

参加者と歓談する講師
最後になりましたが、当講演会の開催にあたり、共催者として多大なご尽力をいただきました理化学研究所革新知能統合研究センター センター長室の方々、並びに助成金を賜りました柏市社会福祉協議会様を始めとする、全ての関係者の方々に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
なお、本講演会は、令和7年度柏市社会福祉協議会 共同募金配分金による助成を受けて実施したものです

2025年度設立記会チラシ
招待講演講師として、国立研究開発法人量子医科学研究所(QST)脳機能イメージング研究センターセンター長・大阪公立大学医学研究科健康長寿医科学講座 病因診断科学 教授である樋口真人先生をお招きし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。

樋口真人先生
前日来、梅雨明け前に早くも接近の台風5号の影響が案じられる不安定な天候でしたが、栃木県を含めて関東圏各地から70歳代を中心に40〜90歳代の40余名の方々にご参加いただきました。

メモを取りながら熱心に視聴なさる参加者
開会の挨拶では、かねてより根強いリクエストのあった認知症の基礎研究や治療の最前線に関する講話を、その分野でトップランナーである樋口真人先生から拝聴できる念願が叶った経緯と感謝の念を、大武所長代表理事・所長が述べました。
続いて、大武所長の東大時代の恩師で、ほのぼの研究所の設立以来の理事でもある岩田修一東大名誉教授より、ご参加の皆様と様々な知見を共有できる喜びと共に、教え子の研究がLarge Language ModelというAIのトレンドが始まっている中、彼女らの研究が日本の叡智として世界に役立つものとなってほしいという激励を述べられました。

岩田理事挨拶
招待講演のタイトルは「認知症の革新的な診療を身近に利用できる社会へ」。千葉市の量子科学技術研究開発機構の脳機能イメージング研究センターセンター長であるとともに、大阪公立大学で教授をお務めになりながら、大阪での認知症研究と診療を統合するセンターの立ち上げにも関わるというクロスアポイントメントで、両所を行き来していらっしゃるという自己紹介から始まりました。

樋口先生講演演目
鞠知症病態の基本概念
◆神経変性性3大認知症は初期症状での鑑別・診断は困難。
診断の手がかりとなるもの…脳にたまるタンパクのごみ(凝集体)
.▲襯張魯ぅ沺蕊➨アミロイドβ・タウ
∩案側頭葉変性症➨タウ・あるいはTDP43
レビー小体型認知症➨アルファシヌクレイン

認知症者の脳に沈着するタンパク
恭弯慧診断・医療技術の進歩
◆アミロイドβ病変を「見つけて」「治す」
・PET(電子放射断層撮影法)により可視化(25万円)
・除去する抗体薬の開発【アデュカヌマブ】
・その後【レカネマブ】等の抗体薬が承認され、臨床利用
課題:アミロイドβは7〜8割除去され、認知機能障害の進行が3割遅延
も、効果の割に薬価が高価(300万円/年)タウ病変には?
◆タウ病変を「見つけて」「治す」
・QSTグループ(樋口先生)によるタウタンパクに結合するPET薬剤を開発
➨様々な認知症におけるタウ蛋白の蓄積パターンの可視化に成功、
現在日本を含めた4カ国で臨床試験が進行中。2027年には診断薬として承認される
見込み
・タウ遺伝子発現を抑制し、タウを除去する治療薬(核酸医薬)開発
啓\ぢ紊稜知症の革新的診療に向けて
・血漿中アミロイドβの計測システムを国内で準備中
・画像検所見を反映する血液タウ検査法のネットワークMABB:Multicenter
Alliance For Brain Biomarkers により全国の研究機関と血液バイオマーカーを開発中
・大阪公立大学開発のラクシスシステムは迅速・安価・微量・高感度のタウ血液検査が
可能に

次世代診断・診療ワークフローイメージとファシリティのイメージ
◆認知症根絶に向けたムーンショット型開発事業
認知症病態は’焼發涼素鬚涼濱儉∈挧ο群臭1蠑鼻,箸、連携かつ悪影響を及ぼ
し合い、3つ巴になって進行する。中年期からの様々な危険因子(難聴、うつ、
頭部外傷、身体活動低下、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満など)が認知症リスクの
約半分を占めており、これらは炎症と細胞老化の連鎖反応として共通のメカニズ
ムで説明でき得る。「ムーンショット型研究開発事業」として、西日本の認知症
研究拠点:大阪健康長寿医科学センター(大阪長寿)を含めた、全国10研究機関
と12人の分担者と共に、病態の進行を操る鍵物質を見つけ出す事業を行い次世代
の認知症予防・治療の開発を進行(2024/11〜)

認認知症根絶に向けたムーンショット型研究開発事業
乎翡期以降のレジリエンス低下(認知症予防)を防ぐためのコミュ力、絆の重要性
「教育歴の長さが、レジリデンス(脳の強靭さ・打ち勝つ力)認知症発症の低減と
関係がある」➨神経細胞の同士の繋がり、脳内免疫細胞と神経の繋がり、
脳と様々な臓器とのつながり、人と人との繋がりがレジリエンスを強化し、認知
症に打ち勝つ力となる。特に中年以降はコミュニケーション能力の低下により、
レジリエンスを低下させる可能性があるため、それを防ぐための職場・家庭・
職場での役割や、そして本人たちが夢中に・生きがいとなり得るモノ・ヒトの創
成や参加による相互の「絆」強化が、認知症予防の重要な要素となり得ると説かれ
ました。

【重要】中高年期からレジリエンスを高めること
最後に、多くの構想や展望に関しては、試行錯誤が続くも、確実に次世代には間に合うと確信しているので、皆様の協力も得ながら邁進していくと講話㋾締めくくられました。
続く大武代表理事・所長の基調講演「会話で言語能力を高め、認知症の発症を遅らせる」では、まず認知症になり、同じ話ばかりする祖母の記憶が、写真を使った会話によって記憶が呼び覚まされ、会話が広がることに気づいたこと、「共想法」という会話支援手法を2006年に考案したことが、会話による認知症予防の研究に着手した契機だとしました。
実践研究の拠点として、NPO法人ほのぼの研究所を設立してフィールドワークを続け、共想法により「工学的に脳をどのように使えば、長持ちするのか」という実践研究を一貫して行い、さらに2017年より、人間の知能を育む人工知能についての基礎研究を、理化学研究所の革新知能統合研究センターで行っていると、研究プロセスを述べました。また介護現場でのコミュニケーション支援のためにと『介護に役立つ共想法』を、また昨年末には、研究結果に基づく、認知機能向上のための会話についてまとめた『脳が長持ちする会話』を上梓したと伝えました。

大武代表理事の基調講演
次いで、認知症を脳や身体の疾患が原因で記憶や判断力等の障害が起こり、生活に支障を来たす状況であると定義づけ、その予防のためのアプローチとして、生理的アプローチと認知的アプローチが必要であると述べました。そして、若い時から言語能力が高かった人の中には、脳に疾患があっても認知症が発症しない人がいたという修道女研究を紹介しました。認知的アプローチの中でも、特に会話やコミュニケーション能力に着目し、テーマに沿った写真を持ち寄り、それについて話題提供、質疑応答をすることで、加齢になると低下しやすい体験記憶、注意分割機能、計画力、実行機能などの認知機能を活用する会話にフォーカスして開発した「共想法」について説明をしました。

修道女研究

共想法での行動と活用される認知機能
実践を重ねた結果、その効果検証のために、ランダム化比較試験を行い、介入群において、加齢により低下しやすい言語流暢性が有意に向上する結果が得られ、今後実施するより長期間の介入研究の基礎となる、急激に低下する恐れのある認知機能の底上げができることを確かめたと述べました。
最後に、ほのぼの研究所では、「脳が長持ちする会話」を日常に取り入れる習慣作りの重要性を鑑み、「長持ち脳検定」や「長持ち脳」のコミュニティづくり事業や、特に次世代の40〜50代をターゲットにした活動を拡大することで、「脳が長持ちする会話」を世の中に広めていきたいと抱負を述べ、終話しました。
小休憩を挟んだ講師2人の対談に先駆け、びっしりと記入された質問用紙が寄せられました。対談時間内にすべてにお答えすることは不可能であるものの、webサイトを含めすべて回答させていただくことをご承知おきいただき、幾つかの質問に両講師が対談をしながら回答しました。

対談しながら、参加者の質問に答える両講師
取り上げられた質問は「教育歴の長さと認知症リスクの関係」「アミロイドβは睡眠時にしか除去されないのか」「認知症予防と運動との関係性」「認知症検査における心理的ハードル」「芸術活動と認知症予防」とどれもが興味深いものでした。すべての質問に対しては、ご本人に必ず回答するほか、公開が承諾されたものに関しては、時宜を応じてブログ等にてご公開予定です。ここでは以下2例をご紹介します。
【質疑応答の2例】
Q―「認知機能検査を受けるのには、心理的ハードルがありますが…」
A―アミロイドβ除去治療法の発展により、将来的にはハードルは下がる可能性があります。早期発見により、ライフスタイルの変更などの予防的措置を講じる時間的委余裕が生まれるからです。血液検査等の新しい診断技術が脳内の変化をリアルタイムに捉えることができるので、早期介入の可能性を高めていくべきだと思います。(樋口先生)
現在は、認知機能検査を、測らなくても下がっていることが分かるくらい、認知機能が大幅に低下した後に行うことが多いです。血圧で言えば、高血圧と診断されるくらい、高い血圧になって初めて測るようなものです。本来は、高血圧ではない「血圧が高め」のような段階で気づければ、対策が立てられます。今後は、まだ大きな問題にならない、中年期のうちから認知機能を測定し、自分の特性を知っておいた上で、変化に気づけるようにする仕組みづくりをできればと考えています。(大武所長)
Q−「睡眠中にしかアミロイドβは除去されないのですか?。睡眠時間が不規則で短いので不安です」
A―基礎研究では睡眠中の方が脳内の水の流れがアミロイドβの除去に効果的だとされていますが、人間での実証はさらに必要だと思われます。起床時にも除去はされるものの、睡眠中の方が効果が高いとされています。(樋口先生)
最後に大武所長から投げかけられた「世界で初のタウタンパクに結合するPET薬剤開発の成功要因」に関する樋口先生への質問には、大手の製薬会社のような人工的なタウではなく、実際の患者の脳組織やモデル動物のそれを使ったこと、モデル動物の早期導入や、診断薬が微量で効果を発揮するという特性を活かした迅速な臨床応用の戦略が奏功したと思うと回答されました。そして何より小さな発見や疑問を見逃さず、立ち止まって考える姿勢や、他の人と違うことをしてみることも重要だったと、ご自身の真摯な研究への向き合い方を語られました。
休憩後の交流会は、認知症予防分野の推し活の重要メンバーに、大武代表理事に加えて、早速樋口先生を加えたといわれた、笑顔の岩田理事に再登場いただき、「みんなで元気に生きていきましょう」と乾杯の音頭をとっていただきました。

岩田理事の音頭で乾杯
樋口先生の講話から、様々な分野で進められている技術開発や事業構想から、早期発見、治療への道筋が身近になりつつあることを誰もが実感でき、光が見えてきた安堵の念を抱いたように思えました。そうした思いを反映したのか、なおかつ研究について熱く、しかも気さくにお話し下さる樋口先生の雰囲気もあいまって、対談に続く交流会は、レイアウト変更のためのインターバルを挟みながらも、中座する方はわずかでした。両講師とも積極的に参加者の輪に入って下さったので、そこここに笑顔の会話の花が咲き、閉会が延刻したほどでした。そして、夕刻のゲリラ豪雨再来も案じられる中、最後まで参加者をお見送り下さった樋口先生のお人柄に感謝いたしました。

参加者と歓談する講師
最後になりましたが、当講演会の開催にあたり、共催者として多大なご尽力をいただきました理化学研究所革新知能統合研究センター センター長室の方々、並びに助成金を賜りました柏市社会福祉協議会様を始めとする、全ての関係者の方々に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
市民研究員 長久 秀子
